手術2日前、両親への説明の際、手術説明の内容を紙でもらっていました。
その内容の一部です。

***** 以下コピー *****

術前診断:破裂脳動脈瘤
 2回目の脳血管造影検査にて左後下小脳動脈に脳動脈瘤が見つかりました。くも膜下出血の広がりとも合致し、今回破裂したものと推定できます。
 動脈瘤は放置すると高率に再出血します。再出血を繰り返すと命にかかわります。再出血を防止するための手術が必要です。

予定手術:開頭クリッピング術、脳室ドレナージ術
 開頭クリッピング術
 左後頭部を開頭し動脈瘤を露出し、クリップで動脈瘤を挟み再破裂しないように処置します。後下小脳動脈は椎骨動脈の枝で、このクリップにより正常な血液の流れがとだえるとその潅流域の脳幹や小脳に脳梗塞をおこす可能性があります。その場合は意識障害や、小脳失調、麻痺の原因になります。脳動脈瘤近傍には迷走神経、副神経、舌下神経が走行しています。これらの神経に障害がでると嚥下困難になります。手術中に再出血することもありえます。

 脳室ドレナージ術
 くも膜下出血後の水頭症が生じています。過剰な脳脊髄液を排出して頭蓋内圧を正常に近づけるようにします。前頭部の頭蓋骨に小さな穴を開けて脳室内にドレーンを挿入します。


手術の合併症
①大量の出血(輸血が必要になることがあります)
②脳梗塞や脳出血の発生(意識障害や麻痺など症状の悪化を招きます)
③感染症
④髄液漏
⑤全身麻酔の影響


***** コピー:これまで *****


今読み返してもすごく怖いことが書いてありますね。
しかし、医師には説明責任があり、治療に際して起こりうる
ことの一つ一つを説明しておかなくては、
いざ、そのうちのどれかが起こってから
「聞いてない」はあってはならないのです。
こちらも、命を預けるし、
医師も、命を預かるのですから。

幸いにも、手術説明にあるような障害はほぼ9割がた、起こりませんでした。
命にかかわる、脳梗塞や再出血など、起こるか起こらないかは
医師の腕でもなんでもなく、本人の生命力と、過剰な反応の起こらない奇跡が
決めるものだと思います。
いわば、運です。
私は、本当に運がよかったと思っています。
破裂脳動脈瘤を抱えて3週間生きたこと、
2回目の造影検査で動脈瘤が見つかったこと、
手術が無事成功したこと、
その後も無事だったこと。

残念ながら、手術がうまくいったかに見えてもその後の反応で
亡くなる方もいらっしゃいます。
この病気が起こる原因を突き止めるのと同じくらい
難しい問題です。
医学技術の発達で、以前よりは延命措置ができるようには
なってきていると思います。
けれど、最後は、神にゆだねるしかないのかもしれません。
もちろん、大切な誰かが、一生懸命、その人のことを思ってあげるのも
大切です。
祈りは通じ、奇跡は起こる。それは私も信じています。
前向きになれば生きる活力は病気もふっ飛ばします。
ぜひ、信じて、がんばりましょう。
苦しさはいつまでも続くものじゃない。
私もそう思って、乗り越えてきました。
その先にある光を信じて。