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昔バイトをやったことがある。
物作りの原点とも呼べるこの職業は、新撰組のスタッフの苗字にもあったメジャーな職種だ。

この仕事の辛いところは、何と行ってもしんどい事。
20歳弱くらいの私だったが、結構疲れたのを覚えている。
しかし、この疲れは最初の1日か2日くらいがピークで、それ以降体が慣れてきてそんなに疲れなくなるし、初日は長く感じる作業も、慣れると頭がセーフモードのパソコンみたいになって時間の流れがやたら速くなってくる。

この仕事のいいところは、何と言っても苦労した作業があとあとまで残るところで、自分たちが作った場所は数年から数十年そのままの形を残して、思い出となる。

がけ崩れの現場の処理とか、ガードレールの設置、フィールドアスレチックを作る作業もやった気がする。

このバイトにも色々な思い出があるが、そのうちの1つを今回紹介させてもらう。
ある日、山奥で何の仕事か忘れたが作業をしていた。
町ではなくて完全な山で林道を通る車もまばらな寂しい場所での作業であった。

そのうち1台の果物売りの計四トラックが通りかかったので、責任者みたいな作業員がそのトラックを止め何か買おうとしていた。
このあたりは商店も自販機もない場所で、私は喉が乾いていたので瑞々しい梨を買ってみた。

やがてトラックはどこかに行き、梨を食べようと皮を剥こうとした時、ナイフとか包丁とかがないのに気付いた。
あるのはつるはしとスコップとトラックとのこぎりと金槌などなどであった。
りんごならそのまま食べようかと思ったが、梨なので皮を剥がずに食べる気にならず、ある道具の中で一番包丁に近いのこぎりで皮を剥く事にした。

かなり長い時間をかけて梨の皮を剥いたが、何を切ったかもしれないのこぎりで皮を剥いた梨はやっぱり微妙な味がした。

このバイトの途中、弁当の箸を忘れて木の枝で食べたとか、同級生がトラックを運転していて低い崖から落ちたとか、バイト初日にいきなり徹夜マージャンで起きられず遅刻したとかエピソードは沢山あるが、今回は梨にしておく。

 ・・・おの・・・