•1995年に始まった人生へんろ旅、シリーズ6
①四国八十八箇所 1巡目、②西国三十三箇所観音霊場、③四国八十八箇所 2巡目、④坂東三十三箇所 観音霊場、⑤四国八十八箇所 3巡目(逆打ち) に続くへんろ旅シリーズ6は、
⑥秩父三十四箇所
 です。

⑥ 秩父三十四箇所、日帰り・区切り打ち

 ・1995年に始めた四国八十八箇所 1巡目の最終回、結願の大窪寺・完結の霊山寺・満願の高野山に続けて歩いた熊野古道の那智大社・青岸渡寺から続けて始めた西国三十三箇所観音霊場巡礼は2005年に結願、同じ年に始めた四国2巡目は別格札所二十カ寺を含め計108カ寺を完全徒歩で回り2013年初めに完了ました。四国2巡目と並行して2006年から2007年には自身が住む関東地方の坂東三十三箇所を日帰りを繰り返して回りました。
 西国、坂東、四国2巡目の後、四国八十八箇所3巡目逆打ちの6回目を2019年年末に行いましたが、2020年3月からの新型コロナ感染拡大で2020年年末の7回目を断念し完結できていません。
 そこで、秩父なら短期間で回れると考えました。1996年の3月20日、5月3日、11月24日、12月27日に日帰りで三十四箇所を巡りましたが、納経をしない、ある意味非公式なおへんろでしたので、キチンと巡礼したいと、2021年2月に今回も4回の日帰り分割おへんろを行いました。

  • 1回目 2021年(令和3年) 2月11日 一番四萬部寺から十二番野坂寺
    ・西武池袋線沿線の自宅から乗換1回で秩父に行けます。早朝に家を出て7時19分に西武秩父駅に着き、快晴の国道140号を一番札所に向け歩き始めます。大野原駅を過ぎ右に折れ横瀬川を渡って山に向かっていくと、8時50分、こじんまりとした一番札所 四萬部寺に着きます。四国一番や西国一番とは全く異なる、地味で親しみやすい、地域に根差した巡礼道を象徴するような秩父一番札所です。新しい納経帳を購入して納経していただきます。次の札所へは林道を登って、無住の本堂、静寂の二番 真福寺にお参りします。納経は山を下りた集落に立つ光明寺。県道と横瀬川を渡ると、山を背に三番 常泉寺、再び川と県道を渡ると、四番 金昌寺、こちらは慈母観音のやさしさが印象的、家並みを縫って県道わきの無住の五番 語歌堂をお参り、納経は近くの長興寺です。ここからは山すその道を進み武甲山と横瀬川を望む、立派なお堂の七番 法長寺、長閑な町並みを進み横瀬町の中心地を見下ろす、六番 卜雲寺、午後の日差し、逆光の武甲山が大きく望めます。国道と西武秩父線をくぐっていくと、八番 西善寺、かえでの古木が葉を落とした枝を大きく広げています。川に向かって下りて登って、三菱マテリアルのセメント工場と線路沿いの道を進み、九番 明智寺、こじんまりとした六角の本堂が魅力的です。国道を渡り住宅地を進み、丘陵を背にした、十番 大慈寺、丘陵の遊歩道を辿って裏山から下りていく形で、国道わきの十一番 常楽寺、クルマで一杯の国道を渡り静かな住宅地を進むと、15時40分、本日最後の、十二番 野坂寺に着きました。秩父は納経時間が16時までなので少し焦りましたが、本日の目的地まで進むことができて満足、寒いけど穏やかな快晴の一日でした。西武秩父駅まで歩いて帰途につきました。
  • 2回目 2021年(令和3年) 2月13日 十三番慈眼寺から二十八番橋立堂
    ・1日置いて秩父へ。9月末の退職に向け、定年再雇用の最終年度、週3日勤務なので動きやすい日々です。8時20分快晴の西武秩父駅からすぐの、十三番 慈眼寺、早朝の動き出す前の雰囲気です。10分で、十四番 今宮坊、町中の小さなお寺です。秩父鉄道の小さな踏切を渡って正面、十五番 少林寺、こじんまりとした立派なお堂です。秩父市街、小刻みに札所が続いて、秩父神社の先、15分で、十六番 西光寺、ここは広い境内、好ましいお寺です。市街地を出外れて15分、田舎風景の中に立つ、十七番 定林寺、国道140号まで戻って、十八番 神門寺、ここも15分で、十九番 龍石寺、広々として空が広く眺めがよい。波打つ岩の上に本堂が立つ、記憶に残る札所です。秩父橋の歩道橋を渡って遊歩道を行こうとしたら通行止め、遠回りして、二十番 岩之上堂、荒川を望む、ここも印象的なまた来たいと思わせる札所です。川から離れて県道沿いの清潔なお寺、二十一番 観音寺、小走りに急いで午前中の納経に間に合わせた、二十二番 童子堂、春のうららかな広々とした境内です。
    ここまでいいリズムで札所を打って午前中に10ヵ寺を回ってしまいましたが、これからは丘陵に上がり山間の距離のある札所を辿ります。ネットで手に入れた江戸巡礼古道マップで見つけた明治巡礼古道中山みちを登っての秩父丘陵からは、秩父の街並みを見下ろしてSLの汽笛が盆地に響く心地よさ、冬枯れの木々と春の花に彩られた、二十三番 音楽寺、いいお寺です。江戸巡礼古道を下りますが、途中で道を見失い車道を下り、県道を進み急な石段を上がって、二十四番 法泉寺、武甲山を横から眺める、街外れを実感させるお寺です。午後になって空は薄曇り、冷たい風も吹いて疲れも溜まってきました。少し巡礼古道を進みますが、疲れてくると無難な車道歩きとなり、荒川対岸の最奥、二十五番 久昌寺、池を配した小さなお堂が迎えます。ここからは荒川対岸に向かって進み、柳大橋を渡って段丘を上がって影森の町中、二十六番 円融寺、本堂工事中でプレハブの仮本堂にお参りします。影森の町を進み、二十七番 大渕寺、こちらで冬は閉めているという橋立堂の納経を合わせてしていただきました。これで16時の納経時間を気にする必要がなくなりじっくりと歩けます。でもここからは険しい山道、アップダウンを繰り返すへんろ道を大汗かいて登って、二十六番奥之院 岩井堂、荒れているけど舞台造りの立派な本堂にお参りします。一気に下って昭和電工の構内を通り、大渕寺の前を過ぎ、秩父鉄道脇の薄暗い道を歩き、セメント工場脇を通り、橋立鍾乳洞、二十八番 橋立堂に着きました。時間は17時、茶店も戸締りをしています。寒々とした岩の壁を見上げてお参りします。ここまで来られて大満足、ゆったり気分で17時25分、駅の明かりが周りを照らす浦山口駅に着いて、この日は打ち止めとしました。
    秩父鉄道で御花畑駅、西武秩父駅から西武線で帰宅しました。
  • 3回目 2021年(令和3年) 2月17日 二十九番長泉院から三十二番法性寺
    ・秩父市内、横瀬町内の札所二十八カ寺を前2回で回り終え、次の2回は小鹿野町や皆野町の遠隔地の札所をお参りします。回り切れるか少し不安でしたが、距離を稼げる走りへんろとしました。西武秩父駅から御花畑駅へ歩いて秩父鉄道に乗り浦山口駅に着いたのは8時4分、この日も快晴で適度に寒い朝の光の中走り始めました。浦山ダムを見上げると程なく、二十九番札所 長泉寺、枯山水の庭園に紅梅が鮮やかなお寺です。ここからは本格的な走りとなって、田舎道から国道、秩父鉄道沿いの道、白久駅前を左に登ってたっぷり1時間、汗をかいて、三十番 法雲寺に着きます。池が配された庭園が素敵なお寺、石段を上がって本堂にお参り、いいお寺です。また来たいと思わせる名刹です。上がった道を逆に下り三峰口駅、会社の安否確認訓練メールに返信して、高さで足がすくむ白川橋で渓谷となった荒川を渡り、国道から左に入って旧荒川村から小鹿野への走りへんろ道です。小さな峠をトンネルで越えて旧両神村中心地で県道を外れ江戸巡礼古道を辿って国道299号、三田川郵便局から左に曲がって沢沿いの狭い車道を登っていくと、観音院の仁王門、280段の石段を上り詰めると、三十一番 観音院、巨大な岩にのしかかられた観音堂にお参りします。この札所が秩父三十四箇所観音霊場の最も奥地、四国別格十三番仙龍寺にも通ずる厳しさと美しさが混じり合った最高のお寺、苦労してきてよかったと心から思える札所です。
    でもまだ先は長い、来た道を戻り栗尾で国道299号に出てから小鹿野町の町中を走り、江戸巡礼古道マップに従って大日峠越えの山道に入っていきます。登山は慣れているとは言え、何度も沢を渡る歩きにくい道を登って大日峠を越えたときはほっとしました。峠を下って車道に出てしばらく行くと、三十二番 法性寺、こちらも観音院と並んで苦労を重ねて辿り着く価値の大きな札所です。時間は15時前、日は西に傾き、山門からだいぶ高みにある本堂にお参りして納経をしていただきました。納経所の方から木の実の大黒様を頂戴して、さてどこからバスに乗ろうかと走り始めましたが、16時に松井田バス停に着いて確かめたバス時間にはだいぶ間がありました。頑張って西武秩父駅まで走ってしまおうと国道299号を進み、地形図に記載されている秩父丘陵越えの山道を、途中のイチゴ農家さんに道があることを確かめてから登り始めました。程なく小鹿坂峠を過ぎ前回お参りした音楽寺を通って秩父の街を見下ろした時にはほっとしました。車道を下り秩父公園橋を渡り秩父神社をお参りして西武秩父駅に着いたのは17時20分、我ながらよく走って歩いてお参りしたものだ、と満足感いっぱいの気持ちで電車に乗りました。
  • 4回目 2021年(令和3年) 2月20日 三十三番菊水寺、三十四番結願の寺水潜寺
    ・前回の40km超のランニングから2日あけて、秩父三十四箇所観音霊場結願走りです。西武秩父駅7時19分着、徹底的に天気に恵まれた4日間でした。本日も快晴、適度に寒いベストコンディション、すぐに国道299号を走り始めて秩父橋を渡ります。菊水寺へのルートはいろいろ考えましたが、地形図を見て走りやすい道を選んで辿ることにし、国道299号から国道140号バイパスの秩父蒔田ICの急な道を登って下って、伊古田を左折して南に走り小さな峠を越えて9時10分、三十三番 菊水寺に着きました。途中は寒かったけど、ここは日差しが温かく光溢れる春の寺です。次は峠を越えて結願の寺を目指すのですが、そんな緊張感とは無縁の長閑な道を江戸巡礼古道マップに従って、赤平川を渡り吉田川を渡り龍勢会館の道の駅脇を通り、奈良川橋合流を過ぎてすぐ左に峠に登る巡礼道に入り緩やかに登っていきます。山道で尾根を越えて頼母沢からしばらく車道を登るといよいよ峠道に入りますが、あっさり登り切った杖立峠は、土曜日とあってハイカーの姿がちらほら、お遍路さんはいません。杉木立の沢道を北に下ると、11時25分、秩父三十四箇所観音霊場 結願の寺 水潜寺に着きました。冬晴れの明るい西向き斜面に本堂や諸仏堂などが立ち並び、ゆったりとした時間が流れています。土日はこちらで納経していただけるとのことで、秩父三十四箇所、そして西国・坂東・秩父 日本百観音霊場巡礼を完結させることができました。四国とも、西国・坂東とも違う、秩父盆地と周りの山中という限られた生活圏に立ち並ぶ、そこに住む人たちに信仰された札所群、全国的なのにローカル、そこを2020年2月というぎゅっと詰まった時間に回れたことは幸せでした。
    ひたすら静かな、まったりとした空気感のまま、まだしばらく日野沢川沿いの道を走ります。栗谷瀬橋で荒川を渡り町内を過ぎて、12時45分、皆野駅に到着しておへんろアクティビティは完結しました。ここからは秩父のSLに乗る楽しみが待っています。
    2回目、とは言っても1週前の2月13日に秩父丘陵の上から盆地に響く汽笛を聞いてから必ず乗ろうと決めていました。皆野からではなく秩父駅から乗りたい、着いてすぐの下り電車に乗って秩父駅まで戻り、ゆっくりと待ちます。14時36分、SLパレオエクスプレス発車、窓を開け早春の風と蒸機の香りを味わいながら、右側、左側と景色を楽しみます。手を振ってくれる子供たちの笑顔を見ていると何故だか気持ちが高ぶってきます。16時18分の熊谷駅到着まで至福の時を過ごしました。SLという人間くさい乗り物とへんろ文化を育む秩父の風土が大いにマッチしていると実感できた1時間半でした。