1 目覚め②
「ママ、こっちだね」 ミン太は前足で一生懸命に土を掘っていった。
掘っても掘っても、地上に出ることはなかった。
その日、ミン太は疲れて眠ってしまった。
三日間掘り続けると、次第に目の前が明るくなってきた。
「もう少しだ」
うっすらと差し込んでくる光に目を細め、おでこの汗をふいたとき、ミン太はパパの言葉を思い出した。
『地上に出るときは夜を待つんだ。昼間はスズメやカラス、ハチとかがいて危ないからな』
ミン太は早く仲間に会いたいという気持ちを我慢して、暗くなるのを待った。
やがて、差し込んでいた光は弱くなり、夜の闇がやってきた。
ミン太は力を込めて、前足で土を掘った。
・・・・地上に向けて、まぁるい穴がぽっかりとあいた。
ミン太は穴から泥だらけの顔を半分だけのぞかせて、あたりの様子をうかがった。
そこは小さな公園だった。
ミン太のパパもママも、おじいちゃんもおばあちゃんも、その前のおじいちゃんもおばあちゃんも・・・
つまり、ミン太一家が昔から生まれ育った公園だった。
公園といってもブランコや滑り台などはなく、雑木林のまん中に野原があり、その野原の真ん中に小さな
池があるだけだった。
住宅街のはずれにある公園は、周りに背の高い建物がないので日当たりもよく、「ここの木の樹液は甘く
ておいしい」とセミ仲間では評判の公園だった。