ずっと当たり前だとおもっていたことが、
ちっとも【当たり前】じゃなかった。

5年前。
病院のリハビリ室で、うるっとして。
あまりに嬉しくて、感動して、泣きました。
「そうだよ!この高さの世界だよ!!この目線の世界だよ!」

めちゃくちゃ叫びたかったけど。
心の中で叫んだら、ぽろっと泣いてしまいました。

5年前。
交通事故で骨盤骨折しました。
16日間は寝たきり。30度起こしていいベッドも、最初の1週間は30度も起こせませんでした。
お小水は、管。お通じは、紙オムツ。

そこから、1週間?10日?車椅子生活。

で松葉杖生活が6ヶ月。

そんな生活でした。

寝たきりから車椅子。
車椅子から松葉杖。

車椅子から松葉杖…………になる前段階が、平行棒です。

車椅子から立ち上がって、歩く練習。
5年経ちますが、あの時のことはハッキリ覚えています。

「はい、手すりに掴まって立ってください。」

言われて、
すぐ、「はい。」とはいきませんでした。
3週間位、寝ている、座っているという生活。
「立つ」ということが「怖い」
「歩く」なんて「そんなことできない。怖い!」
だったんです。

事故の前は、普通に歩いていたのに。
立つことが怖く、歩くことを「できないのではないか?」と本当に思いました。
(後から聞いた話では、14日寝ていると…脳みそが立つこと、歩くことを忘れるそうです。……)

お年寄りではないので、私を抱えてくれることもなく。
「立ってください。手すりに掴まっていいんですよ。」と言ってくれるのですが、怖くて足がすくんでいる。

本当、怖かったです。

しかし、………やらないわけにも行かないし。
やらなきゃ。

と、恐る恐る立ちました。
立てました。

その時!
ずっと車椅子で座っていた時の世界から、
立って見える、今までの当たり前の世界がありました。

「そうだよ!この高さの世界だよ!!」

心から思いました。

身長の高さの視界の世界に戻ってこれました。