
【クラクフ(ポーランド)=三好益史】クラクフで開催中の国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は9日、日本が推薦した「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県、5か所8構成資産)を世界文化遺産に登録すると決定した。
沖ノ島(宗像大社沖津宮(おきつみや)、周辺の3岩礁を含む)のほか、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が除外を勧告した神社や古墳群など4か所4資産も登録が決まった。
沖ノ島は、4~9世紀に大陸との航海安全などを祈る国家的な祭祀(さいし)が行われた痕跡を残し、戦後の発掘調査で見つかった金製指輪や青銅鏡など8万点の奉献品が国宝指定され、「海の正倉院」と呼ばれる。
イコモスは5月の勧告で、古代祭祀と現在の宗像大社への信仰は「継続性が確認できない」とし、4資産の除外を求めた。
政府は、一連の構成資産が一体となって信仰を継続させてきたとして、一括登録を求めて委員国に働きかけてきた。委員会の審議では「八つの構成資産は切り離せない一体性がある」などとほとんどの委員国がイコモスの勧告を修正し、一括登録するよう求めた。
国内の世界遺産は21件となる。