逃避行という名のランデブー 3 クラウドside | Juliwolfmunのブログ

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腐女子じゃなく主腐じゃないかと自負するもののブログです。
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ふと気がつくと、洞穴のようなところにいた。
なんだか身体がスッキリしている。周りを見渡すと、鍋やら濡れた布切れとかがあった。
ザックスが俺を拭いてくれたのか。

横では、ザックスが疲れているのか深い眠りについていた。
久しぶりにザックスの寝顔をみた気がする。一緒に暮らしていた時は俺の方が先に寝てしまって起きるのも遅かったので、こうやってじっくり見る事はなかったから新鮮だ。

「ザックス…こんなに疲れ切って。俺なんか連れて逃げるから。」

さっきザックスが話していた事を思い出した。不思議な事になにをされてもわからないのに、話し声だけはクリアに聞こえてくるんだ。

俺の故郷、ニブルヘイムがセフィロスの手により焼き払われてからもう五年にもなるのか…。
友達からのメールを読んだザックスが珍しく取り乱していた。

スラム街の花売りの娘?前にザックスが話していた記憶がある。

○○○

『なあなあ、クラウド!今日スラム街でさ花売りの女の子と出会ったんだ。珍しいだろ?花売りだぜ?でさでさ、俺さその子が花を売るのを少し手伝ってきたんだ。』
『その子エアリスっていって凄く可愛い子でさ、なんかその子と話しているとクラウドと話しているみたいに落ち着くんだ。あんな子初めてだ。』
『へぇ~、今度合わせてよ。』
『んー…どうしょうっかなぁ~。まあ、そのうちにな。』


そう言って、なかなかあわせてくれなかったよな。でも、その頃からザックスの話にその女の子の名前が増えてきた。
ザックスは気がついていなかったかもしれないけど、多分あれは恋をしていたんだろうと思う。
ミッション明けの休みの日に部屋にいる事が少なくなったし、終わったその足で部屋に直接帰ってくる事はなくなった。
俺は嫉妬心から、ザックスがなかなか会わせてくれない彼女を見にスラムに行ったんだ。
ザックスが彼女は教会にいる事が多いって言ってたから。
でも、教会じゃなくそばの公園にいた。ザックスと共に。
今日は神羅本社ビルで一日内勤だと言っていたのに…。
二人で楽しそうに木でできたワゴンに花を積んで、花売りをしていた。
側には黒いスーツを着たタークスの人も 物陰に隠れていた。
彼女が時間だからと教会に戻って言ったのを見届けて、タークスの人がザックスに声をかけていた。

『ザックス。』
『なんだよ!あんた達も彼女を知っているのか?』
『まあな、あの子は神羅にとっても最重要人物なんだ。ところでお前は明日からニブルヘイムに行くのだろう?』
『ああ、セフィロスと一緒にな。』
『そうか。ここに来ていていいのか?』
『あ、あのさツォン。エアリスの事頼むな。あの子さ…いやいいや。』
『なんだザックス、彼女に惚れたのか?お前はエラく別嬪な恋人と同棲していると聞いていたが?』
『そ、そんなんじゃねぇよ!ただ、なんか護ってやりたいなって思ってさ。それに"デート一回"の約束果たしてもらわないと。』

黒服の男は、フンと興味がなさそうにその場から立ち去ろうとした。

『ザックス!彼女の事はお前が心配しなくていい。でもまあ、恋愛問題でもめる事のないようにな?』
『揉めねーよ!』

俺は、二人が立ち去ったあともその場を離れる事が出来なかった。
どのくらいその場で立ち竦んでいたのだろう、気がつくと辺りは薄暗くなっていた。

『帰ろう…』

と動き出した時に、「もしもーし」と明るい声で呼び止められた。

『ねえ君、大丈夫?』
『えっ?』

声をかけて来たのは、さっきザックスと一緒にいたエアリスという女性だった。

『なんか元気がないから。』
『初めて会ったのにわかるのか?』
『うん、貴方の心の空が泣いているのが見えるから…』

少し変わった女の子なのかもしれない…。

『あなた綺麗な瞳しているのね。』
『ごめんなさい、俺…帰ります。』
『あっ、待って!』

彼女は籠の中から花を一輪差し出した。

『はい、これ。あなたに』
『あ、ありがとう…。』

彼女が差し出したのは、白いコスモスの花だった。
俺は帰り道にもらった花をどうしようかと悩み、茎を短く切り落とし手帳に挟み押し花にした。



○○○

「あの時の女の子だよね…。あの子がミッドガルにいてザックスの帰りを待っているから、ミッドガルに行きたいんだよね?ザックス。」

俺は急に悲しくなり、足を折り曲げ体育座りをして顔をその足の間に埋めた。

「俺さえいなければ…単なる足手まといになっている俺さえいなければ…ザックス一人だったらきっと逃げ切れる。」

次はいつ目覚められるかわからないーーチャンスは今しかないんだ。
俺は、ザックスが洗ってくれた下着を身につけズボンも履き、しばらく自分の意思で動かしていなかった足を叱りつけ一歩を踏み出した。

「ザックス…今までありがとう…さようなら。」

やはり足は昔のようには動いてくれない。ここが今何処なのかわからないけれど、夜が明けるまでには少しは遠くにいけるだろう…。側に崖でもあればよいのだけど。
俺は、扉代わりにかけてある草木を外し外に出た。

To be continued

2013/3/13