平気で検閲を行う、最低の日本政府 | 語り得ぬものについては沈黙しなければならない。

平気で検閲を行う、最低の日本政府

最近、原発関連の詳細な記事を書かない大きな理由は、このブログを読んでいるような人であれば、僕なんかよりもずっと早くしかも詳しく、そんな情報は知っていると思うからだ。
刻々と状況が変わっていた夏くらいまでは、とにかく、少しでも早く、ひとりでも多くの人と最新の情報を共有して、できることなら汚染地域のせめて子どもたちだけに、避難して欲しかった。
だから、このように細々とやっている個人ブログでも、出来るだけ頻繁にそんな話題を書き込んでいた。

ところが今はちょっと事情が違ってきている。
もちろん福島第一原発は今でも放射能を出し続けているし、まだまだ予断を許さない最悪の状況だ。
でも、「今わかったことを今すぐに書かなければならない」ということについては、事故後、いくつものネットメディアがそんな存在意義を確立しているし、今更僕がやっても仕方がないだろう。

僕のほんとうのテーマは、じつはとても個人的な話で、福島第一原発事故を自分の人生の中でどう位置づけ、どう具体的に行動していくか、そういうことなのだ。

自分の人生を総括しないといけないと思うから、そのひとつの試みとしてこのブログでも『第×ラウンド』という、ほとんど誰も面白がってはくれないであろう文章を書いているし、「具体的な行動」については、ほんとうに何をどうしたらよいのか、今はまだわからない。じつはとても悩んでいる。

それはさておき。
もう二日も前だけれど、政府の事故調査・検証委員会が中間報告を発表した。
あれだけ議題に上がっていた「津波の前に地震によって配管が破損していた可能性」を否定するなど甘々であり、とても「はいそうですね」と言えるような内容ではないのだけれど、それでも東電や政府の対応について、311以前では考えられなかったような批判がなされている。

その内容や評価に関してはここでは書かない。
前述したように、すでに多くのネットメディアで取り上げられているからだ。あらためて僕がどうこういうことはない。

ただ、ひとつだけ、これだけは認識しておいてほしいと言うことを書いておく。

3月12日、原子力安全・保安院の中村幸一審議官が記者会見で「1号機は炉心溶融の可能性がある」と発言したら官邸から注意された。
まあこれは、政府の内部のことだからまだ良いとしよう。
同じ日、東電の福島事務所が公開の会議で爆発後の1号機の写真を公表したところ、首相官邸が「事前連絡なしに公表した」と東電に注意したのだった。

いいですか? ここは社会主義国家ではないし、独裁国家でもない。
私的所有が認められた資本主義国家であり、言論の自由が認められた民主主義国家である。
私企業が何をどう発表するかについて、国家権力に文句をつける権利など一切ない。

もちろん、東電は犯罪組織である。
政府と並んで、今回の事故についてもっとも責任を負うべき立場であり、僕は東電を擁護しようという気などさらさらない。
しかし、そうであっても、原則論として、私企業の発表について政府が規制しようというのは、許されないはずである。
それじゃあ社会主義か独裁国家だ。

このことの重大性について、我々はきちんと知っておかなければならない。

今の日本の国家権力というのは、平気で言論統制を行うのである。

資源エネルギー庁がネットやtwitterを監視していると話題になったが、そんなのとも比較にならないくらい重要な問題である。
監視ではなく、事前に見せろと言っているのだ。
これは検閲であり、日本の法律では明確に禁じられていることだ。

僕の見た限り、マスメディアでこのことの重要性を指摘したところはない。
私企業の発表に政府が介入するなどと言うのは、北朝鮮並みのクレイジーな出来事なのに、みんな麻痺してしまっている。

民主主義などと言うのは「他よりはマシ」なだけの政治思想に過ぎないが、でも、それを標榜するのであれば、権力はルールを守らなければならないし、我々は権力にルールを守らせなければならない。
そんなこともできない。
僕もそうだがみんな最低だ。

最新のニュースではないけれど、これだけは言っておかなければならないと思ったので書いておく。