
私もわざわざ電車で泉佐野まで向かったが、我社は酒好きが多いのか飛行機やら新幹線やらで集まっていた関係者も多かった。
宴会は大盛況のうちに1次会は終わり、2次会へと突入してボルテージは少しづつ危険なゾーンへと向かっていった。
我社は小さな会社ではあるが、本店は東京にあり我々関西勤務の社員は社長の顔を見ることなど数年かせいぜい10年に1回の程度の機会しかない。
一昨日は社長も大阪まで来ていただき、非常に盛大な宴会となった。
考えてみれば私自身社長と会うのは20年を超えるリーマン生活上、たぶん3回目の事だったと思う。
社長が出席する宴会は、心地よい静けさと緊張の中で進行していったが、あまりの緊張に耐えられなかったのか、若い社員が突然
「社長、我々の為に一気をお願いできますか?」
と失礼極まりない発言をしてしまった。
0・5秒ほどの静寂の後、社長は立ち上がってステージに向かって、
「折角のご指名でありますので・・・」
と言いながら一気飲みをやってくれてしまった。
飲み終えた後拍手の渦が起こり、この拍手で私のボルテージは危険ラインを超えてしまって、大阪支店の大幹部の人たちに向かって私は
「社長は我々大阪支店の為に一気飲みをしてくれたんですから、大阪支店の幹部の方もこれにお答えしないわけにはいきませんよねぇ」
とぶちかましてしまった。
私の発言には大阪支店の大幹部の方々が5人ほど極めて迅速に席を立ってステージに上がって、
「社長、ありがとうございます。」
というなりあっという間に一気飲みをする事になった。
大幹部の空いたグラスに速攻お代わりを入れようとしたら、思いっきり睨まれてしまった。
無礼講とは辞書によると
「身分・地位の上下などを考えないで行う宴会。」
とあるが、それをするかしないかは目上の人の判断というのが通例なのだが、私のような下っ端社員が仕切ってしまって大変な状況となったけど、大幹部の方々の気持ちの切り替えの速さは見ている私達下っ端社員には会社への信頼へと代わっていった。
大幹部の皆様、毎回大変失礼しておりますが、何分おバカなのでこれに免じてお許しくださいませ。
・・・おの・・・