ある調査では、日本の15-50歳女性の80%近くは鉄不足だと言われています。鉄には、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄(Fe+++:3価の鉄イオン)で2~5%の吸収率、動物性食品に多く含まれるヘム鉄(Fe++:2価の鉄イオン)(鉄がタンパク質と結合した形)で15~30%の吸収率と大きな差があるので、動物性食品のレバーや魚介類は鉄分補給に適しています。
その中でも一番の鉄補給の食材と言えば、やはりレバー(肝臓)ではないでしょうか?
レバー(肝臓)はまさに「鉄の宝庫」です。他の栄養価も非常に高く、特に女性にとって必要な栄養素が豊富で、「食べるサプリメント」とも言われています。
【レバーの優れた栄養価について:その1】
【レバーの優れた栄養価について:その2】
ところが、このレバーは加熱したときに生じる独特な臭いと、調理後のボソボソとした食感から、苦手な人が多い食材としても有名です!「鉄補給のためにレバーを食べなさい!」というと多くの人がイヤな顔をします(笑)
そこで!レバーの代わりになる鉄がかなり多く含まれ、他の栄養素も豊富な食材をご紹介いたします(もちろん吸収率の良いヘム鉄)!
それが鶏のハツ(心臓)です!!
ここで鉄(ヘム鉄)が多く含まれる食材を紹介いたします。
【100gあたりの鉄(ヘム鉄)の含有量ベスト10】
第1位:豚レバー …… 13mg
第2位:鶏レバー …… 9mg
第3位:生センマイ(牛の第三胃)…… 6.8mg
第4位:鶏ハツ …… 5.1mg
第5位:鴨肉 …… 4.3mg
第6位:牛レバー …… 4.0mg
第7位:牛ハツ …… 3.3mg
第8位:シカ肉 …… 3.1mg
第9位:牛タン …… 2.5mg
第9位:和牛ヒレ …… 2.5mg
鶏ハツは堂々の第4位!
まぁ、実は意外にも生センマイも鉄が多く含まれていて、私も調べていて発見だったんですけど…生センマイは他の栄養素がそれほど豊富ではないので…
☆ここで鶏ハツに含まれる栄養素についてみてみましょう!!
【鶏ハツ100gに含まれる栄養素】(一食あたりの目安)
※ 一食あたりの目安は18歳~29歳の平常時女性51kg、一日の想定カロリー1800kcalのデータから算出しています。
※ 赤色の栄養素は一食あたりの目安量をクリアしているもの。
・ビタミンA ……… 700μg (221μgRE)
・ビタミンD ……… 0.4μg (1.8μg)
・ビタミンE ………1.0mg (2.2mg)
・ビタミンK ……… 51μg (17μg)
・ビタミンB1 ……… 0.22mg (0.32mg)
・ビタミンB2 ……… 1.1mg (0.36mg)
・ナイアシン ……… 6mg (3.48mgNE)
・パントテン酸 ……… 4.4mg (1.5mg)
・ビタミンB6 ……… 0.21mg (0.35mg)
・ビオチン……… データなし
・ビタミンB12 ……… 1.7μg (0.8μg)
・葉酸
……… 43μg (80μg)
・ビタミンC ……… 5mg (33mg)
・マグネシウム ……… 15mg (91.8mg)
・リン
……… 170mg (381mg)
・鉄 ……… 5.1mg (3.49mg)
・亜鉛
……… 2.3mg (3mg)
・銅 ……… 0.32mg (0.24mg)
このように鶏ハツには、鉄以外にもビタミンA、ビタミンK、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB12、銅などの重要な栄養素が豊富に含まれていることが分かります。
鶏ハツの100g相当量は、約8個分。
ハツ串にすると、4本分くらい。
明日のごはんは、鶏ハツ串、鶏ハツと夏野菜の炒めもの、(砂肝の代わりに)鶏ハツ&玉ねぎのアヒージョにしてみてはいかがでしょうか^^
それでは、一般的に鉄はどんな食材に多く含まれているのでしょうか?
☆動物性食品(殆どがへム鉄)なら
肉系…豚のレバーや鶏レバー、牛のレバー、鴨肉、鶏卵など(ただし鶏卵の鉄は全てが卵黄に含まれているのですが、100g中に6mgと豊富に含まれているにも関わらず、実は殆どが非へム鉄のため吸収率が良くありません!)。
魚介系…干しえび、かつお節、イワシ、サバ、あさり、しじみ、赤貝など(ただし貝類の鉄は赤貝を除き、殆どが非へム鉄のため吸収率が良くありません!)。
☆植物性食品(非へム鉄)なら
ゴマ、油揚げ、ほうれん草、ひじき、青海苔、納豆、ひまわり種、カシューナッツ、アーモンド、プルーン、レーズン、煎茶、紅茶、抹茶、パセリ、小麦胚芽、ニンニクなど。
これら(動物性&動物性)の食材を組み合わせて鉄分を補給することが理想的と言えます。鉄はサプリメントで摂ることも必要かもしれませんが、私はできるだけ安全な食材を選びながら、日々の食事から摂取していきたいと思っていますし、患者さんにもそのように勧めています^^