鳥の囀りが聞こえてきて、俺は目を覚ました。
「んーーっ!今日も良い天気だなぁ。さて、仕込みを始めるか!」
俺がキッチンでガチャガチャやっていたからか、その音に誘われてクラウドが寝室から出てきた。
多分まだ半分夢の中なんだろう、眠たそうに目をこすりながらキッチンにやってきた。
可愛い…って言ったら、折角の誕生日なのに不機嫌になるんで、俺の心の中で呟いておく。
「おっ、起きたのか?クラウド。珍しいなあ、起こされなくても起きるなんて。」
子ども扱いされたのが癇に障ったのか、ムッとした表情でこっちを睨んでる。
「…悪かったな、一人で起きれなくて。」
やべっ!せっかくの祝いの日なのに怒らせたら身も蓋もない。
「いやいや、気にすんなよ?冗談だろ?そうだ!クラウド、ちょっとこっちに来て?」
「…なに?」
まだ機嫌が直らないらしく、少し頬を膨らませながら近寄ってくる。俺は、そのクラウドの身体に腕を回して、抱きしめながら、耳元で囁いた。
「クラウド。お誕生日おめでとう。付き合い始めて最初の誕生日だから、俺が一番にお祝いの言葉をかけたかったんだ。」
「あ、ありがと。」
そう言ってうつむいたクラウドは耳まで真っ赤で、すごく可愛い。ヤバイ!
理性さんをフル動員して、自分の下心を抑え込む。
「あ、あのさ、俺ついこの間までミッションに行ってたろ?でさ、プレゼント何にも用意できなかった…。」
「…そんなの…別に構わない…。」
「でさ、俺なりに考えて、今日の食事はお前の故郷のニブル料理を作る事にした!」
「えっ?」
「さぁ、座って座って!たった今出来上がった所なんだよ。」
テーブルの上に所狭しと置かれた、見慣れた食事。
クラウドは、うつむいたまま顔を上げない。
気に入らなかったのか?と少し落ち込みかけてたら、くの肩が小刻みに震えているのに気がついた。
「クラウド?」
俺が呼びかけると、ようやくクラウドは顔をあげた。その瞳には溢れんばかりの涙が、容量ギリギリ溜まっている。
「…ザックス…あ、ありがとう。お、俺…凄く嬉しい!」
そう言って、見た事のない満面の笑顔を見せてくれた。
俺は、心が破裂しそうなぐらい心拍が高まり、言葉が出てこなかった。
「あ…喜んで貰えて、俺も嬉しいよ。あっ!それとこれも!」
クラウドのイメージに合わせて、エアリスに作って貰った小さなブーケを、クラウドに手渡した。
「ほら?前に話したろ?スラムにいる花売りの女の子の事。あの子にクラウドが誕生日だから、クラウドのイメージでブーケを作ってくれって頼んで、作って貰ったんだ。」
「いい香りだな…」
そう言って、クラウドが花にちょこんと鼻先をくっつけてにおいをかいていた。
その姿が余りにも可愛くて、とうとう禁句を口にしてしまった。
「可愛いな…」
「ザックスのばか…」
不思議な事に今回はパンチは飛んでこなかった。代わりに俺の胸元に金色の髪を揺らして、クラウドが飛び込んで来た。
「ザックス、好き。」
「えっ?」
「ばか、二度は言わないぞ。」
「俺も大好きだよ。」
何だか、俺の方がプレゼントを貰ったような気がして、涙が出そうだ。
俺は、クラウドの耳元で改めて囁いた。
「Happy Birthday! Cloud!」
2012/08/11
なんとか間に合った~!