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4月8日。
いよいよ、手術を翌日に控え、準備もひと揃え。

頭の手術なので、髪の毛を洗います。
とはいえ寝たきりの身。
今は、ベッド上で洗髪もできるのです。
ゴムでできたトレーのようなものに頭を乗せ、あとは
普通にシャンプーして、お湯を入れたボトルですすぎます。

そして、清拭してもらい、手術着に着替えます。
手術着といっても、手術室までの往復に着るだけで、
実際手術の時は別の清潔な布で体を覆います。
ほこりひとつ、嫌う現場というわけです。

恐る恐る、看護師さんに、髪の毛のことを聞きました。
返ってきたのは半分予想はしていたものの、曖昧な答え。
「場所によっては大丈夫かもしれないけど、やっぱ頭だからねぇ」

夕方、父一人が、病室に来ました。
母はその日、来ませんでした。

私自身、人生初の大手術。
先生に安心して任せよう、と思ったとはいえ、
やはり、「もし死んだら…」ということも考えます。
もし、そうなった時、一番最後になるかもしれない今日に、
話したい人…
彼でした。
どうしても彼に電話で話したいことがあるから、
ケータイを貸して、と頼んだのですが、答えはNO。

入院初日にはあった私のケータイは、いつのまにか
親が持って帰っていました。
恐らく、病状からしても、ピコピコとケータイをいじるのは
危ないと、思ったのでしょう。
2年前髄膜炎から脳炎になりかけた時に入院当初
面会謝絶で蛍光灯もつけてはダメ、ケータイやTVなど
光に関するものももってのほか、という時期がありました。
そういう経験も災いしました。

だから、
父のケータイに望みを託したのですが、
やっぱりNO。

なので、母から電話してもらうことにしたのですが、
「頭の手術だから、髪の毛、なくなっちゃうかもしれないから、
せっかくやってもらった髪なのに、申し訳ないことしちゃうから…、
いいウィッグ、探しておいて」って言っておいて、
と父に頼みました。
最後のはその時の精一杯の強がりの、冗談です。

そうしたら、父は、「わかった」といい、そして
「でも、おまえの手術する場所は頭がい骨のすぐ下のところだから、
髪の毛も必要な部分だけ切るけど、残してくれるって先生が言ってたよ」
と…

私の一夜の迷いはどこへ…!!!!!(笑)

その事実も伝えた上で、「冗談で、って言ってたよ、って伝えとくから」
と言って、その日は早々に病院を後にしました。

その日は他に、麻酔科の医師、手術室の看護師さんが
来ました。
麻酔科の先生は、全身麻酔の説明と、後に残る障害について、
その可能性を話して、麻酔の同意書に父にサインしてもらいました。
手術室の看護師さんは、手術の流れを説明していきました。
まず、部屋に入ったら、着衣をとり、酸素マスクをつける。
全身麻酔の措置をして、手術を始める。
前後して、手術室の中の準備室のようなところから、手術をする部屋への移動。
手術のあとは麻酔を解除し、すぐに目がさめる。
病室に戻れる状態になったら病室に戻る。

「何か質問はありますか」
と訊かれたので、「だいたい、一般的に何時間くらいかかるのですか?」
と訊いて見ました。
7~8時間、ということでした。
ただし、麻酔がかかったり、覚めたりする時間は含まれないとのことでした。

そして、いよいよ、手術の朝を迎えます…
前日の夜は、頭痛こそあれ、
「強烈な頭痛薬」の点滴の副作用で、寝入りはよかったような気がします。

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