
いろんな会社の名前が出てきて少し整理しながら考えないと判りにくいので、代表的なヒューザーのマンション建設を例にして考えてみる。
建築主ヒューザーはこんなマンションを建てたいと施行業者である木村建設というところに発注し、木村建設は姉歯建築設計事務所に設計を依頼する。
木村建設的にはヒューザーから沢山のお金をもらい建設のコストを抑えれば利益が大きい事から、できるだけ建設コストを抑える努力をする。
色々と施行業者として出来るコストダウンを行った上で、更なる利益確保の為に姉歯設計事務所により金のかからない設計を要求するが、既に出来るコストダウンは行っており無理だと断ると、強度上大きな問題が出るにもかかわらず鉄筋の数を減らすよう指示する。
設計事務所は設計のプロだから、そんなことをすれば強度上大きな問題をかかえる建物が出来る事になるのでやりたくないが、仕事をもらうためには仕方がないとでたらめな設計図を書いてしまう。
構造上問題が無いか確認する民間確認検査機関「イーホームズ」も、この設計図の問題点を見抜けずに検査に合格させてしまい、強度が本来の35パーセント?くらいしかない極めて脆弱な建物が実際に建設されて販売されたというものである。
設計図の検査は以前行政機関のみでやっていたが、98年位に建築基準法が改正されて民間業者でも行われるようになったらしい。
そもそも何で発覚したか探してみると、18日の新聞に
「違法建築は、確認検査機関の「イーホームズ」が、社内の一斉監査で発見・・・順次、国交省に届けた。」
と書かれていた。
民間にも門戸が開かれた確認検査だが、合格させてはいけない設計図を合格させてしまったのだから、責任の一端はイーホームズにあるといわれても仕方が無いだろう。
昨日、設計事務所の友人に電話を入れてみた。
業界的には今回の騒動は激震であり、様々な影響が出ているという。
設計事務所の立場も契約形態によればかなり弱い場合もあり、心境としては姉歯設計事務所の考え方は理解できる。
ただ絶対にやってはいけない事なのはみんな判っているので、やってしまった者は大いに淘汰されるべきである。
施行業者との間で契約をして設計をやれば、施行業者との関係が店主と従業員みたいになってしまい、実際に費用を支払ってくれるのが施行業者なのだからこの圧力は非常に大きい。
施主(建築主)の立場になって、施行業者に注文を入れても施行業者に聞き入れられなければ、それ以上雇われている立場上どうすることも出来ないらしい。
ただ、そんな事を続けていけば施主にとって良い建物は中々出来にくいので、施主との間で施行業者と同等に契約してもらう形をとって貰うようにしている。
そうすれば立場は施行業者と同等な上に、施主にとって不都合な手抜きや設計図に従わない施工がされても毅然とした態度で改善させる事ができるという。
今はこの一設計事務所の問題だけに焦点を合わせて報道しているけど、他に同様の問題建設された建物が沢山あっても全然おかしくない。
そもそも、建設省の役人がゼネコンなどに天下りしていて、建築業者の都合が最優先されるような制度自体に大きな問題があって、制度を変えなければ体質的にいつまでたっても問題のある建物は作りつづけられる・・・
とかいろいろ友人は言っていたけど、だんだん専門的な話になってきたので最後の方は良く判らなかった。
昨日のテレビで問題のマンションの近くに住む住民が
「マンションの人は非難したから良いけど、何時崩れるかもしれないマンションは私の家の横にある。」
と言っていたのが印象的だった。
専門家に言わせれば、相場より高い建物はあるけど相場より安い建物は存在しない。
相場より安いと感じれば、それは安い理由に気付いていないだけで、理由が判れば相場だということに落ち着くらしい。
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