ちっちゃくねぇ?゚・:,。☆
こんばんワン゚・:,。☆
今日、会社帰りにホームで電車を待っていたら、
60歳過ぎと思われるご婦人に声を掛けられました。
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婦人 『この電車は○○駅に行きますか?』
ジュリ 『はい、行きますよ』
行くも何も、そこは私が降りる駅だった。
ふたりで電車に乗り込むと、車内は8割程の混雑だったが、
ご婦人はまだ席を譲られるような歳ではない。
婦人 『息子のね、所に行くのに初めて出て来たんですよ。』
ジュリ 『そうですかぁ、それはお疲れになったでしょう。
私もその駅で降ります』
ご婦人は重そうに荷物を持っていたが、大事そうに抱えているそれを
「お持ちしましょう」と言っていいものかどうかわからなかった。
ジュリ 『電車の中だけでも、お荷物お持ちしましょうか?』
婦人 『大丈夫です。重くはないですから』
田舎から出てきたのだろう。
東京は危ないという認識を持っているかもしれないし、
息子さんにも気をつけろと言われているかもしれない。
私は、後は駅に着いたら、ご婦人に降りることを
促せばいいだろうと思ったが、
止まる駅もわからずに電車に乗った
おぼつかなさがちょっと気になった。
ジュリ 『息子さんのお住まいまではわかるのですか?
お迎えに来ているとか?』
婦人 『だいたいの時間は言ってあるし、
前に地図を書いてもらってあるからぁ』
何を握りしめているのかと思ったら、
地図だったのか。
ご婦人はそれを私に見せた。
私のいつも降りる出口とは別の出口でよくわからなかったが、
駅からそう遠くはなさそうだった。
ジュリ 『携帯電話はお持ちですか?』
婦人 『持っとらんです』
その出口付近には、確か交番もなにもない。
この小さなご婦人が困った時、
真っ先に思い浮かべるのは交番だろう。
ジュリ 『大丈夫ですか?』
婦人 『大丈夫ですよ。息子がきてるかも知れないし、ご親切にどうも』
ご親切に、と言ってるものの、私を見上げるその目には、
少し警戒の色が見られた。
ご婦人は、私が若い女だから声を掛けてきたのかもしれないが、
若い女だから安心という保障はどこにもないということか。
でも若い女は、安心ではない、と思われる以上に、この街では
自分の身が危険だ。
こうしている間にも、私が痴漢にあっても
さほど不思議なことではないのだ。
私は、もう何年か東京に住んでるし、この街が好きだ。
でも、首都圏内と言われる実家に帰る時、普段は思わないが、
都心を離れると、ふと人の暖かさを感じることがある。
気温は下がるが、人の温度は上がるみたいな。
しかし、本当は東京だからって変わらない。
人口が多いから犯罪も多い。それだけだ。
事実、私が東京で関わってきた人達は、
ほとんどの人が親切でやさしい。
私はご婦人にこれ以上はやめようと思った。
私だってめんどくさい。
何も好き好んで親切の押し売りなんてしたくない。
そこまでお人好しでもない。
親切心でやったことが、警戒されては親切にするのがいやになる。
それはとても寂しいことだし、悲しいことだ。
人として、大人として最低限のことはしただろう。・・・
が、田舎から初めて息子さんを尋ねて上京してきた。
その哀愁に縛られてどうしようもなかった。
駅に着いた。
どうしようか迷ったが、少しだけ様子を窺うことにした。
ご婦人を促し、私は前を歩いた。
婦人は時折足元見ながらだが、躊躇せずに歩いていた。
いつもとは違う改札を出て、私は「それではお気を付けて」と
頭を下げた。ご婦人も頭を下げていた。
私は立ち去る振りをして、隠れて見ていた。
ご婦人は立ち止まり、クシャとなった地図を少し見て歩き出した。
その時、30過ぎの男性が婦人に寄ってきて声を掛けた。
息子さんか?
携帯を持っていないのだ。かなり前から来ていて、何本も電車
からの人を探し、見送ったのかもしれない。
顔も似ているようだ。婦人が笑っている。
間違いなく息子さんだろう。
私は、自分のマンションへの最短の道を考えながら歩いた。
あっ、スーパー!
そうだ、私はここに寄って買い物をして帰ろうと思ってたんだ。
会社を出た時には覚えていたのに、すっかり忘れていた。
よかった。ご婦人に会わなかったら別の出口から真っ直ぐ
帰ってしまうところだった。
どうしても買わなくてはならない物があったのだ。
あぁ!しかも特売日じゃん!
やっぱりいい事はするものねぇ~。
神様からのご褒美かしら・・・
って・・・神様のご褒美・・・ちっちゃくねぇ?
*北方 謙三ばりに、ハードボイルドタッチで書こうとしましたが、
くどいだけで、失敗に終わってしまったわぁ~!(笑)
ジュリアでした!(b^-゜)