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Juliwolfmunのブログ

腐女子じゃなく主腐じゃないかと自負するもののブログです。
ここのサイトの作品は、二次創作であって、出版社様・原作者様とは全くもって関係がございません。

あれから半年、俺はあの教会に頻繁に通うようになっていた。生活の為の仕事を終え、疲れた身体を癒す為に教会にいく。
エアリスと他愛もない話をして英気を養い家に帰る。その繰り返しだった。

今日も同じようにエアリスと会って部屋に戻ってきた。ベッドの上には相変わらずのクラウドが座っている。
俺は、座りっぱなしで固まってしまっている身体を解すようにマッサージをしてやり、身体を温める為に湯船に連れて行く。
そして、こんな状態になっても輝きを失わない髪を丁寧に洗ってやる。

風呂から上がったら、洗いたてのパジャマを着せて髪を乾かしてやり食事を取らせる。最近は口を突けば自ら緩やかに口を開いてくれるようになった。
これも少しは回復傾向にあるということなのだろうか?
歯磨きをしてやり、ベッドに横たえさせブランケットをかけてやれば、小さな寝息が聞こえてくる。

その姿を見つめて、俺は深いため息をついた。

「いつまで続くんだろうな?お前は今どこにいるんだ?いい加減戻ってこいよ。じゃないと俺…」

サラサラと見た目より柔らかい髪を手櫛でときつけながら、そう呟く。相手は気づいていないだろうとたかをくくって。
ザックスは、そっとベッドから降りて上着を羽織り、クラウドに「少し出かけてくる。おとなしく寝てるんだぞ?」と声をかけて出かけて行った。





クラウドは意思表示は出来ないが、完全に意識は戻ってきていた。

ザックスは相変わらず優しい。俺に食べさせる為に仕事をして、疲れた体で食事を作り俺の身の周りのことをしてくれる。
でも、その優しさに変化が訪れたのは半年ほど前から。ザックスの身体から軽い花の香りが漂ってくるようになった。
フレグランスじゃない、天然の花の香り。

元々、ザックスは女性が大好きで隣に誰もいない事がない位だった。
そんなザックスが、なにをトチ狂ったのか、人付き合いも下手で上手く対処出来ない俺を好きだと言ってくれた。
ザックスに好意…友情以上の恋愛クラスの好意を抱いてた俺には、天にも昇る気持ちだった。

そんなザックスがあの出来事以来、まるで人形のようになった俺に愛想をつかすのは時間の問題だと、自分でもわかっていたんだ。
裏切られたなんて思わない。逆にその女性と幸せになってほしいとすら思ってる。
前にザックスがシルビア女史のところからもらってきたチラシを、俺は読めないだろうと俺の目の前に置いておいたことがあった。
それには、神羅のソルジャー専門の療養所が開設されると書いてあった。完全看護システムだから、ザックスの手を煩わす事はないのだろう。
俺はそこに行きたいと思った。死ぬことが叶わないならば、そこに入れてくれればいいのに…。
しかし、俺にそのことを告げる手立てはなかった。

今夜も、ザックスは俺をベッドに寝かせてから出かけて行った。ここのところ毎日だ。 
アルコールの香りはしてこないから、飲みに行ってるわけじゃないだろう。少しずつ香っていた花の香りが、ここ最近濃くなって来ていた。…まあ、そういうことなんだろう。
仕方がない。俺にはもうザックスを満足させてあげる事が出来ないのだから。

一度だけ少しアルコールが入っていたのか、その女性の事を話したことがある。なんでもスラムの外れの教会にいる女性らしい。
風俗やその手の女性じゃないらしい。心が癒されると言っていた。いつか俺にも紹介したいと…。

今、俺の心の中は凄まじい嵐状態だ。ザックスに幸せになってほしいと思う反面、俺の事を見捨てないで欲しい…、俺があいつの一番じゃ無くなったことに対する悲しさ悔しさ。それらがグチャグチャになって悲しいよ…。


朝方ザックスは戻ってきた。今日は帰宅が遅かった。向こうに泊まって来たんだな。
俺の側にきて「一人で寂しかったか?すまなかった」と耳元で囁いた。
本当は思ってもいない癖に!
ザックスは、俺を抱き上げトイレに連れて行った。俺は水分は殆ど取らないので、朝方に一度だけ連れて行ってもらえればそれで用が足せる。
俺を抱き上げつつ、「また軽くなったな。」と軽口を叩きつつトイレにいく。そして、俺自身に俺の手を持って行き、自分でするように言い聞かせる。
これは俺も感謝してる。意思表示が出来ないだけで意識はあるから、赤面ものだ。
俺がし終わった頃、ザックスがやって来てまたベッドに連れて行く。そして、今度は寝かさず座らせお食事タイムだ。

ここまでが毎日の仕事。本来ならばここにおはようといってきますのキスが入るのだが、ここ何ヶ月もそれはなくなっていた。

今日は時間があるのか、ザックスが朝の仕事が終わった後もうちにいる。そして、ジッと俺の方を眺めている。

「なんか…重くなってきたよな…。お前、なかなか良くならねーんだもんよ。」

ザックスがハッとして口を噤む。言ってはいけない事を言ってしまったのだろう。バツの悪そうに頭をかいている。これはザックスの癖だ。

「嘘嘘、冗談だよ、クラウド。」

俺の顔をみてシミジミという。
「相変わらず美人さんだよな?お前。でも…」

そう言ってからザックスは部屋を駆け出して行った。
その後ろ姿を俺は眺めることしか出来なかった。


***

ここ半年ほどエアリスの教会に行くのが俺の楽しみになっていた。最初は純粋に心の疲れを癒すために教会に通っていたのだが、ここ最近は違った感情を持つようになった。

部屋にいても、あれから随分と時間が経ったのに何の回復も見せないクラウドがいる。正直言ってクラウドに対する愛情が、義務的なものに変化してきている事に、俺は薄っすらと気がついてきていた。
それはエアリスの存在が大きいのは間違いない。当然のことながら彼女は話して動ける、そのことは今の俺にはとても大きいんだ。

一度そういう事に気づいてしまうと、クラウドの存在が重くなってくる。ここ何ヶ月は夜クラウドを寝かしつけてから、教会でエアリスと会うのが日課になった。
日中は生活のための仕事があるだめ、なかなか会えない。
エアリスも養母との家を、花の世話をしたいからと出て、教会の奥の一室に居住することになっていた。そこに俺は入り浸っていた。

俺もまだ20代の若い男だ。溜まるものは溜まるんだ。あんな状態のクラウドに手を出すわけにもいかず…いや、一度だけ出した。でも無反応の人形を抱いている感じで、快感も何もなかった。それにそのあとすぐクラウドは高熱を出してしまったので、それっきり手を出せなくなってしまった。
仕方がなく、夜こっそりとクラウドとのベッドを抜け出し、その筋のお姉ちゃんのお世話になっていたりしたけれど、あまり盛り上がらないのだ。
俺はクラウドを愛してるいるから…。そう思っていた。
でも、エアリスと会ってそれも変わってきたのに気がついた。彼女は癒しの存在なのに、いつのまにかこの手で抱きしめたくなっていた。でも、理性がそれを思いとどめていた。
しかし、エアリスが教会に引っ越したと聞いてそれは脆くも崩れ去った。
その日、夜訪ねた俺をエアリスは快く迎え入れてくれた。
そして、何時ものようにエアリスは俺の手を握って俺の話を微笑みながら聞いていてくれてた。

その日エアリスは、俺を教会の礼拝堂ではなく、居住区間である自室に迎え入れてくれた。
そして、握りしめている俺の手をさすりながらこう聞いてきた。

「まだ大切な人を変わらず思ってる?」

と聞かれれば、俺の脆い鎖など簡単に引きちぎれてしまう。俺はエアリスに「比重はエアリスの方に偏ってきている」と伝え、その言葉を聞いて嬉しそうな顔をしたエアリスの唇に自分のそれを押し当てた。
本当に久振りのキスだった…。

でも、最後までは出来なかったんだ…。クラウドの顔が頭にチラついて。
ああ、俺はあいつの事心から愛してるんだなと悟った。エアリスとはそれからも、ハグまでの関係を保っていた。
彼女もそれ以上は望んでいなかったのだ。
そんな関係を続けている中、クラウドがどんなことを思っているかなど、その時の俺には全く思いやる余裕はなかった。
そのことが、俺にとってもあいつにとっても人生の岐路に立たせることになろうとは…。



2013/12/9