低線量被ばくと労災...過去の原発関連業務従事者労災認定
恥ずかしながら、今日この事実を知りました。
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35年間で10人労災認定 原発労働者のがん (共同通信 2011年4月28日)
厚生労働省は27日、がんになった原子力発電所の労働者のうち、過去35年で10人が累積被ばく線量などに基づき労災認定されていたことを明らかにした。福島第1原発の事故を受け、初めて労災の認定状況を公表した。...(以下、省略)
*厚労省労働基準局「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000aiuu.html#shingi52
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原発で働き、ガンなどの疾患で労災認定を受けた10名の被ばく線量は、驚くほど低くなっています(もちろん、臨界事故を手元で起こしてしまったJOC東海村の事故は除きます)。
今回の福島原発の事故について、厚労省は緊急避難的に被ばく線量の上限を250ミリシーベルト/年と変更しており、厚労省労働基準局労災補償部が言う通り、『相当量の被ばくをしている人がおり、労災認定は今後、増える』事は間違いないと思われます。
当然のことながら、事故収集に関わった(関わっている)作業員の被ばく線量管理と健康指導、スムーズな労災申請の筋道を付けて欲しいと思います。
また、この記事中の被ばく線量の低さを考えると、3.11福島第一原発事故で被ばくした周辺住民の健康被害を、“ただちに健康に被害を及ぼさない”として誤魔化すことはできないと思います。
国は、被ばくが疑われる住民に対して“健康手帳”を配布し、定期的継続的健康診断と、晩発性疾患に対する予防と治療を責任を果たすべきだと思います。
もちろん、この被ばく住民の健康管理に要する費用について、東京電力が相応の負担をすべきだという事については言うまでもありません。。
“見えない放射線”、“医学的根拠に乏しい低線量被ばく障害”について、国や自治体、そして東京電力は、被ばくしてしまった住民とその子孫に対して、責任を果たして欲しいと、強く願います。
以上
*資料
◆「原発・核燃料施設労働者の労災申請・認定状況」 関西労働安全センターHPより引用
→リンク http://www.geocities.jp/koshc2000/accident/hibakuninnteihyo.html
◆福島第1原発:作業員被ばく線量 「年50ミリ」上限撤廃 (毎日新聞 2011年5月30日)
厚生労働省が、東京電力福島第1原発事故の復旧作業に携わる作業員に限り、年間50ミリシーベルトとしている被ばく線量の上限を撤廃することを決め、日本労働組合総連合会(連合)に文書で示していたことが分かった。定期検査時など通常の被ばく線量と合算し5年間で100ミリシーベルトの上限は維持する。現行のままでは、福島で作業後に他の原発の定検作業ができない可能性があるためだが、専門家からは作業員の安全を懸念する声も出ている。...(以下、省略)
◆(再掲)35年間で10人労災認定 原発労働者のがん (共同通信 2011年4月28日
厚生労働省は27日、がんになった原子力発電所の労働者のうち、過去35年で10人が累積被ばく線量などに基づき労災認定されていたことを明らかにした。福島第1原発の事故を受け、初めて労災の認定状況を公表した。
1976年度以降、労災認定された10人のうち白血病が6人。累積被ばく線量は129・8~5・2ミリシーベルトだった。このほか多発性骨髄腫が2人で、それぞれ70・0、65・0ミリシーベルト。悪性リンパ腫も2人で、それぞれ99・8、78・9ミリシーベルトだった。...(以下、省略)
◆遺族の声国動かす 悪性リンパ腫労災対象に (琉球新報 2008年10月5日)
厚生労働省の検討会は4日までに、原子力発電所や使用済み核燃料再処理工場での業務に従事し悪性リンパ腫を発症した労働者について、肺がんや白血病などと同様に放射線業務の労災対象疾患とする方針を固めた。近く正式に報告書をまとめる。放射線医学の専門家らでつくる検討会 は、放射線業務に従事し、3年半前に悪性リンパ腫で亡くなったうるま市の喜友名正さん=当時(53)=の遺族や支援者らの訴えを機に、昨年秋から検討を重ねていた。...(以下、省略)
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◆第3回労働基準法施行規則第35条専門検討会議事録(2009(平成21)年度)
1.開催日時及び場所
開催日時:平成21年7月10日(金)午前10時00分から午前11時15分まで
開催場所:厚生労働省専用第18会議室
2.出席者
医学専門家
圓藤吟史、大前和幸、岡田了三、奥平雅彦、兼高達貮、工藤翔二、櫻井治彦、夏目誠、和田攻、明石真言、三浦溥太郎
厚生労働省
新宅友穂、渡辺輝生、神保裕臣、山口浩幸、宮村満、柘植典久 他
3.議事内容
(中略)
○櫻井座長
次の議題に入ります。資料2「電離放射線による多発性骨髄腫及び悪性リンパ腫について」です。事務局から資料の説明をしていただき、その後、明石先生から個別症例検討会の御報告をいただきたいと思います。先ほど同様に、質疑は明石先生の御報告が終わった後で一括して受けたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○柘植中央職業病認定調査官
それでは、事務局から資料2「電離放射線による多発性骨髄腫及び悪性リンパ腫について」概略説明させていただきます。最初の枠の中に該当の「労働基準法施行規則別表第1の2」を掲載しています。その下、1、第7号18のうち「多発性骨髄腫」についての説明をします。認定件数ですが、平成15年度に多発性骨髄腫について1件認定をしているところです。
次に、認定事例の概要です。被災労働者は男性の方ですが、昭和48年1月より昭和61年1月までA社において配管工事の監督等の業務に従事しておられました。このうち昭和52年10月、当時52歳、から昭和57年1月までの4年3か月の間に、B原子力発電所等において放射線業務に従事しており、この間の請求人の被ばく線量は集積線量で70mSvでした。平成10年3月にC病院に入院され、多発性骨髄腫と診断されました。所轄労働基準監督署長は、平成16年1月に本件を業務上の疾病と認定したところです。
2頁を御覧下さい。本事例を認定するまでに、「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」を開催し、今日、そのメンバーの一人である明石先生がおられますが、そこで多発性骨髄腫と放射線被ばくとの因果関係について、御議論をいただいたところです。(3)にその報告書の概要を掲載しておりますが、検討会報告書(資料2-1)については、この後、明石先生から御説明いただきます。
続いて、2頁の2、第7号18のうち「悪性リンパ腫」についての説明をします。認定件数ですが、悪性リンパ腫のうちの非ホジキンリンパ腫について、平成20年度に1件認定をしています。その認定事例の概要ですが、被災労働者は男性の方で、平成9年8月、当時46歳、から平成16年1月まで、D社において専ら原子力等施設の定期検査に際し、蒸気発生器細管、配管の傷等の非破壊検査業務の補助業務等に従事されていました。このうち平成9年8月から平成16年1月までの6年5か月の間にE原子力発電所等において放射線業務等に従事しており、この間の被災労働者の被ばく線量は99.76mSvでした。平成16年5月にF大学医学部附属病院に入院され、「節外性NKリンパ腫、鼻型」と診断されました。所轄労働基準監督署長は、平成20年10月に本件を業務上の疾病と
認定したところです。
3頁に検討会で御議論いただいた結論の部分を掲載しています。この報告書については、資料2-2で用意しておりますので、また明石先生から御説明いただきます。事務局からは以上です。
○櫻井座長
続いて資料2-1と資料2-2について、明石先生から御説明をお願いします。
○明石先生
放射線医学総合研究所の明石です。よろしくお願いいたします。今回の2つの事例に関しまして、放射線が他の化学物質等とどこが違うかと申し上げますと、見てわかるとおり、数字でばく露、要するに定量的な被ばく線量というのが出ているということが、1つの特徴であるということ。もう1つは非常に難しい点ですが、化学物質でも何でもそうなのですが、なかなか放射線によってその病気ができたという目印がないということから、結果的には他の病気と同じように統計学的なものにより推定していく、また、もし、そういうものがあるとすれば、動物実験等から推定していくということしかありません。
この2つの症例につきましては、主に文献調査をして、その中で特に放射性物質に起因するかどうかということについて、例えば放射線を使っている労働者であるとか、調査によっては原子力施設がある周辺の住民の調査であるとか、医療被ばく、つまり病院で診断、ちょっと治療の場合は違いますが、治療の場合も含めて医療被ばくという調査があります。その調査から、放射線の被ばく線量、それから被ばくの形態等と、その病気と放射線との関係にどういう調査があって、どういう結果が得られているのか、しかも、信頼性のある論文、統計等がきちんと得られている論文から調査をいたしました。
まず、多発性骨髄腫から御説明いたします。この報告書の中の7頁をお開きいただきたいと思います。7頁までにはずっとさまざまな外国の症例、もちろん我が国には原ばくの被ばく者という非常に大きい母集団の多い統計がございます。これらを最近の論文を中心に、かなり多くの症例の調査や、我々が見て信頼性があるかどうかというものを調査いたしました。
8頁にも書いてございますが、1つ問題があるのは、やはり多発性骨髄腫というのは、非常に少ない、あまり多い病気ではないということでございます。白血病に比べても、頻度は決して多くないということで、死亡数、発生数が少ないということで、なかなか論文、調査方法によって誤差が出てきます。例えばここにも書いてございますように、同じ広島・長崎の被ばく者の調査でありましても、報告された時期、調査方法によってだいぶ結論が違っているというのが問題です。ただ、いろいろ論文を拾ってみますと、何でもそうですけれども、特に定量性のある数字が出ている放射線については、線量反応関係、つまり線量が増えると、病気に、その疾病になる人が増えるのかという線量との関係が見られるかどうかということが1つの大きなポイントになってきております。
これらに注目して、アメリカ、イギリス、日本、特に日本の数字というのは非常に重要でして、これらについていろいろ論文を見たところ、決して症例数は多いとは言えないのですが、線量増加に伴って、骨髄腫の死亡率が統計的に高くなるという、有意に高くなるという線量反応関係が認められるという事実がございます。これに検出力を高めるために、いくつかの調査を見たところ、やはり同様な結果が得られています。線量の問題、線量の反応の関係があるという問題という点で、この症例については放射線との因果関係がないとは言えないということを結論いたしました。
その後、いろいろ社会、新聞等でもいろいろ裁判等とか診断の問題等もございましたが、私どものこの検討会では、診断についても多発性骨髄腫で間違いないだろうということ、それから再度論文の調査、過去の統計等を見てみたところでも、線量反応関係というものは非常に大きなポイントであるということを考えて、我々はこの症例については認めるというような結論に達しました。
確かにここの論文に出ているとおり、先生方、皆さん方はおわかりと思いますが、かなりのばらつきがあります。因果関係があると言っているもの、ないと言っているものと、かなり多くの調査があります。ただ、我々はやはり線量反応関係というのは非常に重要な問題だと、先ほど述べましたとおり、そういうことを考えて、この点は放射線起因性があるだろうと考えたというのが、多発性骨髄腫の例です。
もう1つ、次の例で悪性リンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫についてです。御存知のように悪性リンパ腫は、結論では血液疾患と、特に白血病と類縁疾患であるということを重点に置いたという結論を導いておりますが、症例によっては胃だけにできる悪性リンパ腫で、外科的に手術をしてしまうということができる疾病という場合もあります。肺だけにあるという場合もあります。悪性リンパ腫にはいろいろなタイプがあるということが第1点です。
この報告書の中の2頁、3頁に、どんなものが悪性リンパ腫であるのかということがいくつか出ております。医学界では大きくホジキンリンパ腫というリンパ腫と、非ホジキンリンパ腫という2つに分けています。ホジキンリンパ腫といいますのは、日本ではそれほど多くはないと言われていますが、EBウイルス、つまり3頁の(3)の悪性リンパ腫の発生要因についてというところに書いてあるように、感染というのが1つの要因として挙げられています。
このようにある程度原因として特定なものが証明されているものもありますが、ないものもあるということがあります。これらのことをよく加味して、職業被ばくや医療被ばく、当然長崎・広島の原ばくの症例等について検討を加えさせていただきました。
13頁に疫学調査の結論があります。我々がこの検討会で導いた結論の一番大きなポイントは、悪性リンパ腫が白血病の類縁疾患である、つまり、白血病に非常に近い病気であるということを考えました。これについては論文の調査等、もちろんWHOの報告の中でも白血病類縁疾患であるということを、はっきり述べている点があります。ただし、先ほどの多発性骨髄腫とは違いまして、線量反応関係というのは、観察された論文が存在していませんでした。
特にこれまでも認められている、多くの論文で放射線と関係があると言われている白血病等との関係ですが、統計学的にはどうかというと、白血病に比べると、ここにも書いてあるように1/5とか、線量についてはより多くの線量を浴びた場合のみに放射線等の因果関係が強いという論文が多かったということです。
そのことをいろいろ考えて、最終的には14頁に書いてあるように、悪性リンパ腫の中でも、ウイルス等々がはっきり特定されているものではない非ホジキンリンパ腫については白血病と非常に関係が深いということ、男性において過剰リスクについてのみ有意差が認められていること、ただし、白血病ほどではない、白血病に比べてより高い線量を浴びないと、たぶん因果関係は推定できないだろうということを考えて、つまり白血病の1/5~1/6程度であると考えて、この悪性リンパ腫についても被ばく線量を参考として否定できないという考えで、これについても妥当であると結論したということです。以上です。
○櫻井座長
明石先生どうもありがとうございました。それでは事務局からの説明も含めて、何か御質問、御意見等がございましたらどうぞ御発言下さい。
私の感想のようなことなのですが、多発性骨髄腫などで同じ対象集団を観察していると、はじめは有意の差で過剰の死亡が認められたものが、後で認められなくなったような報告もあるということです。これは私は他の化学物質でそういうようなデータを、直接自分でいろいろレビューしたときにめぐり合って、そのときに考えたことがありますが、やはりある時期に調べてポジティブだったのが、後でネガティブになっている。少し前倒しになって、ある時期に早く発生しているけれども、その後、それが明瞭でなくなる。一般集団でも起こってきますから、比較的こういう発生の確率の低いものについては、そういうことも考えられるなという気持でおります。
ですから、後でネガティブになったからといって、否定することにはならないという感覚を持っておりますが、これは感想のようなことです。他に何かございますでしょうか。特段の御質問等もないようですが、それでは事務局ではいまの多発性骨髄腫、悪性リンパ腫のうちの非ホジキンリンパ腫について、ただいまの個別症例検討会では、因果関係は認めるというお立場での御報告でしたが、事務局として何かお考えはございますでしょう
か。
○柘植中央職業病認定調査官
事務局といたしましては、個別症例検討会の結論を踏まえた認定の事例がありますし、ただいまの御議論も踏まえまして、この多発性骨髄腫及び悪性リンパ腫のうちの非ホジキンリンパ腫については、別表の第7号10に例示することとしてはいかがかと考えております。
○櫻井座長
別表に例示するという提案ですが、先生方いかがでしょうか。明石先生いかがでしょうか。
○明石先生
結構です。
○櫻井座長
御異存ないようでございますので、本件については事務局提案のとおり、多発性骨髄腫と、非ホジキンリンパ腫について、第7号10に例示することが適当であると考えるということで、よろしゅうございますか。
(異議なし)
以下略
<照会先>厚生労働省 労働基準局 労災補償部 補償課 職業病認定対策室 職業病認定業務第一係
◆「多発性骨髄腫と放射線被ばくとの因果関係について」 厚生労働省 労働基準局 労災補償部 補償課
(2004年2月6日) →リンク http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/02/s0206-3.html
