二人を乗せた青いスカイラインは近くの標高800m程度の
“目上山(メガミヤマ)”のふもとに到着した。白い息が背景の
せいか目立って見えた。桜は言う。
「この山は何度も登ったよ。何も無い所だけどそれが逆にオ
レの心を掻き立てる」
隆一は桜の後方、2mばかり距離を置いて後に続いた。
そしてあっという間に500m地点。見晴らしの良さそうな展
望台のような場所まで来た。桜は再び口を開く。
「ここからの景色は去年から季節ごとに撮ってるんだ。結構
いい写真が撮れる。今度お前にあげるよ」
振り返った桜のひたい、こちらから見てやや右より、左腕の
方に少しずれた弾丸が埋まった。クソッ。ど真ん中ストレート
を決めてやろうと思ったのによ。まぁいい。終わりよければ全て
良しだ。オーライオーライ。桜は最期の言葉「今度お前にあげ
るよ」を言い残して人生に別れを告げた。土産に貰って帰るさ。
隆一は二つ目の銃(一つ目は相内、雪見殺害に使い警察の
捜査を錯乱するため置いて来た)である通称「ディスティングイ
ッシュド・コンバットマグナム」と呼ばれるM586を使い、.38spl
弾より威力のある.357マグナム弾を桜のひたいに埋めたのだった。
隆一は展望台の柵の向こう、大体45度の斜面になっている土
の中、深さ3mの穴を近くで見つけた太い木の棒で掘り、穴の中
へ桜を落としてまた土を戻した。ココだけ表面の土の色が違うのは
怪しまれると思い、その穴の周辺に5、6個穴を掘ってカモフラー
ジュした。一つ心配なのが銃声だった。山での射殺だったため銃声
が反響していないか不安であった。一応サプレッサーと呼ばれる音
を抑える機械(自作)を付けていたため多少は響いてはいないと思
うが。さっさとここから出よう。そう言ってもと来た道を戻った。
出席番号10番 桜大悟 クリア