小学生の頃

山奥の家に住んでいる時期があった。


子供の足では歩くのが厳しく

学校帰りは、友達の家に行き

親の迎えを待っていた。


それが習慣になり

友達の家が、もうひとつの家のようだった。


その友達と

いつも一緒に遊んでいた。


ファミコンが登場し

マリオブラザーズを競いあった。


少年ジャンプを回し読みし

キン肉マンごっこをした。


その友達に教えてもらい

サッカーもはじめた。


映画を観て、えらく感動し

笑っちゃうくらい影響され

ギターも一緒に買った。


結局、二人とも弾けなかったけど(笑)


一緒に、悪さもし

大人の階段を肩を並べて登っていった。


中学にあがり

一緒にバスケ部に入った。


地域最弱バスケ部を

地域最強にしたのは、二人っきりの

朝練からだった。


東京までNBAのビデオを買いに出掛けた時は

絵に描いたような、おのぼりさんで

笑うしかなかったな〜


思春期の多感な時期を

共に過ごした。


高校からは別々の道を歩きだし

あまり会うこともなくなった。


中学卒業以来、今日まで会ったのは

たぶん数えるほどだと思う。


会わずとも

一緒に過ごした時間を思い出し


アイツなら、何をやっても大丈夫!


そう思い

心配することも

会おうとすることもしなかった。


仲間と昔の話をしていると

必ず話題にあがるヤツだった。


そんなアイツが


先日、亡くなった。


あまりにも突然の知らせで

信じられなかった。


仲間から、次々と連絡が届く。


「アイツが、亡くなった…」


「アイツ、死んじゃったよ」


親切心や、心配からなのだと思うが

みんなが連絡をくれる。


そんなみんなからの連絡を


ちょっと待ってよ


気持ちが追いつかねぇよ…


もう分かったよ、うるせぇーよ!


そんな気持ちで、鳴り止まない連絡を

受けていた。


みんな同じ気持ちなのに…


信じられないまま

通夜に参列するために地元に向かった。


電車の窓から風景を眺め

地元に近づくにつれ

忘れていた思い出が

次から次へと思い浮かび 

涙が止まらなかった。


祭壇に飾られた遺影写真を見て


アイツ、ほんとに死んじゃったんだな


と、思った。


急にいろいろ話したくなった。


今まで連絡もしなかったのに


お前、勝手に死ぬんじゃねぇよ!


って、心の中で叫んでいた。


大腸癌で、1年半闘病していたと 

ご両親に聞かされた。


ガキの頃から

弱音を吐かないヤツだったから

俺に言うわけないわな。


そりゃ、そうだ(笑)


悲しいし、悔しいし

やり切れなかった。


顔を最後に見たかったけど


もう、火葬されていた。


そんな顔、俺に見せたくないもんなぁ〜


アイツらしいな。


死んだって聞いて、すぐに最近の顔を

思い出せなかったけど

遺影写真のあの笑顔

ガキの頃のままだった。


友に言いたい。


今の俺があるのは


間違いなく


お前と出会ったからだよ。


いつも、俺の前にいて

弱音を吐かない、強い姿を見せてくれたから

俺は、ガキ大将のお前に

安心して着いていってたんだよ。


だから、今の俺がいる。


お前と出会って

共に過ごしたその時間に

心から感謝するよ


本当に、ありがとう。


あの世で

また、あの日のように

ゲロ吐くまで飲もうぜっー!


合掌



友と共に

ぼくらの挑戦は続きます。