Their intentionsーそれぞれの思惑ー Ⅱ *シリアス | Juliwolfmunのブログ

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腐女子じゃなく主腐じゃないかと自負するもののブログです。
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「ああー陛下っ!よくご無事で。よかったでっすっ!」

俺が上陸するや否や、ギュンターが小走りにやってきて、俺の手を取りニコニコ微笑んだ?
(えっ、微笑むだけ?)
いつもだったら汁を身体中の穴から吹き出して飛びついてくるのに、今日は控えめだ。
まあ、王佐殿の為にはそっちのほうがいいに決まっている。

俺は、周りを見回すと何時もだったら我先にと争って出迎えてくれる婚約者が大人しくたってる。

(相変わらず綺麗だな。)

俺は、その様子に違和感を感じて、つい手をヴォルフの顔に持っていった。だってさ、おとなしいというよりも何かに耐えているような、切なく苦しそうな表情だったからー

「ヴォルフ、どうした?あっ、やっぱりお前怒ってる?ごめんな、お前が俺を地球に戻す為に背中を押してくれた事はわかっているんだけれど…」

「そんな事は気にしなくていい。とにかくユーリが無事に帰国して幸いだった。」
「兄上もご無事で何よりです。」
「ああ」

グウェンもなにか違和感を感じるのか、あの溺愛とでも言っていいのでしょうか?末弟に対して眉間にシワを寄せて答えている。驚いた!

俺は、ヴォルフも気になるが、もっと気になるのはその隣にその場に立つのが当然の様にいる、村田曰く眞王陛下だ。

「あんたが眞王?」

その男は、フンッと小さく鼻を鳴らし答えた。

「そうだが?俺が眞王だとわかっていてその態度か?んっ?」

すっごく尊大な態度の人だな。ヴォルフに似てると言われていたが、ヴォルフの方が全然可愛い。
ヴォルフが天使だったら彼は、悪魔だ。それぐらいの差はある。
まあ、この国の初代魔王だから間違えちゃいないけどな。

「で、そのお偉い眞王さまが、なんで俺の婚約者の肩に馴れ馴れしく手などおいているんでしょうね?」

「ああ、そうだったな。27代目の婚約者だったな、ヴォルフラムは。まだ契りも結んでいない形だけのな」

「眞王陛下!僕たちは!」

今まで口を挟まず黙っていたヴォルフが、耐えきれなかったのかようやく口を開いた。

「まあ、二人ともそう熱くなるな。ユーリには色恋よりやって貰わんとならぬ事がまだ沢山ある。しかし、まだ子どもだ。もう少し成長してからの話だがな、クククッ」
「なぁ?俺の大賢者。どうした?黙りこくって。俺が実体化したのがそんなに気に食わないか?」

不機嫌そうに眞王を見ていた村田がそれに対して

「気に食わない?当たり前だろ?君はようやく死んだって喜んでいたのに、なんでまた現れるかなぁ?ほんと、周りの迷惑考えないで動くのはぜんっぜん変わってないね。」

かなり棘のある言い方で、目の前の男に言い放った村田は、眼鏡を人差し指で上に持ち上げ近付いていった。

「何しにここに現れたんだい?今まで何千年も引きこもって、上から高みの見物を決め込んでいたくせに。例の異空間とやらに帰るといいよ。」

眞王は、ヴォルフラムの肩から手を降ろし、村田の方へ近寄って村田の体を抱きしめた。

「そうつれないこと言うなよ、俺の大賢者殿。お前もヤキモチか?」

村田は、まわされた手を振り解こうと体を捻りながら眞王に話した。

「なんで君にヤキモチ焼かないといけないわけ?それに、その俺の大賢者ってやめてくれる?君の大賢者殿はかなり昔に、君を恨みながら死んでいったと教えたよね?」

ようやく眞王の腕を振り払えた村田は、目の前の眞王に向かい合ってはっきりとした口調で、こう告げた。

「何度も言わせないでよ。今の僕の忠誠を尽くす魔王は、渋谷有利ただ一人だ。君に仕えるつもりは全くないね。」

「俺を敵にまわしてもか?後悔するぞ?」
「だから、僕に脅しは効かないと何度も言っているだろう?ボケたんじゃないの?」

この国の創始の中で語り継がれてきたふたりのこの言葉に衣を着せぬ言い争いを
周りにいる者で止めるものがいるだろうか?いやいない。

グウェンダルもギュンターも誰も口を挟む事が出来なかった。

周りが唖然とする中で、高貴なふたりの幼稚な嫌味の応酬は続いたー


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2012/1/29