
画像があるので知ってる人は見れば思い出すと思うけど、言葉で説明するとスケボーでもないし、スクーターではないし、ラジオフライヤーでもない全く新しいジャンルの乗物であった。
今となっては2輪か3輪の差はあっても、形的には少し前に流行ったキックボードに酷似した物だった。
開発の秘話なんかを記したページもあったので抜粋して記事にしてみたい。
ローラースルーは正式名称が
「ローラースルーGOGO」
といい、ホンダ製で開発に関わった中心的な人が
吉岡伴明
という人で、以下彼の手記をかいつまんで引用してみた。
ホンダという会社の第五設計室というところに、スノーモービルの研究と柔らかいタイヤの3輪バギー車等の開発をやっていたレジャーグループが編入された。
レジャーグループを任された第五設計室は何か新しい物を造ろうと考え、試行錯誤を繰り返していたある日、その頃アメリカではやり始めたというスケートボード(スケボー)が持ち込まれた。
スケボーは前後に特殊なハンドリング機構がついていて、乗っている板を傾けた方に曲がって行くがバランスが難しくかなりの熟練が必要とされた。
スケボーはバランス感覚と運動神経を要求され、バランスを崩すたび足がすべりスケボーが勝手にすっ飛んで行った。
その時
「そうだ何か掴まるものを付けてみよう!」
と掴まれるハンドルがあれば、バランスを失ってもスケボーが吹っ飛ぶ事はないし、安定感も増すと考えてハンドルを付けたところ、容易にコントロール出来る非常に乗りやすいものになった。
子供達がどの程度この乗物に関心を持つのか開発者の関係者の子供達を日曜日に集めて乗らせてみたところ、子供達はウキウキして用意されたハンドル付スケボーなどで遊んでいたが、足で地面を蹴る動作がつかれるのか飽きがくるのが早かった。
これを見た時、足で地面を蹴るのではなく適当な駆動方法をつけた方が子供が飽きにくいと考え、たどり着いたのがキックレバーの様な物を付けてチェーンで駆動するというもので、キックレバーを操作する事で地面を直接蹴らなくても前に進めるという機構だった。
一週間ほどで試作品が出来あがったので、私達は早速試作品に試乗してみたところ適度なスピードと体重移動によるステアリング感覚は新鮮で、駆動にも問題はなく細かい手直しを除けばいきなり合格点の商品ができてしまった。
これがあのローラースルーの誕生の瞬間である!
商品はあっけなく完成したので、次にネーミングの作業に移った。
名前が売れ行きを左右する事も往々にしてあるが、ネーミング会社に委託する程の自信も持てなかったので、関係者7~8人で名前を考えてみたところ
「ニュウスケーター」「キックスケーター」「スウインガー」「ペダルスケート」
「キックスインガー」「スケートローラー」「ローラースウイング」
「キッズスケーター」「スーパースケーター」
等、色々なアイデアは出たが何故か新鮮味を感じられなかった。
何かもっと良いネーミングをと考えていると、試作品に乗った社員が色んな物が置いてあって狭い部屋の中をすり抜けているのを見てひらめいた名前が
「ローラースルー」
であった。
提案してみると殆どのメンバーから
「そりゃ良いね!何かスイスイ行くような感じがする」
との賛同の声が帰ってきて、偶然だがスルー(through~通り抜ける)という語源と発音のイメージがピッタリと合った名称だと採用される事となった。
・・・つづく・・・