
直ぐに終わるかと思ったが、永遠を感じるくらいに大渋滞でさすがに8時に返せる自信がなくなってきた。
しかし、渋滞ながらも渋滞なりに少しづつ車は進みつづけて、なんとか借りた駅周辺前戻ってくるもののナビの
「目的地周辺です。音声案内を終了します。」
という声も虚しくレンタカー会社を発見できずに地理不案内の駅周辺で迷走を続けた後、八の鋭い記憶力のお陰でレンタカー会社を発見し返却できた。
仕事も終わり疲れも出てきたので宿を探す事にして、近くのホテルに入ってみた。
一泊いくらか値段を聞くと帰って来たのは料金ではなく
「申し訳ございません。あいにく本日は満室となっております。」
との事。
更にホテル従業員は、
「おそらく本日は、この周辺のホテルは全て満室かと思われます。」
と言葉を続けた。
私の疲労した顔に汗がにじんできた。
・名古屋に戻って宿を探す
・このまま目的地へ向かう
選択肢は大きく分けて2つしかなくなり、この場所を脱出する事となった。
名古屋へ戻れば余分な交通費が必要となるので先へ進むことにして、駅に行き新幹線の切符を買って時刻表を見ると次の電車の発車時刻まで1分くらいだった。
慌ててホームに駆け上がって新幹線に飛び乗った直後にドアは閉まり東京行きのこだまは静かに走り出した。
のども渇いて腹も減ったので売店みたいなのが無いか少し探してみたが、それらしい場所も見当たらず、車内販売も姿が見えなかった。
到着まで2時間30分くらいあるけど、車内販売が来なくて飲まず食わずでその時間を過ごさなければならないかと思うと物凄い絶望感が訪れた。
やがてこだまは次の駅に着くが乗り遅れが怖くて駅の売店に行く勇気も出ない。
のどが渇くし腹も減る、どうしてこんな事になってしまったんだろうと考えていると
「お弁当にお茶、ビールはいかがでしょうか?」
と神様の声が聞こえてきた。
車内販売とこれほど感動的に出会えた記憶は過去に無い。
・・・つづく・・・