メッシのギャラの話とか | 語り得ぬものについては沈黙しなければならない。

メッシのギャラの話とか

昨夜は、原発問題で日本有数のアクセスを誇るブログ『ざまあみやがれい!』(http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/ )の脱東電忘年会(というか忘年会という名前にクレームがついて「うんこの会」にしたそうだ)で、午後5時から渋谷で飲み始め、最終的には地元目黒のバーで朝6時まで飲んでいたので、その後結局夕方まで寝てしまった。

で、「テレビがあるバーに行ってFIFAクラブワールドカップを見よう」と誘われたので、僕はじつはサッカーはほとんど興味ないのだけれど、向かい酒でもするか、と恵比寿のバーに行ったのである。

なんだかもう、手品を見ているような感じ。
こっちに蹴るだろうと思っていたボールを逆方向に飛ばして、なおかつそこにはちゃんとチームメイトが待っている。
僕のようにサッカーのことを何も知らない人間でも「一流というのはこういう人たちなんだ」とよくわかる。
中でも一番人気だったのはやはりメッシ。
お店にははっきり言ってかなりカワイイ若い女の子グループなども多かったのだけれど、「メッシ!」と大歓声を上げていた。
ご存知のようにメッシは2ゴールだったのだが、前半の初得点も後半のダメ押しも、神業のようなプレイを見せてくれたのだった。
いやあ、僕が女だったら間違いなくい惚れてるね。ていうかここまでやってくれると、素人が見てもほんとうに楽しい。

というわけで、ちょっと気になったのがメッシが幾ら稼いでいるのか。
Soccerkingというサイトによると、メッシの年俸は1100万ユーロ(約12億6500万円)で世界のサッカー選手中3位だけれど、(たぶんスポンサー収入などを加えた)総額では3100万ユーロ(約35億6500万円)で第1位。(http://www.soccer-king.jp/news/spain/article/201103221445_barcelona_messi.html

この金額は高いか安いか?

僕は、決して高くはないと思う。
なにしろ世界一のプレイヤーである。それくらいもらったっていいじゃん。
スポーツ選手が現役で稼げる期間はそんなに長くはないんだし。

2008年に経営破綻し、世界中の経済を滅茶苦茶にした投資銀行リーマン・ブラザーズのCEOリチャード・ファルドは、在任中の00年以降、3億5千万ドル(当時のレートで約330億円)もの報酬を受けとっていたそうだ。
要するに、毎年、役員報酬だけでメッシ並みのギャラをもらって好き勝手やった(たぶんその他の収入もかなりあったはずだ)挙げ句に、世界をどん底に落とし入れたのである。

メッシの高い収入は、彼がスーパースターだからだ。
ところが、リチャード・ファルドは空虚な金融商品を散々でっち上げた末に、どうしようもならなくなって自分の会社ばかりでなく世界経済を破綻させた張本人(のひとり)である。

そんな奴がなんで大金を手に入れられるのかと言えば、それは、資本主義というのが「金儲けの巧みな奴」を不当に優遇するシステムだからである。
もちろん、誰かが言っていたように、資本主義は最悪のシステムではあるが、他と比べれば一番マシなシステムでもある。
メッシのようなスーパースターに高いギャラが支払われるのも、資本主義システムあってのことだ。

でも、所詮は「金儲けの巧みな奴を不当に優遇するシステム」であることをきちんと認識し、金のためなら何でもやるような連中に歯止めをかけること。
つまり、規制すること。
これがとても大切だと、僕は思う。

なんだか今は「規制緩和」というとそれだけで良いことだと思う人が多いのだが、それはむしろ逆で、どういうふうに適切に「規制するか」こそが一番の課題なのだ。

好き勝手にやらせてしまうと、たとえばリーマンショックのときのように、デリバティブばかりの博打資本主義になってしまう。
1万円しか稼がなかったのに、1000万円分のチップを持ってポーカーをするようなものだ。
とんとんで行っているときは良いけれど、破綻するときはすべてが破綻する。

電力の発電・送配電の分離はまったく正しい。
現在の地域独占体制を解体し、規制緩和をして多くの事業者を参入させたほうがいいだろう。
でもそれは、単に規制をなくせば良いと言うものでは決してなくて、適切に規制すること、つまり再生可能エネルギーの普及に向けて、100年後まで見据えた政治が適切に事業者に介入することとセットになっていなければ、なんというのか、とてもおぼつかない。
強欲な連中が悪いことをするに決まっているのだ。

幸いにして、日本の経営者のギャラは、米国の1/10くらいだ。
けれど今後、「規制緩和はすべて良し。金を儲けて何が悪い?」の理論が流通すれば、スーパースターでもなんでもない、単に醜悪で強欲な商人だけが不当に金と権力を手に入れるぞ。
僕は御免だね。