宮沢賢治の

「注文の多い料理店」は有名ですが

これに、「序文」があるのをご存知ですか?


私はついこの間まで しりませんでした。


宮沢賢治童話集の 解説のページで

初めて知りました。

(そうしたら、子供向けの文庫にも、 

 ちゃんと最初に序文が載っていたのでした。

 今まで そこをとばして、本文から読んでいたんですね。)


すてきな序文なので 紹介させてください。


わたしたちは、 氷砂糖をほしいくらいもたないでも、

きれいにすきとおった風をたべ、

桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。


またわたくしは、はたけや森の中で、

ひどいぼろぼろのきものが、

いちばんすばらしい びろうどや羅紗や、

宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。


わたしくしは、そういうきれいなたべものや きものをすきです。


これらのわたくしのおはなしは、

みんな林や野はらや鉄道線路やらで、

虹や月あかりから もらってきたものです。


ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、

十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、

もうどうしても こんな気がしてしかたがないのです。

ほんとうにもう、

どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、

わたくしはそのとおり書いたまでです。


ですから、これらのなかには、

あなたのためになるところもあるでしょうし、

ただそれっきりのところもあるでしょうが、

わたくしには、そのみわけがよくつきません。

なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、

そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。


けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾切れかが、

おしまい、あなたのすきとおった ほんとうのたべものになることを、

どんなにねがうか わかりません。



宮沢賢治の童話は

とても奥が深いです。

岩手県の大自然の中で

神さまから いろんな たいせつなお話を教わって

わたしたちに こうして伝えてくれているんですね。


賢治の残してくれた

「すきとおったたべもの」を じっくりと味わい、

こころの栄養にしたいと思います。