仕事の話。
おかーさんが今、担当している生徒の中でも、重度だなーと思う子トップ3に入るFちゃん。今週はtriennial(3年に一度の評価)があった。
明後日がいよいよミーティング…という日になって、みんなで書き上げている評価レポートをさらっと読んでみた。
そうしたら。
レポートのまとめ的な部分で。
「エリジビリティ」(どのカテゴリーのスペシャルニーズに相当するか)を記すところに。
「引き続き『自閉症』」というのと。
「知的障害ではない」というのと。
「Speech and Language Impairment(言語障害)」というのが記されていた。
え!?
えーーーーー!!??
いやいや、納得いかないところがいろいろあるぞ。
びっくり。
まず。
私は「言語障害」と診断した覚えはないぞ。
(言語障害と診断できるのはSLPだけのはず)
全くしゃべらない子なので、もちろん、言語はものすごく遅れているというか障害されているけれど。
でも、言語障害があるから言語が障害されているんじゃなくて、重度の自閉症と知的障害に伴って、言語が障害されている…と言う理解だし。
「言語障害」のラベルを貼るのは、自閉症とか知的障害とかの理由がなくて、本当に言語だけが問題の場合のみにしたい。
そして、そんなことよりももっと、「えーーーー!」だったのが。
え、Fちゃん、知的障害じゃないの!?
いや、どう考えても知的障害だろう
あれが知的障害じゃないのであれば、私は今まで知的障害の人に会ったことがないのかもしれない。(うそ)
じゃあどういうのが知的障害なのか、教えてほしいぞ。(皮肉)
昔々、学校区で働き始めて、最初に赴任した小学校にいた頃(カイカイが生まれる前の時代だ)。
あの当時は、特殊学級が軽度・中度・重度 みたいな分け方がされていて。
私が働いていた小学校は「中度」学級があったのね。
その中に「軽度の知的障害」なんいて言われるような子たちが複数いて。
そういう子たちは、当然、トイレトレーニングもできていたし、椅子に座って絵本を聞いたりしていたし。
何より、年齢相応じゃなくても、言葉を連ねてしゃべっていたよ。
Fちゃん…今、中重度学級に在籍していて。
その中でも重度なほうで。
おしゃべりはできないし。
イスに座っていられるのも、隣に誰かががっちりついていても、5分持たないことが多い。
誰もついていなかったら、基本座らないし。
教室の中を絶えず歩き回っていたい子だし。
なんでも…床に落ちている食べ物はもちろん、食べ物じゃないもの…粘土やら土やら糊やら…なんでも食べちゃうよ。
水遊びが好きだけれど、きれい・汚いの感覚もないから、目を話したら、トイレの水でも遊ぶし。
おむつにうんこしちゃったときに、それが不快だから、おむつに手を突っ込んで、たまにうんこがポロリと出ちゃう…なんてことだってある。
とにかく「絶えず誰かが見ていないといけない」と担任の先生が言うような子よ。
これって…知的障害じゃないの??
っとまぁ、色々思うことがあったので。
心理士の部屋を訪ねた。
まず「言語障害」。
私、そう記した覚えはないし、そう記したくないから、削除してくれる?と。
心理士は、「もちろん。ただ、他のレポートからコピーしただけだったの。あなたの言っていることは、もっともだから、削除するわ!」と。あっさり削除。
こういう細かいエリジビリティって、なんのラベルを貼るか…どうでもいいっちゃどうでもいいかもだけれど…大事っちゃ大事なことなのよ。
どのラベルが貼られるかで、選択肢が変わってくることがあるのね。
例えば「言語障害」。
特殊教育を受ける理由が「言語障害」だけの場合=中重度学級に在籍させてはいけない。とかね。
なぜなら、「知的に遅れがあったり、自閉症などその他の理由があるわけじゃなく、言語だけの遅れなのだから、中重度のわけがない」から。
あと、親御さんの受け止め方。特に初診の場合なんだけれど。
言語障害じゃない子供の場合に、「言語障害」というラベルにすがりたがる傾向があるのよ。
本当は知的障害とか自閉症とかなんだけれど。
これらのラベルは、言語障害と違って、あまりにもインパクトが大きいから、受け入れたくない…。
それよりも、「ただ言語が遅れているだけ。言語さえ伸びたら、’普通’になる」と信じたい…。
そう思う気持ちもわかるし、子供のスペシャルニーズを受け入れるのに時間がかかるのも当然なのだが。
一方で、そうなると。
私(SLP)へのプレッシャーがやたらと強くなるんだな。
「言語!言語さえよくなれば、すべてが解決するんだから!SLPがんばれよ!もっと時間を増やして、うちの子にずっと張り付いて!」みたいなね。
いや、そういう問題じゃないんだわ…と言いたいけれど、言えない…みたいな。
だから、心理士には、ある程度、はっきり、がっちり、正しくやっていただきたい。
そうあるべきだと思う。
彼らは、3年に一回しか、家族に関わらないんだから。
(だから、生徒のことを全くわかっていないんだが(笑)。
3年に1回の出番なんだから、嫌な役であろうと、ちゃんと最も妥当なラベルを見極めて、親に伝えてほしい。
心理士さんに、「Fちゃんは、知的障害だと思うけれど、違うの?」と尋ねたら。
「Fちゃんは、もんのすぐい注意欠陥多動で、与えた課題も、ほとんど見ていなかったし、教室でも絶えず動き回っている」みたいなことを言う。
え?
あれを重度のADHDだと言うの?
いや違うだろう。
私が数年前まで見ていたS君、幼少期はなかなか重度のADHDっぷりだったけれど。彼だって、昔はADHDだけのラベルだったけれど、最近は「知的障害」になったよ。そんでもって、S君は、べらべらべらべらしゃべりまくるよ。
Fちゃんが、何でも食べちゃうこと、トイレの水でも遊んじゃうこと、おむつに手を突っ込んでポロリをしちゃうこと…
それらを心理士に伝えて、「こういうのって、知的障害じゃないの?」と聞いたら。
うーーーーーーーーーーーーーんって、苦笑いして言葉に詰まっていた。
そして、「Fちゃんって、そういう感じなの?」って聞いてきた。
だから、「私よりも、担任の先生の方がもっとよくFちゃんを知っているから、担任とも話してみたら」と伝えておいた。
で。
翌朝(IEPの前日)。
担任の先生にも話に行った。
「ねぇ、Fちゃんは知的障害じゃないっていうんだけれど、どう思う?私の目には知的障害に見えるんだけれど」と。
担任は、「知的障害かどうかは心理士が判断することだから…」と、「正解コメント」をした後に…。
心理士のレポートの中身を読むと、Fちゃんは多くのスキルが18か月レベルと記されているし、分野によっては4-6か月レベルとすら書かれているのにね…と。
ね。
7歳の子が、1歳半の発達だったら…分野によっては1歳以下だったら…ねぇ。
やっぱり、そう思うよねぇ?
そして迎えたIEPミーティングの朝。
親御さんの前で、自分の評価結果を報告する心理士さん。
最後に、「今までと同様、自閉症。そして、さらには知的障害というエリジビリティになります」とお伝えしておりました。
心理士さん、最後の最後でやっぱり変えたのね。
うん、そうだよね。
そうあるべきだと思う。
ほっとしたわ。
ー追記ー
ミーティング中に、OTが「筆記具を握るためにしっかり持つ練習をするには、クレヨンをわざと小さく折るといいですよ」的なアドバイスをしていたら、親がすかさず「She will eat」と一刀両断していた。やっぱりね。そうよね。家でも何でも食べちゃうんだろうよね。OT、返答に困っていたわ〜。