奈良県御所(ごせ)市、油長酒造さんの地酒、「風の森 秋津穂657」を呑む。昔「純米しぼり華」とかいう名称で、一升瓶などもあったのだけれど、今や、呑みきり推奨、品質重視で、オール4合瓶。657で、65%精米を、7で、7号酵母を表すらしい。分かりやすいし、お店で呑むには発泡感ゆたかで安心の品質になるけれど、自宅で5合ずつ2日で呑んでしまう生活をしていいたので、自分としては2割目減りして、ちょっと損した気分にもある。が、これも、風の森が旨いがゆえのケチな発想ではある。


その、風の森、を、〆さばで呑む。〆さばを選んだのは他でもない。奈良県でコロナ禍前、最後まで残っていた御所市の国鉄吉野口駅駅弁業者の柳屋さんの代表銘柄「柿の葉寿司」にちなんで、御所の地酒に合わせようという訳だ。これは、合わないはずがない。(今も京奈良はおろか東京でも、吉野の柿の葉寿司を売っているが、あれらは最後まで残った国鉄校内営業の駅弁業者ではない。あれなら、和歌山水了軒さんの柿の葉寿司や、めはり寿司の方が、まだ佳い。)


風の森の裏ラベル。一段、垢抜けた感じではある。はにわ猪口で呑みたいけれど、発泡感を味わうには、グラスの方が佳い。そして、この「秋津穂657」、ガス感、発泡感がしっかりあって、ドライな辛口に感じるけれど、反面、香りもよくジューシーな味わい。バランスの良い旨味と酸味。さすが、風の森、だなと思う。



こちらが、吉野口駅で、末期まで近鉄ホームで駅弁販売をしていた、柳屋さんの、柿の葉寿司。朧昆布を使った「絹巻き寿司」も、旨い。

伝統ある駅弁屋さんで、昭和55年には、熊本の鶴屋デパートの駅弁大会に出品したこともあるようで、駅前にある店内には、記念額などが飾られている。たまには寄って、昔の駅弁を購入し、これらのオブジェを拝見したくなるな。


さて、奈良の酒ゆえ、精進もので呑もう。生湯葉に、胡麻豆腐。こういったあっさりしたアテで、風の森の味わいをじっくり愉しむ。


全く関係ないけれど、秋田県佐竹知事推奨、愛媛県八幡浜市の「じゃこ天」を揚げ直してアテに。脂っこいアテでも、ガス感豊かな「風の森」が、さっぱりと流してくれる。


さて、ここで、〆の飯。宇都宮餃子なので、お酒は、栃木県大田原市の「菊の里」に切り替える。55%精米の「純米吟醸 夢ささら」。こいつもシャープな辛口で、餃子の強い味わいにも負けない、爽快な夏酒。今日は、切れ味良いお酒で〆よう。


ちょっと残った「菊の里」は、ナッツをおつまみながら飲み干してしまう。


で、食後の甘味は、これも奈良県とは無関係だけれど、群馬県高崎市、ガトーフェスタハラダ。この、5月まっでしか売らないちょじょレート菓子を、今日もいただく。この「ディグレス」は、チョコチップ・フィナンシェの中央に、チョコレートクリームをあしらった、濃厚な味わい。苦味の効いた、コーヒー、マンデリンで、お酒をうすめながらいただきました。ごちそうさまでした。