今から1000年以上も昔、紀伊(和歌山)の猟師が犬を連れて、現在の大阪府泉佐野市のとある山で一頭の鹿を追っていた。

近くの木にいた大きな蛇が猟師を狙っていましたところ、猟師はそれに全く気付くことなく鹿に弓の狙いを定めたその瞬間に、犬が蛇に気付いてけたたましく吠え始め、鹿はこの声に驚いて一目散に逃げ去ったそうな。

獲物を見失った猟師は怒りのあまり腰の山刀で吠え続ける愛犬の首に切りつけ、犬は傷つきながらも蛇めがけて飛びかかって、蛇の頭に噛みついて猟師を助けることは出来たのだが蛇と共に死んでしまった。

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何が起こったのかを知った猟師は、自分の命を救って死んだ愛犬の死骸を葬り、弓を折って卒塔婆として、自らは寺に入って僧となり、永く愛犬の菩提を弔いながら安らかに余生をすごしたという。

この話を聞いた時の天皇がこの犬を賞し、一乗鈴杵ヶ岳と呼ばれていたその一体の名前を
 犬鳴山(いぬなきさん)
と変えたとされ、山の名前は現在に引き継がれ、猟師が行った寺も
 犬鳴山真言宗大本山 七宝滝寺
として現存している。

というお寺の歴史には余り興味はないところなのだが、マイナーな道で和歌山から大阪に行こうとすれば、この犬鳴山経由の道もあったりして、通るたび何故か気になってこのお寺付近にお邪魔してしまう。

ホームページは綺麗なのだが、全体的にくたびれた雰囲気も感じる風景が広がり、寺の施設そのものよりもその周囲の山の木々と小川のせせらぎと空とのコラボレーションのほうが見ごたえがあるかもしれない。


混んだ下道を避けて、空いた山道を走るほうが気持がいいとしばしば訪れるこの場所には、良くいえばマイナスイオンなのだろうが、何故だか湿った不吉な空気を感じてしまう。

良く判んない不気味さがあるのにもかかわらず、何故だかまた来てしまう不思議なスポットなのだ。


 ・・・おの・・・