デップー2やピーターラビットの時に予告を見てずっと見たい見たいと思ってた映画。
ただし残念な点としてなぜか吹替版無し。子どもも楽しめるような内容だから吹替版あってほしかったなぁ。
故に初の字幕版。ただ字幕でも普通に楽しめたかな。

英語力ない自分でも気づいた字幕と本来のセリフのギャップがあって
「この子はチャラい子だ」って字幕だったところがセリフでは「クレイジーギャル」って言っててちょっと笑った。

最初はオギーが完全に主役のヒューマンドラマかと思ったらちょっと違った。
普通に群像劇だった。序盤はオギーの周りの様々なメインキャラの視点で話が進んで最後はオギー視線に行き着く的な。

自分もイジメに関して言えば反対だけど強く反対って言えず保身のためにイジメの主犯に同調しちゃうような弱い一面が昔あったからこそ今回はジャックというキャラに魅力を感じた。
ジャックは学校生活におけるオギーの初めての親友だったが、イジメ主犯にオギーの悪口を言ってるところをたまたまオギーに見られてオギーから嫌われてしまう。
ただこのシーンで言っていたオギーの悪口は本心じゃないんだと思う。過去の僕と同じようにイジメの主犯からそういった話題を振られて断りきれず言ってしまった…そんな感じだと思う。そして言い訳の余地もなくオギーから嫌われてしまう。
でもそんな彼は心からオギーのことを友として愛していたし、オギーに何故自分が嫌われてしまったかの真実を知った際は、取り返しのつかない自分にもイジメの主犯のジュリアンにも激しく苛立ち、オギーのことを悪くいうジュリアンに突然殴りかかった。
あの殴りかかったシーンは最高だった。オギーのことを心から思ってる証拠だし悪がやられるシーンはやっぱりスカッとするね。
おまけに彼は殴った時ある意味自己犠牲を考慮してまで殴りに行った。奨学金を切られるどころか退学すらも考慮していたはず。だが校長の粋な計らいでセーフ。二日間の停学はあるものの君の帰りも待ってるし奨学金も君の帰りを待ってる的なセリフがかっこよかった。つまりは形式上罰せられることにはなるけど普段通りの生活が保障されてるということ。
こういうイジメ系のドラマにおける校長は見て見ぬ振りをするクズパターンが多いけど今回の校長は完全にオギーとその周囲の人物の理解者だった。

父親は妻の尻に敷かれているもののこっそりオギーには男としてのいろはを叩き込んでいたりで等身大の父親感があってとても良かった。

オギーの姉、ヴィアは準主役というほど出番が多かった。
オギー主役故にオギーばかり注目する家族に自分も見て欲しい、と現環境にコンプレックスを感じているといった感じで、それでも自分自身もオギーのことは好きでたまらないし自分は世界一手がかからない娘であることに徹していると自称するほど。
ヴィアにもオギーに負けないほどの背景があり、最愛の祖母を亡くしていたり、オギーのことばかりな家族に自分のことを見てもらえなかったり、幼馴染で大親友のミランダとの間に突然の溝が出来てしまったり…それでもクールで常に平常心を装って、オギーの応援に徹する彼女はとても心が強いキャラなんだなと感じた。
最後はミランダとも仲直りできた上に、ミランダから演劇主役を譲り受けてもらい、オギーに対しての理解がある素敵な彼氏ができ、演劇を通して母親にもちゃんと自分のことを見てもらい、オギーに負けないぐらいハッピーエンドだったので見てるこっちも幸せを感じられた。

母親にもドラマがあって、自分の夢を捨ててまで子ども達を優先していた…という感じで良かったのだけれど予告編では母親が準主役のような感じで立てられてて、絶対に折れず諦めずオギーに寄り添うといった感じで映っていたが、そのセリフが合うほどの出番は多くなかった。母親視点編も無かった。
ただ予想よりも出番が無かっただけで母親自体のキャラはすごく良かったし常にオギーの一番は母親だったと思う。ヴィアとも最終的に(仲違いしてたわけではないけど)和解していた。

ジャックとオギーの距離が空き、オギーが再び孤立する際にオギーの第2の友達としてオギーに近づいたサマー。彼女も強いと感じた。
いつものメンバーでオギーのことを病原菌扱いしてる話をしてる真っ最中にその場を無言で離れてオギーと一緒にご飯を食べる。
人間不信になってるオギーに拒絶されても直向きにオギーと向き合ってオギーの真の友達になる。それにオギーがジャックと距離を置いた理由をサマーに話すのだが、オギーの絶対誰にも言わないでという約束を最後の最後まで守り抜く。サマーはオギーの良き友人だと感じた。
サマーの真の心の強さは行動力だと思う。なぜかというとジャックは飽く迄もオギーから勇気を出して近づいた結果友達になれたのであってジャック発信ではない。でもサマーはサマー発信、しかももう完全にいじめムードができている中、自ら近づいた。
サマーはちゃんとオギーのことを理解していた。ジャックのことを避け続けることを下手に説教したりもせずオギーと寄り添う。寄り添いつつも関係を取り繕うように裏で活躍したり。
オギーとジャックの仲直りはサマーがいなきゃできてなかったしそう考えると出番はそこまで多くはなかったけど今回のシナリオにおいての重要キャラといえるだろう。


このドラマで自分が良かったと思った点は勧善懲悪だということ。
イジメの主犯だったジュリアン。日本のドラマだったら改心してオギーと友達になるオチだっただろうに。この映画では彼はとことん罰せられます。
クラス集合写真から加工でオギーを消して、その写真の裏に お前はこの学校にいらない、死ね。と書いてオギーのロッカーに貼る行為をきっかけに、ジュリアンの取り巻きが教師に告げ口して退学。
本当は退学じゃなかったんだけどね。校長が親を呼び出して短期の停学を持ちかけるとモンペである親は 「以前ジャックに殴られたこともあるしうちの子がいじめの被害者」だとか「この学校にたくさん金を寄付してるのは誰だ」とか「教育委員会に友人がいるんだぞ」とか絵に描いたようなクズ親だった。この親にしてこの子あり。そんなこんなで校長を責めるが校長が折れなかった結果「こんな学校辞めてやる!」が親の口から出る。ジュリアンはやっちまった感で校長や親に ごめんなさい。この学校にいたい。と懇願するも時すでに遅し。親には逆らえずそのまま退学することに。
申し訳ないがざまあみろと思ってしまった。ジュリアン自身も完全に最初から見下してたオギーがめちゃくちゃ頭良くて自分を軽々凌ぐ成績を叩き出すしじわじわと仲間の輪を広げていくしで不安だったんだと思う。不安故に弱い彼はイジメをエスカレートさせてしまったんだと思う。ただやってることはクズそのもの。彼は違う親の元に生まれていればもう少しだけまともな人間になれた気がする。まあ悪役には妥当なオチかな。

勧善懲悪といえどジュリアンの周りでオギーをハブいてた子達はそこまで悪くないので改心してオギーの仲間入り。
サマーキャンプでオギーとジャックのことをいじめるために尾行してた7年生を尾行して7年生を倒してオギーと友達になる。特にエイモスはジュリアンのいじめの実態を先生に報告したこともあって改心して良かったと思った。ところで何気なく登場してたけど7年生ってなんだ、日本でいう中1か?

最後は修了式でオギーが校長先生の選ぶなんとか賞というのに受賞するといったもの。最初は家族以外みんな敵だった学校だったが、そのシーンではもうオギーの受賞を祝う仲間だらけだった。修了式の日の朝に、オギーが醜い顔を隠すために愛用してた宇宙飛行士のメットが無くなった件の真相をパパが話すのだが、結局オギーに自信を持ってもらうためにパパが隠していたというオチだった。最初は姉がオギーに嫉妬して隠したとかそんなパターンかと思ったのにまさかだった。
でも修了式の様子を見るとオギーはもうそのメットが不要だなぁと感じた。

この先卒業したらオギーは何度も壁にぶつかると思う。ただ初等部で出会った仲間たちがいればオギーは何事にも耐えられるだろうし周りの子も合わせて立派な大人になるんだろうと感じた。

本作は非常に道徳的な内容だった。学校の授業のシーンも、理科の授業以外、偉人の格言といった、海外でいう道徳の授業に近いような内容のことを学んでいた。道徳的でない要素でいえばジュリアンが精神的にオーバーキルされることぐらい。まあ自分でやっちまったことだからしゃーなし。
道徳的な内容だったが故に吹替版がほしい。そして現役小学生に教材として見せたい。さすがに子どもに字幕版は無理だよなあ。
これを見せたら障害者への差別が少しは減ると思う。