キチガイ原子力ムラは今でも健在な件 | 語り得ぬものについては沈黙しなければならない。

キチガイ原子力ムラは今でも健在な件

あのさあ。
僕もぼ~っとして生きているが、それでも、福島第一原発の観測用井戸水の放射線汚染度がここ数日で急上昇しているというニュースを見て「まだ放射能が漏れてるの?」とか言ってる人たちにはびっくりした。

福島第一原発はメルトダウンしたのである。メルトダウンというのは簡単に言うと、溶けた核燃料が外に漏れだしたのである。
で、当然のことながら誰もその詳細を知ることはできない。近くに行ったら死んでしまうからだ。

つまり、
「溶けた核燃料がどこに行ってどのようになっているのか誰にもわからない」
これが、2年前から変わらぬ事実である。(事態は本質的な意味では2年前と比べて微塵たりとも良くなってなどいない)
それから、溶けた核燃料は冷めてはいないよ。まだまだ熱いままだから、注水を続けないと大変なことになる。

だから、溶けた核燃料が地面にどんどん入っていって地下水を汚染する。それが二年以上経ったある日、観測用井戸に届いて数値が急上昇する。
なんていうことは驚くに値しない。2年前から充分に予測できたことなのだ。
「福島第一原発事故が収束した」とかいうのが出鱈目なのはもちろんのこと、「収束に向かっている」というのも嘘だ。井戸水の汚染度が急上昇したことでわかるように、溶けた核燃料は今でも地中でどんどん拡がっている。海の汚染もこれからだ。

あと、ニュースで言えば「敦賀原発2号機直下に活断層がある」という原子力規制委員会の調査結果に対して、事業者の日本原電が異議を申し立てたようだ。
日本の法律では活断層の上に原発を建ててはいけないことになっている。当たり前の話で、そこが地震で大きくずれたりなんかしたら、原発なんかひとったまりもないからね。決して大袈裟ではなく、日本が滅亡するレベルの事故になる。

ここでちょっと話は横道だ。

「敦賀原発2号基の下に活断層がある」と判断した原子力規制委員会というのは、3.11の反省にたって設立されたものだ。
でもその実体は、原発推進派である。
原発を進めてきた経産省の役人連中が横滑りしているのはもちろんのこと、委員長の田中俊一がそもそも断固たる原発推進派なのである。

去年8/6月にブログに書いた文章だけど、もう一度引用するね。

田中俊一というのは

「いわゆる原子力ムラの住人の中でも飛び切りの「エリート」と言うべき経歴の持ち主」(河北新報http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/08/20120804s01.htm)、
福島原発事故が起きた昨年も、「複数の原子力関連企業・団体から報酬約29万円を受け取っていた」(時事通信 http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012080200769

田中俊一は福島原発事故後、被災地に入り自ら除染作業を行うことによって「いい人ぶり」をアピールしていたのだが、彼がなぜ除染に熱心なのかというと、それには別の理由がある。

「日経ビジネス」が昨年9月に掲載した田中俊一のインタビューを見よう。(http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110912/222598/?P=1 無料登録が必要だが、田中俊一の本音を知るためだけにも登録の価値はある)

まあ例によって原発推進派の常套句「100ミリシーベルト以下は大丈夫」「放射能を怖がるストレスのほうが問題」などは相手にしないでおこう。(ちなみに、山下俊一と田中俊一が「ミスター100mSvダブル俊一」)

田中俊一はこう言っている。
「避難している方々は仕事がありません。仕事のない毎日ほどつらいことはありません。除染作業は若干の被ばくを伴いますが、除染を当面の雇用の機会にすべきではないか、と思っています」
つまり、田中俊一は福島の人たちにもっと被曝をさせたいと思っている

「除染よりも汚染された土地を買い取るべき」という意見に対しては
「それは論外ではないでしょうか。公示価格で考えれば買い取りコストは5兆円ぐらいという話を聞いたことがありますが、そんなに安く買い取れるはずがない」

また、環境省が海水浴場における放射性物質濃度の基準として、セシウムは1リットル当たり50ベクレル以下とする案を出してことに対して
「海水浴場で海水を毎日1リットル飲む人がどこにいますか。こういう基準を決めることで、小学校や中学校のプールの除染が難しくなり、除染コストがどれだけ増える(か)考えたことがあるのでしょうか

なおかつ、日本原子力文化振興財団webページでのインタビュー(http://www.jaero.or.jp/data/02topic/fukushima/interview/tanaka_t.html)で言っているのは、
「実際に私たちが除染をしてみますと、国の計算の方式で年間1ミリシーベルトまで下げるということになると、1時間当たりの空間線量が0.22とか、0.23マイクロシーベルトなんですね。ですから、今、私がやっている除染の4分の1とか、5分の1の数値ですね。そこまで下げるというのは、現実には今の段階では不可能だと思います」

(※ここで田中俊一が言う「0.23μSv/h」は、素直に計算すると
0.23×24(時間)×365(日)=2014.8μSv=年間2ミリシーベルト以上
なのだが、田中は「国の計算方式」と言って誤魔化している。
「国の計算方式」とは、素直に計算された数字に0.6を掛けて、放射能被害をことさら小さく見せようとするものである(文科省・経産省などが採用)。
これは、1日のうち外にいるのは1/3だけだとし、屋内にいる16時間については「木造家屋の低減効果係数=0.4」を掛けて計算しているというわけだ。
【一日あたりの線量を「a」として数式化すると
((2/3(16時間/24時間)×0.4))a + ((1/3(8時間/24時間)))a = 0.6a】)

で、「国の計算方式」で矮小化された数値をもとに
「年間5ミリシーベルトくらいでいいのではないか、というのが私の考えです」
と言うのが田中の意見だ。

まとめるとこういうことになる。
「0.22~0.23μSv/h、つまり「国の計算方式」では年間約1mSvだが、素直に計算すると年間約2mSv、まで除染するのは現実的には不可能」
「だから、国の計算方式では年間5ミリシーベルトくらい、つまり素直に計算すると年間10mSvくらいまでは我慢しろ
と田中俊一は言っている。


なぜならば、「除染コストがどれだけ増えるか考えたことがあるのでしょうか」という発言でわかるように、田中俊一にとっては、安全性の確保よりも、賠償コストの増大が心配なのである。

田中本人が賠償コストを請求されているわけではないのに、どうして彼はそんなことを言うのだろうか?
東電を守りたいのか?
あるいは、血税投入に反対なのか?

じつは、どっちも違うのであった。

昨年8月23日の「原子力委員会定例会議」で、田中俊一が正々堂々とこう言うのを聞こう。(内閣府原子力委員会サイト内にある公式議事録 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo38/siryo7.pdf

「この状況のままで今後の原子力の再生は非常にもう、個人の考えですけれども、絶望的です。とにかく何らかの形で除染をしてきちっと行い、避難住民が帰ってこられるような状況をつくり出さない限りはこれからの原子力発電も含めてそういったものはどう政策を進めていいかわからないなということがありましたので、私自身はそういう思いもあります」


要するに田中俊一は、原子力を進めたくて進めたくてどうしようもないのだ。
土地の買い上げとか徹底した除染をすればものすごくお金がかかる。
すると当然、原子力はやめようという方向になる。
田中俊一にとってみれば、そんな事態こそが一番の大問題なのであって、だからこそ彼は福島に除染にも向かう。
「原発が爆発したって、ほ~ら、除染したら住めますよ」という話にして、3.11以前のように原発を推進したいだけ。
つまり、住民のためではなく、原子力推進のために除染に励む、心底根が腐った男なのだ。


長い引用すまんね。

まあ、そういう奴だ。

そしてそういう奴ですら、「敦賀原発2号機の下には活断層があるから運転を認めない」と判断したのであった。
にもかかわらず、日本原電はいちゃもんをつけている。

ニュースで聞いていて心底呆れてしまったのは、日本原電の濱田康男社長は、「もしの廃炉になれば、(日本原電の)株主である各電力会社にも影響する」とか言っている。
まるで、電力会社の経営状態こそが日本にとって最も重要な問題だと言わんばかりだし、実際、アタマのイカれた濱田康男はそう信じているのだろう。

でもさ、電力会社の経営状態なんて、だからどうしたの?
他の業界と同じように、駄目な会社は潰れりゃいいじゃん。
日本原電に出資したって言うのも、「出資にはリスクがある」という資本主義のルールを了承して投資したのであるから、電力会社が損をすればいいだけの話だ。

活断層が動いた場合、せいぜい数十メートル規模の大きさの原子炉なんか赤子の手をひねるようにぶち壊される。
福島第一原発は爆発したけれど、不幸中の幸いで、水蒸気爆発ではなく水素爆発による建屋の爆発だった。
水蒸気爆発というのは、制御不能となった原子炉の中で核燃料がどんどん高温になり、原子炉の中の水が気化してその圧力で原子炉そのものが爆発することである。
こうなると、フクシマもチェルノブイリもはるかに超える事故となる。
福島第一原発でも、今でこそそのリスクは減っているが、事故からしばらくは水蒸気爆発のリスクを抱えていた。

水蒸気爆発に限らず、格納容器、圧力容器がベロッと壊れてしまえば、誰も近寄れないくらいの汚染が数キロ~数十キロ規模で拡がることになる。
するとどうなるのかと言えば、たとえ事故が敦賀原発2号機だけであったとしても、放射線量が高いためほかの原子炉にも誰も近づけない。そして、電源がなくなって冷却水が途絶えれば敦賀原発2号基以外の3基もメルトダウンして、水蒸気爆発くらい起こすであろう。
で、あっという間に若狭湾地帯は壊滅。
湾に面した美浜原発、大飯原発、高浜原発、それに「もんじゅ」も制御不能となって事故の連鎖が発生し、関西圏、中京圏は少なく見積もって数百年単位で人が住めない場所となる。

そんな大袈裟なと思う人は、福島第一原発の事故が、いかに綱渡り的な状況の中の幸運で首都圏全滅を回避できたのかを学ぶと良い。

要するに濱田康男は、関西全滅のリスクよりも自分の会社が潰れたり、電力会社の経営が悪くなる方が問題なのだろう。

僕は正直言って、そんなキチガイ連中がまだ堂々と力を振るっているこの現状に呆れかえると同時に心底うんざりしているわけであって、こういうひとつひとつの問題に関しては発言する気にもならずだらだら酒を飲んで生きているわけだけれど、それでもたまには書いておこうかなと思って今夜はパソコンに向かったのであった。

というわけで今夜はたまたま書いたのだけれど、原子力のキチガイ連中の目に余るキチガイぶりは、じつは今でも、というか奴らにしてみれば多くの人が3.11を忘れかけている今こそチャンスとばかりに、好き放題やっているのである。

いちいち書かん。
でも、気にしてほしいなあと思う。