楽曲解説 Vol.37 『それぞれの12ヶ月』 | 大友ジュンのヒトリゴト

どうも。こんにちは。

大友ジュンです。


さぁ、前回の楽曲解説 Vol.36 てさぐり部部歌に続きまして、
今日はてさぐれ!歌もの あんこーる の中から最後の一曲をピックアップして
"楽曲解説"として記して行ってみようかなと思います!

今回、お送りする作品はこちら↓


それぞれの12ヶ月


3DCGアニメてさぐれ!部活もの あんこーる
ED曲として書かせて頂いたこちらの楽曲。

制作をするにあたって石舘監督から言われたのは
今からの制作スケジュールではエンディングの映像を新たに作る事は出来ない。
だから、せめて歌だけでも変えたいと思っているんだけど、今ある
12ヶ月の歌詞を
それぞれのキャラの立場に立った4パターンの歌詞に書き直してくれないか?
という事でした。


以前にも書いたように、バップでの会議で第2期のために必要な曲は…

・ちゃんとStand Up!!!!
・とりかえっこ
・てさぐり部部歌
・それぞれの12ヶ月

の4曲という事が決定。

その中で、TVでオンエアされる順番から考えても
最も優先的に進めなければならないのが今回の楽曲という事で、
僕も11月の下旬からすぐに歌詞の制作に取り掛かりました。


しかし、オンエア用に歌詞の書き直しをするとはいえ、
実際に必要となるのはサビの部分だけとなります。

なのでまずは各キャラの歌のキーを設定。

第1期でのレコーディングを踏まえた上で、僕の独断と偏見で…

・ゆあ→原曲どおり
・ひーな→原曲どおり
・あおい→原曲の2音半下げ
・こはるん→原曲の1音半下げ

という設定にし、最終的にはこれを1曲にまとめる事を考え、
最もキーの低い方からあおいこはるんひーなゆあという順番で
繋いで行く事にしました。

でも、これだとAメロとBメロは一体どうするんだ?という疑問が生まれて来るわけですね。

ただでさえ12ヶ月のAメロとBメロが極端に低くてキャストのみなさんに苦労させてしまったのに、
そこから更に2音半も下げてしまっては女性では絶対に歌えない高さになってしまう…。

困り果てたスタッフの間では…

・そこに原曲と全く違う高いメロディをつけてキャストに歌ってもらう。
・低くなったAメロとBメロだけは仕方がないから井上が歌う。

というような案が挙がっていたのですが、最終的には冒頭の部分は
萌舞子に語ってもらおうという事に落ち着き、その部分の歌詞も追加で書く事に。

※まぁ、どう考えてもこれが一番良い案だわな…(笑)

こうして改めて、歌詞の制作がスタートとなったわけであります。


作詞に取り掛かるにあたり、僕がテーマにしたのは
登場人物一人一人がどんな想いで"てさぐり部"としての
"12ヶ月"を過ごして来たのか?
という事でした。

楽曲を作る上で、こういう歌詞の書き方は実はあまり良くないのかもしれませんが、
大前提として第1期の放送を楽しんで下さっていた方々への恩返しというか、
アナザーストーリーを提示する事でもう一歩踏み込んだ部分で
更に作品を楽しんで頂きたいという想いがそこにあったからです。

以下、一人一人の歌詞の解説です。



あおいは新入生として桃成高校に入って来た時、
固く心を閉ざし、人との関わりを避け、部活なんていう上っ面の付き合いが大っ嫌いで
バカバカしいと思っている子でした。

そんなあおいを強引に青春模索部に入部させ、
一年かけて居場所を作ってくれたのが先代部長の美桜先輩。

そんな先輩の優しさに感動し、感謝の気持ちでいっぱいになったあおいは
いずれ上級生になった時に今度は自分が先輩にしてもらったように
誰かの居場所を作ってあげるんだという決意をします。

そんな決して簡単ではない心の動きを
歌が苦手だと公言している荻野可鈴さんが一生懸命に歌ってくれました。

歌というものを評価する側面って本当に色々あって、
必ずしも歌唱力の高い事が評価に繋がるわけではないし、
歌唱力が低いという事がそのまま否定に繋がるわけでもない。

今回のケースで言えば、普段、ゆとって、どやって、
ダジャレばっかり言ってるあおいが真剣に歌で自分の想いを伝えようとしている、
それが何よりも大事な事なんですよね。

本人はもしかしたら自信を持っていないかもしれないけど、
僕はあおいの一生懸命さが伝わって来る、とっても良い歌声だと思っています。

荻野さん、頑張って歌ってくれて本当にありがとうございました。

一緒に作品を作れた事、心から感謝しています!



高校に入ったら何か部活をやろうと思ってはいたけど、一体どんな部活に入りたいのか?
もっと言えば自分は何のためにこの高校に入り、これからの時間を過ごして行くのか?
それを見つけられずにいた新入生のこはるん。

ひーなによって強引に連れて来られ、これまた強引にてさぐり部に入部させられ、
とりあえず高校生活をスタートさせる事になります。

学園生活を振り返る余裕もなく、ただただ先輩達について行く事で精一杯な毎日。

そんな状態のまま迎えた上級生2人の卒業。

こはるんはそこで初めて、先輩達の自分に対する想いを知ります。

やりたい事が見つけられない自分のために
一年かけて一緒に試行錯誤してくれていたんだ。

そんな大切な事に気づかずに日々を過ごしていた自分の浅はかさと
先輩達の優しさにただただ涙が溢れます。

新入生としての真っ直ぐな一面と
先輩達とのふれあいの時間を通して少しずつ変化を見せて行くこはるん。

歌声からも幼くて真っ直ぐで初々しい一面と、
聴いていてドキッとするような大人な瞬間を見せてくれた大橋彩香さん。

やはり選ばれるべくして大橋さんがこはるんに選ばれたんだなぁと心から思いました。

この曲だけに限らず、どの曲も丁寧に大切に歌ってくれた事、とっても感謝しています。

本当にありがとうございました!



Going My Wayでちょっと頼りないゆあ部長、ゆとってどやって自由奔放なあおい、
そして何も分からず入部して来た新入生のこはるん、そんな3人を副部長という立場で
誰よりも冷静に観察し、そしていつも部全体の事を考えて行動して来たひーな。

自分が持っていない部分をたくさん持っている部のメンバーを羨ましくも思うし、
そんなメンバー達をしっかりと支えて来れた自分の学園生活にも誇りを持っています。

4人で過ごした12ヶ月を通して、上級生としてあおいやこはるんにとっての
居場所を作ってあげられた事、自分の役目をしっかりと果たす事が出来た事、
そんな充実感を胸に、ひーなは笑顔でてさぐり部を卒業して行きます。

gdgd妖精sから数えて今作品で4クール目となる
同じ現場でのお仕事をご一緒させて頂いた明坂聡美さん。

ラジオでのあなたのジャックナイフのように尖った言葉は
時に僕のボディを切り裂き、その傷口を更にえぐりまくりましたが、
それでもやっぱりレコーディングではあなたの事を最も信頼していたし、
誰よりもあなたを頼りにしていました。

仕事に臨む真面目な姿勢、何に対しても研究熱心なところ、
自分自身に高いハードルを課すところ、でもそのハードルをなかなか超えられずにもがいている姿、
そんなところを僕も一表現者としてとても尊敬しています。

明坂聡美が歌えばクオリティの高い楽曲になる

そんな安心感を持って楽曲制作が出来た事、心から感謝しています。

本当にありがとうございました!



天真爛漫で自由奔放、隙あらばすぐに下ネタに持って行こうとする部長のゆあ。

冷静に考えれば、どうして同じ学年にひーなというしっかり者がいるのに
ゆあが部長に選ばれたんだろう…?なんて事を思っちゃいますが、
やっぱりてさぐり部のムードメーカーは何があっても下を向かないゆあなんですよね。

そういう人が船頭としてみんなを引っ張って行くのが最もあるべき姿なんだなぁと。

きっとゆあも自分が部長になった時には不安でいっぱいだったはずです。

毎年、部活として正式に学校に受理してもらえないような部だし、名前も変わるし、
新入部員を入れても果たしてその子の居場所を作ってあげられるのか?

そんな不安の中でも、先輩から受け継いで来たこの部を
自分も新部長としてしっかりと下の代に繋いで行くんだという強い気持ち。

それがゆあの行動の全ての理由になっていたんじゃないかなと思います。

声を演じた西 明日香さんもまさに"部長・ゆあ"そのものでして。

実はてさぐれのアフレコ現場には僕は確か2回くらいしかお邪魔出来なかったのですが、
後日、監督から送られて来る本編やラジオの音声を聴いても心から楽しんでいるのが分かるし、
合計4回ご一緒したレコーディングでも本当に楽しみながら歌ってくれました。

それは楽曲の作者としてとっても嬉しい事だし、
この人に歌ってもらえて良かったって思えるのって本当に幸せな事だと思うんですよね。

そんな、みんなを幸せにするオーラを放つ西さんと一緒に作品を作れた事、
心から感謝しています。

本当にありがとうございました!



3年連続六つ子で年子の18人姉妹という
前代未聞のキャラクターの萌舞子シスターズ。

彼女達はてさぐり部の一員ではありませんが、
間違いなく誰よりも近くでてさぐり部の活動を見ていた生徒です。

そんな萌舞子が曲の冒頭部分の語りを担当する事になったのですが、
それは決して"仕方なく"そうするわけではなかったんですよね。

僕の中ではすごく重要な役目だという認識でいました。

このブログの最初の方でも言いましたが、
そもそもこの曲は第1期をご覧下さった視聴者の方々へ向けての
恩返しの意味合いを込めて作り始めました。

この曲を聴く事で第1期を、そして先日、終了した第2期を
頭の中で振り返って欲しいという願いを込めているからです。

その"振り返り"の心の準備をさせるのが萌舞子の語りなんですね。

なので声を担当する上田麗奈さんには僕からかなり細かく指導をさせて頂きました。

声のトーン、話し出すタイミング、話し終えるタイミング、
ブレスを入れる場所、アクセントのつけ方、特に感情を込めて欲しい単語、
そして萌舞子がこの曲で担っている役割と責任。

そんな細かいレクチャーを聞き逃すまいと、
僕の目を見て真剣にひとつひとつの言葉を受け止めてくれていた
上田さんの姿を今でも鮮明に覚えています。

とりかえっこ の楽曲解説でも書きましたが、
上田さんの20歳の誕生日という記念すべき日に
大事な大事な萌舞子パートの歌録りが出来た事をとても嬉しく思っています。

レコーディングに真剣に臨んでくれて本当にありがとうございました!



こうしてキャストの方々、お一人お一人のお気持ちをしっかりと頂いて
てさぐれ!部活もの あんこーるのED曲それぞれの12ヶ月は完成致しました!

てさぐれ関連の楽曲としては唯一、
全キャストの方々の声が入った楽曲となっております。


去年の10月から半年間に渡ってお送りして来たてさぐれ!部活もの

音楽はあくまで番組を彩るスパイスのひとつでしかありませんが、
みなさんから頂いた温かいお言葉が本当に嬉しかったです!

この作品を通して音楽家としても貴重な経験をさせて頂く事が出来ましたし、
僕にとってまたひとつ宝物が増えました!

番組制作に携わった全ての方々、
そして毎週、番組を楽しみにしていて下さった全ての方々に心から感謝致します!

本当にありがとうございました!!


このアニメ作品、そして楽曲達がいつまでも色褪せる事なく、
みなさんの心の中で生き続けてくれる事を切に願っております♪m(__*)m





という事で、お送りして参りました第37回目の楽曲解説。

これにててさぐれ!歌もの あんこーるに収録されている
新録の楽曲の解説を無事に終える事が出来ました。

これでまた暫くは楽曲解説コーナーはお休みとなりますが、
またいずれ新作を発表する事が出来ましたらその作品に関して
熱く、そして詳しく語らせて頂こうと思っております!

それではまたその時まで♪(^∀^)ノ





※以下、ゆあ(西 明日香さん)が歌っている箇所を
  ひーな(明坂聡美さん)が歌っている箇所を
  あおい(荻野可鈴さん)が歌っている箇所を
  こはるん(大橋彩香さん)が歌っている箇所を
  もぶこ(上田麗奈さん)が歌っている箇所をピンクの文字で表記致します。



『それぞれの12ヶ月』 詞・曲 / 井上純一 編曲 / Hajime(from LiLi)


みなさんごきげんよう。園田萌舞子です。
2013年に始まった「てさぐり部」4人の12ヶ月。
その名のとおり、てさぐりで始まった彼女達の時間は
一人一人の心の中に一体、どんなものを残したのでしょうか?
天真爛漫でノッて来ると暴走しちゃう、ちょっと頼りない部長のゆあちゃん。
一見、穏やかで物静かに見えるんだけど毒を吐かせたら右に出る者はいない
副部長のひーなちゃん。自由奔放でゆとってるし、ドヤッてるんだけど、
なんだか放っておけない2年生のあおいちゃん。
そして、新入部員として得体の知れない部に入って来た1年生のこはるん。
そんな「てさぐり部」それぞれの12ヶ月をお聴き下さい。


ありのまま 素のままで過ごせたこの時間が
閉ざしてた心に光をくれた
どんな子も受け入れて笑顔に変えられる場所を
いつかは私もきっと
繰り返してく "12ヶ月" に負けないような未来を作る

何気なく始まった すごく不安な日々が
気づけばかけがえのない時間で
何をして過ごすかより 誰とともに過ごすのかが
大切だって分かった
出会い 別れ その全てに今 "ありがとう" 涙とともに

心から羨ましい大切なみんなを
支え続けて来れた事の喜び
この場所で この制服で ともに重ねたこの時間に
誇りを感じてるから
出会い 別れ その全てに今 "ありがとう" 笑顔とともに

答えのない毎日が絶え間なく流れても
探し続ける事に意味があるんだ
この胸に託された同じ時間 同じ景色
灯した火を消さないように
繰り返してく "12ヶ月" が私達の未来を作る

出会い 別れ その全てに今 "ありがとう"



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