和歌山一泊旅行は2日目に入り、朝食は軽く済ませ車椅子を押して車に乗った。
今日の最初の仕事は、母が見つけた預金通帳からの金の引き出し作業だ。
今回の入院に際して家を整理していると、いくつかの通帳が出てきて金が残っているようなので降ろして欲しいというもの。

どうという事のない作業のようだが、昔の通帳で印鑑はないしカードもないし銀行再編で今の銀行名は判らないし最終の記帳の日付は昭和58年となっていた。
しかし、金は確かに残っている事になっており昔の事なので金利もついてもしかしたら莫大な金額になっているかもしれないと、少しうきうきしながら取り敢えず和歌山銀行に入って従業員に説明してみた。
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この通帳は当銀行でご利用できますが、昔のものなのですぐに手続きは出来ません。
とすぐに銀行は判った。
手続きの方法を聞こうとしたが念のため残高を聞いてみると、今日現在で
 50円
となっています。
通帳に記帳ないが、昭和58年にほぼ全額引き降ろされているとの事だった。

手続きは時間の無駄なのでやめる事にして、母に
「これずっと前に全額降ろされた言うとるで。」
と説明すると、
「それなら良かった。
 残っとって、降ろせん言われたらどうしようかと思うた。」
と安心した顔で笑っていた。

これ電話で済む話ちゃうん?

と心の中でつぶやきながら車を出そうとすると
「そうそう昔世話になった“か○○○さん”に会わなぁあかんわ!」
と言いはじめた。
「何処行ったらえいか判らんやろう。」
と少し怒って言うと、何やらアドレス帳を取り出して探し始めた。

途中
「“か”って何の次やった?」
とか聞いてきたけど無視してると、そのページを探し当てて私に見せてきた。
「この人や」
その電話番号に電話をしてやると、懐かしそうにひとしきり話をして、電話を私に渡した。
場所を聞いとけよという意味らしく、電話を代わると見たことも無い人から事務所の場所を聞いてそこへ行く事になってしまった。

             -つづく-

 ・・・おの・・・

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