前回→■流れ■⑦最盛期(5)手術後■2009.4.10-


術後2日間くらい、麻酔の後遺症で、のどが痛く、
また、麻酔で眠っていた胃腸の動きが活発化するまで
消化活動ができないので、
食べ物も水もダメでした。
しかし、だんだん、胃腸が働いてくると、
おなかがすいてきて、
ゼリーから始め、少しずつ食べれるようになりました。
詳しくはまた「食事」の項目で記事を書きます。


さて、術後何日かして、医師や看護師さんが、
「武装」しはじめました(笑)
不織布でできたガウンを着て、マスク着用
手を洗ってから入室、素手で触ってはダメ…
同時に、点滴や使っていた薬も変えられました。
最初は、なんか、病気に感染しちゃいけない
人が入院してるのかな、大変だな、
とか思っていました。。

そしたら、何のことはない、それは私でした。。
術後、白血球の数が下がって、
感染症にかかりやすい状態になっている
ということで、
完全防備で臨んだのでした。
いろいろ検査をして、血液内科の先生にも
お世話になり、
そしてだんだんと数値は上がっていき、
結局のところ、点滴や薬が原因であろう、
ということになりました。

しかし、そんな折の
4月19日夜。
なんだか、体がむずがゆいような、
全身むかむかするような…
本人の言葉で言うと、「暴れたい」のでした。
手足をばたばたさせて、赤ん坊のように…
手や腕に宿ったむかむかが、
ベッドの布団や柵をばんばん叩かずに
いられないような…

実は、その症状は術前にもありました。
2回くらいあったような気がします。
その時は、頭痛に効く強烈な点滴薬のおかげで、
睡魔に襲われ寝てしまったのですが、
「感染症対策」関連で、
その薬は中止になってしまっていました。

その事実はもうわかっていたので、
代わりになる睡眠導入剤などを希求したものの、
その当時、まだ頭痛も治まらなかったので、
意識がないのか導入剤で眠っているのか
わからないため、無理、といわれ却下。

夜中にも同じ内容でもう一度看護師さんを
呼び、説明するものの、
しどろもどろで、話が通じませんでした。

話したいのに、伝えたいのに、
わかってもらえない、もどかしさだけが
残りました。

そしてその日…
人生で初めて、幻覚を見ました。

目の前にあるベッドの柵に、
母が持ってきてくれた洗濯ばさみでゴミ袋用の
ビニール袋をつけていたのですが、
その洗濯ばさみの色がなんか違って見えたり、
柵とビニル袋の間に何か膜みたいなものができて
これじゃゴミが捨てられないよ~、
と思ったり…

部屋の壁に何かよくわからないけど、
子供向けの交通安全のイラストみたいなものが見えたり…

部屋に時計はないはずなのに時計のある
カラフルなインテリアのモダンな病棟になってたり…

今からすると、
変な夢を見てたのかもしれませんが、
自分の意識ははっきりしているのです。
いや、はっきりしているように思っている夢の中なのかもしれませんが…


そのあと、いつ眠りに落ちたのかも
わかりませんが
気づいたら朝で、
看護師さんに「熱下がってよかったね」
と言われました。

その日、熱があったことすら覚えていません。
相当高熱だったようです。
そして、意識を失っていたようです。

後々になって、
バルーンの管を交換する際に
尿道感染したのでは?ということになり、
その一件から、一段とバルーンの交換等に厳しくなったのでした。

*バルーンとは…尿道カテーテルとも言い、
 今や寝たきりの患者の必需品です。
 尿道から管を出して袋に溜めます。その一式のことです。

今思えば、やはり白血球数が下がっていたことで
感染しやすい体だっただけに
仕方のないことかもしれませんが、
改めて振り返ってみると、怖いですね。

ちなみにそれ以来、幻覚も高熱もありませんでした。

そんなこんなで、4月も下旬に差し掛かり、
入院してあっという間の一か月が過ぎていました…

次回→■流れ■⑨最盛期(7)再会■2009.4.下旬