昔の風を感じる『見残しの塔』 | e-julian let-it-be

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日々、徒然なるままあるがまま。




留学する娘のために働かねばと思ったとたん、
いろんなところから仕事が入り始め嬉しい悲鳴をあげています。

ということで、
都内の編集プロダクションに通う長い通勤途中に読んだのがこの本。

私の久々に好きな本です。

隙あらばたくさん送ってくる最近の父の本は、
私の不得意分野である経済とか世界情勢とかを扱ったのが多いんだけど、
それにまぎれて入っていたこれは、ステキな時代小説。

もう一度読んで味あわないと語れない気もするんだが、
平たく説明してしまえば

宮大工を志して九州の村から旅に出た青年と
若狭で生まれ育った新田義貞の血を引く娘と
彼らにまつわる人々の物語。

1919年生まれという著者の年齢に驚きながら、
でも、だからこそ書けるんだなと妙に納得。

優しい文体で描かれる人間模様に、
人の心はきっと今も昔も変わらないんだな
とほっこりしてしまいます。

もう一回読も。



見残しの塔―周防国五重塔縁起 (文春文庫)/久木 綾子
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