「水曜日はカレーライス vol.102」 | ジャン魂G!

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ヒグチアイのLINEコラム、全3回の完結編です

東京駅について丸ノ内線の乗り場がわからなくて迷った。乗り換え案内には6分と書いてあるのに、全然つかなくて、駅員さんに聞いた。地元では丁寧に教えてくれるのに、ずっと無表情だった。この顔が見たくなくて、必死で乗り換えを覚えたんだ。ようやく見つけた丸ノ内線。丸の内、昔の彼女がカラオケで歌ってた歌に出てくる言葉だ。7人がけの座席にはちゃんと7人座る。腕がくっつくことも気にしないのか。冷たいようで、とても近い。東京。最寄駅に着けば、人がたくさん降りる。家、家、家。なんだ、家の形は、地元と変わらないじゃないか。家に着き、荷物を置いて、散歩に出る。近くによくわからない建物があって、入ってもいいのか迷って、入った。ちょっと高台になってる場所があって、そこから遠くが見えた。その時に見つけた。東京都庁。東京のビル群。僕は、東京に来たんだ。東京に来たんだ。東京で、生きるんだ。足先から鳥肌が立って、太もも、お尻、背中、指先、胸、首、顔、そして涙が出た。憧れが一つ叶った。
 
あの日見た、東京は今も変わらないのに、なぜこんなにも胸が高鳴らないんだろう。僕は。どうなりたいんだろう。どうなるんだろう。自分の力とは違う場所で、人生が進んでいるような気がする。
「東京で生きるんだ」
あの日の言葉をつぶやくと、遠くの方でドクンと音が聞こえた。僕の中の憧れは、まだ息をしている。
自転車はやっぱりない。バイトに戻ろう。自分の足で、東京の地面を踏みしめて。