「もらとりあむタマ子」「馬車馬さんとビッグマウス」感想 | ジャンバーズ日記

「もらとりあむタマ子」「馬車馬さんとビッグマウス」感想

最近見た映画の感想をいくつか書きます。ネタバレありますので要注意。

「もらとりあむタマ子」
山下敦弘&向井康介コンビの最新作。オリジナル脚本としては「松ケ根乱射事件」らしいので、
これは観ないと、って思って昨日見てきました。
ダメ人間をずっと描いてきた山下&向井コンビなので、まあ、お得意のジャンルだから、絶対面白いんだろうけど、新鮮味に欠けるんじゃないのか?と思いながら劇場へ。
始まって30分くらい、何も起こらない。
父親に寄生してる前田敦子のダメ人間ぶりが、ただゆるく描写されてるだけで、「これはいくらなんでも手抜き作品なんじゃないか?」って気がしてきた。
だけど、父親の結婚話が持ち上がると、なんかすごく「たいへんなことになってきた!」って感じがした。それまでがあまりにも何も無かったので、「父親の結婚話」ってだけでものすごくドラマチックに感じる。
その後の展開も、実はあまり大きな事件が起こらないんだけど、なんかドキドキして、面白かった。
めちゃめちゃ抑制の効いた表現。何でこんなことが出来るのだろうか。これが小津的ってこと?
すべてのエピソードを、盛り上がる手前で止めてる。
だから、悪く言えばまったく盛り上がってないんだけど。
普通の脚本家なら、父親と娘を大げんかさせるとか、父親の恋人のところに乗り込んでいった時も、何か事件を起こすとかすると思うけど、それが何も起こらない。
まあ、でもなぜか面白い。不思議な作品。

「馬車馬さんとビッグマウス」
かなり評判がいいみたいなんで、見とかないとって思って見たんだけど、ある意味後悔した作品。
よく出来てるんだけど。
何で後悔したかというと、これ、脚本家を目指してるがずっと芽が出ない人の話だったから。
麻生久美子は脚本を書き始めて10年経つが、コンクールで一度も一次審査を通過したことがない。
安田章大は、脚本を全然書かないくせに、自分が天才だと思ってるビッグマウス。
山田真歩は、麻生久美子の友人だけど、うまいことプロデューサーに取り入って、デビューのきっかけを作ってる。
三人のキャラクターが、全部僕自身のことのようで、見ててつらい。
脚本の取材きっかけで介護の仕事をしてるってのも今の僕まんま。
映画の脚本の仕事が出来ると思って浮かれてたら、急にプロデューサーから連絡が途絶えるとかもね。
ラスト、麻生久美子は脚本の道を諦めて…。って、まあ落としどころとしては妥当なんだけど、「お前も早くあきらめろよ」って言われてるようでつらかった。
その他、脚本を書いてる人なら、誰もが経験したことあるような「あるある」の連続。
この映画の脚本は、かなり優等生的な脚本。
キャラクターがしっかりしてて、主人公の目的があって、障害があって、かせがあって、葛藤があって、って。
だから、よく出来た脚本なんだけど、あまりに優等生すぎてなんか好感もてないなぁ。

その他、最近みた映画「サプライズ」「フィルス」、どっちも面白かった。
「遥かなる勝利へ」と「ウォールフラワー」を早く観たいです。