10月14日(木)岸田文雄首相が衆議院を解散しました。

 

ご存知のように解散は、衆議院にだけ存在する制度であり、参議院に解散はありません。

(なお地方議会にも解散はあります。ただ地方議会での解散は稀にしかありませんので、事例も少ないです)。

 

議会になぜ解散制度があるのかの解説は、別の機会に譲るとして、ここでは選挙の日程はだれが決めるのか?という点について書いてみたいと思います。

 

同日、朝、岸田総理は臨時閣議を開き、衆議院を解散することを閣議決定しました。閣議決定するというのは内閣が決める=政府が決める、という意味になります。しかしこれは内閣総理大臣が独裁で決めるという意味です。衆議院の解散権は内閣総理大臣の専権事項なのです。しかし閣議での決定は全員一致の原則がありますから、誰かひとりでも反対すれば決められないことになります。

むかし小泉総理のとき、郵政解散をしたわけですが、閣僚のなかに解散に反対する人が居たそうです。それで小泉総理はその閣僚を罷免して全員一致としたそうです。

 

このように、この解散権というのはこれほどに強い権力が内閣総理大臣に与えられているのですから、総理にはぜひこの権力を良い方向に使って欲しいものですね。

 

さて、同日午後1時、衆議院本会議が開かれ、衆議院は解散しました。そのあと岸田総理は再度閣議を開き、衆議院議員総選挙の日程を、10月19日公示、31日投開票とすることを決定しました。

(衆議院議員選挙は「総選挙」と呼称し、参議院議員選挙は「通常選挙」と呼称します。この言い方にも慣れておきましょう)。

(さらに、国政選挙の場合は「公示」といいます。国政選挙以外のたとえば市長選挙や市議会議員選挙の場合は「告示」といいます。この言い方にも慣れておきましょう)。

 

 

上記のように、衆議院議員選挙の日程は内閣が閣議決定で決めます。つまり政府が決めるんですね。これを聞いて、おやちょっと待って、と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

すなわち、市長選挙や市議会議員選挙の場合は、「○○市選挙管理委員会」が選挙日程を決めます。県知事選挙や県議会議員選挙の場合は、「○○県選挙管理委員会」が選挙日程を決めます。

 

では国政選挙の場合はどうかというと、「日本国選挙管理委員会」というのは無くて、政府が決めるんですね!

これは憲法第7条の天皇の国事行為に関係しています。

 

日本国憲法第7条は「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」と規定されていて、第4号に「国会議員の総選挙の施行を公示すること」とあります。

すなわち衆議院議員選挙の日程は天皇が公示するのですが、その中身は内閣が決める、という意味なのです。

(なお公示は官報に記載してこれを行います)。

 

(NHK News Web) 動画