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我が家に初めてテープレコーダーが登場したのは70年代前半だった。
自宅で録音という事自体が画期的な時代で、家族の声や寝ている時のいびきなんかを録音して皆で聞いて大笑いしたものだった。
まだオープンリールという、カセットからケースを外して中身だけを10倍くらいの大きさにしたようなテープだった。

やがて、携帯もできる小さなカセットテープが主流となってくる。
乾電池も使用できるカセットテープレコーダーは、オープンリールよりはるかに小さな容積となって気軽に持って出られる大きさとなった。

小さくなったカセットはやがて音質を追求するようになってきた。
テープ独自の持つノイズレベルを下げ、再生できる音域を広げ、次第にカセットやそれを再生するレコーダーも高性能化していった。
メタルテープという高音質のテープもこの頃販売されていたが、今は販売されていないらしい。

70年代中盤には、私や周囲の友人の間でもマイカセットレコーダーがブームとなって、この頃にはカセットレコーダーはラジオと合体してラジカセと呼ばれるようになっていた。
音質を追及する時代、フルレンジと言う守備範囲の広いスピーカー1個だけのラジカセは少々肩身が狭くなり始め、低音はウーハー、高音はツィーターと呼ばれる専門のスピーカーが2つ付くことになってきた。

生録(なまろく)という、既成の音楽や音を聞くのではなくて、自分でも音を録音して聞く事も流行った。
川のせせらぎや都会の喧騒、鳥のさえずりなんかを録音して聞く生録。
私はシャワーの音を録音しようとして、ラジカセに水をかけてしまった失敗もあった。
ダイナミックマイクの方がコンデンサーマイクより○○の音は忠実に再現するぞ、みたいな会話を友人としたような気もする。

私はナショナルのそれほど高くないラジカセしか買ってもらえなかったが、その当事ラジカセの王様的存在だったのが
 ソニー スタジオ 1980
という写真のラジカセ。
3バンドラジオチューナー、16センチウーハー、5センチツイーター、3Wのアンプを備えた最高スペックラジカセで、そこそこ高かったので買える友人は限られており、私達的には夢のラジカセであった。
車でいえばクラウン位になるのだろうか?
ご覧のとおり、ドンと構えるウーハーが迫力でデザインも良く、商品としても大変よく売れたらしい。

そんなラジカセも、今度はモノラルからステレオが主流になり、スピーカーも2個から4個へ増え、更にWカセットブームも来て、2個のカセットを収納して4個のスピーカーを登載するのだから、外へ気軽に持って行けないようなかなり大きな機種が増え始めたが、数年でそれらの性能を持ちながら小さな商品も増えてきた。
数年前に娘にとカセットステレオを買ったが、中国製なら4000円ほどで買えてしまった。

20年程前にはレコードがCDに、5年程前にはカセットはMDに急速にその地位を奪われたが技術の進歩により音質は飛躍的に向上した。
初めてCDを聞いたとき、その恐ろしくクリアーな音質に度肝を抜かれる思いをしたのも懐かしい。

ソニースタジオ1980は当事43800円の定価だった。

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