和歌山県のというか本州の最南端までバイクで行ったことは既に記事にした。

その帰り道、白浜町というところを走っていたとき、昔良く行った椿猿公園を思い出し、公園の猿は元気かと気になって古い記憶を元に猿公園に向かってみた。

私は21歳から25歳まで、この白浜町近くに住んで働いた時期があり、若い私にとってそれほど多くの行き場所があるような大きな街ではなかったので、この猿公園もしばしば訪れた場所であって、まだ公園に入る前から要領よく餌を得ようとする猿から熱烈歓迎されたのも懐かしい。

ところが、それらしい場所には行ったものの猿の姿は皆無で公園もあるのか判らない状態だったので、道を間違えたのかと思って周囲を見回して1つの看板が目に入った。

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何時からか何故なのかは判らないものの、猿公園は閉園になったということであった。

公園は閉園になっても多少の猿くらいはいるだろうと見回したのだが、全く猿の気配がないし公園のあった場所も静まり返っており、ある意味こんな静かなここの公園を見たのは初めてで、じっとこの公園を見ているとなんだか冷たく不気味なものを感じた。

家に帰ってこの公園に何があったのか検索したところ、湯治場として栄えていた椿温泉の観光スポットとして今から40年だか50年前にこの公園は開園し、ピーク時は年間2万人の入場者がいたらしいのだが、やがて訪れる人も減り、2000年には1日当たり10人程度となる年間3400人にまで落ち込んでしまったらしい。

餌代と人件費で年間に500万円ほどかかる経費のほとんどが白浜町からの補助金でまかなわれる事体となって、2002年に休園に踏み切ったという。

公園が休園になっても特に感想もないのだが、公園の猿がどうなったかというのは気になるところなので調べてみれば、当時300匹を超える猿がいたらしく、猿を自然に返せる数までに減らす手だてとして餌を少なくして繁殖を抑えようとしたのが、猿が近くの畑を荒らしてしまったことから有害駆除が始まって猿が数を減らしたらしい。


有害駆除なんて抽象的な言葉では何のことだかわからないと思うのだが、なんせ猿を捕まえて折に入れて水につけて殺す作業がそれらしく、その結果全然猿のいない元猿公園の姿があるということであった。

そもそも人の都合でこの公園で潤沢な餌を与えられ数を増やしながら多くの観光客を招き入れた猿なのだが、観光客を呼べなくなったら有害動物なんて凄いレッテルを貼られて殺されてしまうという信じられないことが実際にあったようだ。

不気味に感じられた元猿公園、静まり返ったといっても昼間の話であり、私が感じた不気味さというのは猿の怨念なのかもしれない。


 ・・・おの・・・