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Juliwolfmunのブログ

腐女子じゃなく主腐じゃないかと自負するもののブログです。
ここのサイトの作品は、二次創作であって、出版社様・原作者様とは全くもって関係がございません。

「それでさぁ~、ようやく俺を頼ってくれたわけよ!」
「ふ~ん」
「ふ~んってなによ?漸くだぜ?初めてスラムの教会であってすぐメアド交換したのに、全くメールくれなくてさぁ。やっと俺を頼ってくれたんだ。嬉しいわけさ、俺としては。」

元々その日あった事をおもしろおかしく話してくれる奴だったが、最近はずっとスラムで出会った女の子の話ばかりだった。
どうやら、同じソルジャー仲間にはウザがられているらしく(まあ当然だと思うけど。)、俺にそのお鉢が回ってきているわけだ。
それもわざわざ自分の部屋に俺を招いてまで…。

「クラウド?聞いてないだろ?」
「聴いてるよ」
「嘘だぁ。」
「聞いてるって、その女の子…エアリスだっけ?その子が"やっと"頼ってくれたんだろ?よかったな。」

ザックスは、俺の適当な返事に気分を害したのか、あいつには珍しく不機嫌そうな顔で俺の方を見ていた。
だって、しようがないだろ?誰が好き好んで好きなやつの惚気話聞かないといけないんだ?

アンタがその子にかける思いのホンの少しでいいから、俺にもかけてくれれば俺は…なんて、かないっこない希望は自分の心の奥深くにしまいこんでロックをかけてしまえばいい。

俺の凍りついた心を溶かすのが得意なアンタでも、こればかりは無理だろうね。

「クラウド、機嫌悪い?」
「いや、別に。」
「そう?」
「機嫌は悪くないけど、特に用がないなら、俺帰っていいか?アンタも、その女の子に頼まれた花売りのワゴン作りにいった方がいいんじゃない?」

そう言ったら、ザックスは驚いて目を丸く見開いた。

「本当に聞いていてくれたんだな。」
「あのなぁ…」

なんなんだこの男、人を馬鹿にするのもいい加減にして欲しい。
そうやって、いつも俺を試すような目で俺を見ないで欲しい…。

「それと、こんなつまんない俺なんかと時間を過ごすより、彼女と一緒にいた方が有意義じゃないの?これからはそうしなよ?」

もうアンタの惚気話はこりごりだ。

「えーっ!何でそんな事いうんだよぉ…そうだ!今から一緒にエアリスの所行かないか?クラウドに紹介するよ。」

……開いた口が閉じないってこういうことを言うんだと、身を持ってわかった瞬間だった。

「どうしてだよ!」
「彼女、空が怖いんだって。スラムに住んでいるから空を見たことがないから。で、お前の瞳の色空色だからって話したことがあってさ、きっとお前だったら怖がらないで済むと思うし…ダメ?」
「ダメって、ダメに決まってるだろっ!」
「どうして?一緒にいこ?」

そう言って俺の腕を力強く掴み、引っ張り外に出かけていく。

なんなんだこの展開は!
(イヤだ、会いたくない!)
振り払おうにもそこはソルジャーとしがない一般兵との差で悲しい事にビクともしない。いつもはこんなに無理やりな事したりしないのに。
俺が嫌だといったら、無理強いは決してしなかった。なのにどうして?

いろいろ考えていたら、いつの間にかスラム行きの電車に乗り込んでいた。
車両にはそこそこ人が乗っていて、それでも二人で並んで座れないわけではないので腰掛けた。

(ヤバイ…気持ち悪い…)

自分の意思で乗ったわけでもない電車で酔うなんて最悪って思っていたら、隣から大きな掌が俺の背中をさすっていたことに気がついた。

「悪りぃ、クラウドが乗り物に弱い事忘れていた。ごめんな?」
謝るくらいだったらこんな事するなよって、怒鳴りたいのだが気分が悪くそれもままならない。

「うぅ…」

俺が黙ったのを了解と取ったのか、ザックスは背中を摩り続けている。
そうしているうちに電車はスラムの5番街に到着した。降りる人もまばらだが、匂いが独特なもので乗り物酔いが悪化しそうだった。

「ここはプレートの上に比べてすげぇ所だけど、なんだか落ち着く街なんだよなぁ。田舎出身だからかな?」
そうザックスは呟いた。確かに都心部にあるはずなのに、雰囲気は田舎のそれに近い感じだ。

「クラウドは初めてか?スラム」
「ああ。アンタが危険だから行くなって口うるさかったからな。」
少し嫌味っぽく答えてみても、浮かれ気味のザックスには効かなかったらしく
「そうだったよな。これから俺と一緒にちょこちょこ遊びに来ような?」
なんて守られそうもない約束を口にしていた。

「さて、教会はこっちだ。行こうクラウド。」

また俺の意見を聞かずに腕を引っ張るから、思わず振り払ってしまった。
ハッとしてザックスの顔を見ると、なんとも言えないバツの悪そうな顔をしていた。

「ご、ごめん」
「いや、こっちこそ。さあ行こうぜ。でもここは少し危険だから手は繋がせてくれよな?」

今度はそう俺に断りを入れて、そっと俺の手を握ってきた。大きなザックスの手。
そっと横目で見ると、俺の手がなんだか貧弱に見える。
こうやっていつまでも繋いでいれたらいいのに…と、希望の薄い望みを抱いた。
今から彼女の所に行ったら、俺の事なんて頭の中から消え失せてしまうだろうから、今だけは…。

少し歩いた所にその教会はあった。建て付けの悪そうな音を響かせてドアを開くと、そこには床一面ミッドガルでは珍しい色とりどりの花が咲き誇っていた。

「凄い…」
「な?すげーだろ?これ、エアリスが一人で育ててるんだぜ?」

何故か自分の事のように自慢気に話すザックスに突っ込もうとすると、奥からクスクスと笑い声と共に人影が近づいてきた。

「クスクス、まるでザックスが育てているみたいじゃない?それじゃあ。」

人懐っこい笑顔のエアリスと呼ばれたその女性は、今までザックスと噂になったどの女性ともタイプが違う、茶色の巻き髪にピンクのリボンをした大人しめの女性だった。
勿論俺とも違う、まあそもそも性別が違うわけだが、俺が女だとしてもこの母親譲りの髪の色から考えるに、こんなに大人しめの女性にはならないだろう。

「半分?三分の一は俺の労力も入ってない?」
「全く。」
「えーっ…」
「ねぇザックス?その人はどなた?」

女性はザックスに振りながら自分から紹介し始めた。

「私、エアリス。あなたは?」
そういって手を差し出した。
俺は手のひらをスボンで擦ってから握手した。
「ク、クラウド、クラウド・ストライフです。」
「クラウド、あなたの瞳空みたいね。」

花を弄っていた手を払いながら、ザックスが声をかける。

「だろだろ?エアリス、空が怖いって言ってたからさ、これだったら怖くないかなって。綺麗だろ?こいつの瞳。俺のお気に入りなんだ。」
「うん、綺麗~。」

俺の瞳なのに何故か自慢気にするザックス。なんか、ここにいるザックスは俺の知ってるザックスとは別人じゃないんだろうか?

「しまった!」
俺の瞳を覗き込んでいたエアリスは、ザックスの叫び声でザックスの方に走っていった。
することもなく、長椅子に腰掛けて二人を眺めていた。

顔を付き合わせて、花を移植している様子はまるで恋人の様だった。

いや、恋人なんだよな…。エアリスも満更じゃなさそうだし。なんか、俺ここにいるの場違いなんじゃないか?
二人はとてもお似合いじゃないか。俺の出る幕なんてこれっぽっちもなかったんだ。これをわからせるためにザックスは、無理やりここに連れてきたんだろうか。
そうだったら酷いな…。
とりあえず帰ろう。ここには俺の居場所はないのだ。

「ザックス、俺…帰るよ。」
花を植え終わったらしく、すでに手を洗い終え、ジョウロで水をやっていたザックスは、驚いて駆け寄ってきた、

「どうしてだ?これから三人で食事でもって…」
「二人でどうぞ」
「ここら辺危ないから、帰るなら送ってく。」

ザックスの言葉と聞かないまま、俺は早歩きで駅を目指した。ご自慢の脚力を駆使して追いついたザックス。

「どうしたんだよ~とりあえず一度教会に戻ろう?」
「嫌だ。ザックスだけ戻ればいい。俺は帰るよ。それと、さっきも言ったように、これからはエアリスとの時間をたくさん取った方がいいよ。」

振り払おうと必死にもがくが、ビクともしない手に少しイラつき、怒りのままに感情をぶつけた。

「なんだよ!」

俺は持てる限りの全力疾走で、その場を走り去った。

「なんだって言うんだよ…」
なかなか戻ってこないから、心配したのかエアリスも外に出てきた。
「あれ?クラウドは?」
「あ、ああ、なんか先に帰るって帰った。」
「ゆっくりして行けばいいのに…」

二人で教会まで戻ってみると、そこにはエアリスが用意したのか、小さなテーブルの上にティーセットが置いてあった。

***

あの日、スラムから帰って来てから一度もクラウドとは話が出来ていない。
せっかく【トモダチ】になったのに。
なかなか本来の自分を見せてくれなかったクラウドが、ようやく見せてくれるようになって来たのに、これっきりで終わるなんて嫌だな。

こうなりゃあの手で…と、ソルジャー権限をフル活用して、クラウドのスケジュールを確認する。
今日は午前中で終わりのようだ。勤勉家なクラウドだけある。使えないわけじゃないが、一般兵は滅多に使わないトレーニングルームを予約している。
「ずっと逃げられているからな。ここしか勝負かける所ないでしょ?なあ、カンセル」

IT関連には滅法弱い俺が、端末を使って盗み見る事など何も出来るわけなく、そこは情報戦がお得意な友人のカンセルに頭を下げてお願いした。
というか「お前が触ると壊しそうだから、頼むからやめてくれ。」と涙ながらに頼まれたのが真相なのだが。

出てきた情報を俺の端末に転送し終えたカンセルが、せめてもと俺が入れたコーヒーを啜りながら聞いてきた。

「けどさぁ、一体何があったんだよ?前に漸く壁を取っ払って、自分に本心を見せてくれるようになったと喜んでいたのに。」

このコーヒー不味いなと文句を垂れながら、それでも答えを誤魔化すことは許さないよ?的なオーラをバシバシ出していた。

「あ、ああ。実はな…」

と、スラムであった事を説明した。聞いた後大きく溜息をついて「お前、バカ?」といいやがった。

「馬鹿ってなんだよ。」
「同僚たちがお前の惚気話を聞いてくれないからって、クラウドに話してたのか?」
「だって、クラウドはちゃんと聞いてくれていたんだぜ?」
「そこがバカだって言うんだよ。どこの世界にソルジャーの話を無下に出来る一般兵がいるんだ?お前がやってたことは、単なるパワハラでしかねぇよ。それで親友ねぇ、そりゃクラウドもお前との接触断つわ。」
「えー」
「えー?じゃねぇよ。その上話は今自分が好意を寄せてる相手の事だなんて、悪いけど俺はクラウドの味方になるね。」
「はぁ?どういうことだよ!」
「お前さ、本当に気がついてないのか?あいつのお前を見る目、親友やら友人に対するものじゃねぇだろうに。」
「な、何言ってんだよ!あいつ男だぜ?」
「まあいいや。でもお前さ、そのうち痛い目にあうぞ?それだけは覚悟しておけ。」

そう言ってカンセルはミッションに出かけて行った。

クラウドが俺を好き?友人としてのLikeの方じゃなくてLoveの方で?
まさか…

「えーい!考えてても埒が明かない!本人に聞いてみりゃわかることだ!」

と意気込んで、クラウドが使っているだろうトレーニングルームに足早に向かって行った。

2014/08/22