【違憲法案可決】 それでも僕らはこんなに元気なんだぜ! | 語り得ぬものについては沈黙しなければならない。

【違憲法案可決】 それでも僕らはこんなに元気なんだぜ!

14日から最大の山場を迎えた安保法制案の参院採決。国会前では連日、激しい抗議行動が続いた。
昼間から参加することはなかったけれど、僕も今週は毎晩参加した。もういい歳こいてるのでずっと立っているのはやっぱしんどい。そこで、夜遅めにやって来たり途中で一時離脱してネットカフェで2時間ごろごろしたり。みなさんごめんなさい。

ていうかさ、歳とると涙腺が緩む。
15日の夜は雨がざんざん降っていて、若い子たちがびしょ濡れになりながらもコールを続ける姿を見て、なんかうるうるきちまったよ。

僕はSEALDsの子たちの親の世代だが、日本をこんなふうにしてしまったのは我々の責任である。
高校生の頃はとりあえずマルクス主義なんかも勉強したのだが、ときは1970年代後半。僕はいろいろ手を出していたおかげで他の高校生よりは政治や社会のことを学んでいたつもりだったが、左翼セクトの連中にはうんざりだったし、民青も嫌だ。市民運動もセンスねえなあ。つーかマルクス主義もう終わってんじゃん、という感じで、1980年代に入った頃には、政治はもう語らないということにしていたのだ。
そうしてバブル時代も楽しく過ごした。
雑誌編集者として、お立ち台ギャルのパンチラ特集とか作ってたしさ、まだ20代のくせに会社のカネで一晩中ハイヤー借り切って青山や六本木で飲み歩いたりしていた。

だが、そんなふうに政治から目を反らしている間に、日本の劣化はどんどん進んでいた。そして、気付いたときには、立憲主義もポツダム宣言も知らない、小学校低学年のクラス委員程度の馬鹿が首相になって、嘘で固めた違憲法案を強行採決しようとしているのだ。

若い子たちにはほんとうに申し訳ない。僕には子どもはいないが、一晩中必死にコールを続ける若い子たちの姿に、何度も涙が出そうだった。

そしてついに、9月19日午前2時過ぎ。安保法制案は参院本会議で可決され、成立と言うことになった。

その瞬間僕は、デモ最前列、SEALDsがコールを行っているステージのすぐ横にいた。どうでもいい話だが、若い子はiPhoneばっかなんだなあと思ったのは、みんなネット中継で国会を見ているからタイムラグがあるのだ(iPhoneにはテレビ~ワンセグ/フルセグがない)。だから僕は、ステージの上の子たちに見えるようにスマホを掲げていて、それゆえ、可決のときの彼らの表情を間近で見ていたのだ。

泣き出したり悲鳴を上げる子もいるんじゃないかと心配していた。
しかし彼らはタフだった。すぐさま怒濤のコールが始まった。

今見る限り、「デモの参加者は怒りを露わにした」的な報道が多い。
確かにみんな怒っている。憤っている。
だが、報道に感じられる悲壮感はものの2分で消えていった、というのが現場のほぼ中心にいた僕がまさに身体で感じたことだった。

ますます元気が出てきたのである。
確かに採決の結果は出た。しかし、そこにあったのは打ちひしがれた悲壮感などでは決してなく、新たなスタートに立った人々の爽快な気分であったとも言えるだろう。

僕は運動家でもなく、3.11以後の反原発や反特定秘密保護法、辺野古新基地反対のデモしか参加したことはないのだけれど、参院本会議可決後から朝の5時まで2時間半、こんなにも晴れ晴れと力強いデモは初めてだ。

報道を見て暗く沈んでしまった人も多いとは思うのだけれど、デモの最前列は全然そんなムードじゃなかったよ。
ちょっとかなり眠いのだけれど、それだけは伝えようとパソコンに向かっているのである。

若い子たちが泣き出すんじゃないか心配したと書いたけれど、正直に言うと自分が泣くんじゃないかと思っていた。
だけど、若い子たちの迫力に、僕もどんどん元気が出てきた。こんなときにこんな気分になるなんて、自分でもちょっとびっくりだ。

つまり、負けたなんて思っていないのである。ていうか負けていない。

これで安倍晋三君はますます追い詰められることになる。
素直に国民の声を聞けばいいのに意地を張るから、火に油を注いでしまった。
この流れは止まらないよ。
安倍晋三君には、国民に怯えびくびく生きる日々が待っているはずだ。どんなに自己中でアタマの悪い安倍晋三君でも、国民をなめるとどうなるか、思い知らされるはずだ。
彼が祝杯を挙げていられるのも連休中だけだ。週が明けたら、その日何人の人々が採決後も朝まで抗議を続けたか聞いてみるんだね。数百人レベルじゃないよ。爺ちゃんの岸信介が国民の抗議を受けて退陣したのに対し、安倍晋三君は居座るつもりだが、それがどれだけ無謀なことかわかるはずだ。
世論調査でもきっと、内閣支持率は危険水域と言われる20%台を叩き出すだろう。
つまり、国民の支持を得られない自衛隊の海外派兵なんかできっこないし、違憲訴訟の準備もすでに始まっている。

現場の感じというのはいないと伝わらないかもしれないので、ほんとうは映像をアップしたかったんだけど、眠くて今は無理。ずっと撮っていたので今度時間があったらね。

そのかわり写真を一枚。
採決2時間半後の午前4時47分。
僕らはみんな、こんなに元気なんだぜ。

2015年9月19日午前4時47分