
自動車も発明されたばかりの頃は、人や動物を動力としなくても良いうえに雨風さえもしのげる、画期的な乗り物としてもてはやされたのだろうが、昔の車は音的にはAMラジオくらいで、映像は車窓から覗く外の天然映像以外になく、空調的にも暖房はヒーターで冷房は窓から入る空気くらいだった。
気の効いた車は、効率的に外気を取り入れられるよう三角窓やダクトみたいなものを備えるものもあったが所詮外気であった。
外が寒い時や雨の日はガラスはくもるし、湿度が高くて暑い時は窓を開けてもやっぱり暑くて本当にどうしようもなかった。
そんな中、昭和40年代から50年代にかけて革命的に自動車に採用され始めたのがカークーラーだった。
家にもそれほどクーラーが無かった時代だったが、カークーラーは確実に普及していったと思う。
特に普及率が高かったのが、客への配慮からかタクシーだった。
タクシーに乗ると助手席のダッシュボードの下に堂々と取り付けられたカークーラーを良く見た。
暑い時などタクシーの中は別世界のように涼しくて、ゴージャスなムードを感じる事が出来た。
当事今のようなビルドインタイプ?ではなくて外付けのタイプである。
サーモと呼ばれる温度調整機能はなく、弱・中・強と男らしい風量調整つまみと電源スイッチくらいしかスイッチも無かったと思う。
クーラーがあんまり普及してなかったので気にもならなかったが、助手席に座ると足が直接冷機で冷やされてすごく冷たかったのを覚えている。
その後も車は進化を遂げて、8トラックという車独自のテープも開発されてカーステを装備する車も現われ、くそ重たかったハンドルもパワステに移行し、当初水没した時に脱出が困難と危険視されていたパワーウインド、普通のカセットが聞けるカーステ、オートマチック、冷やすばかりでなく空気を自由に支配するエアコン、ラジアルタイヤやアルミホイールへの移行、ライトも昔はわざわざハロゲンに変えて明るくなったと喜んでいたのが今やハロゲンを外してディスチャージヘッドライトに変える時代となった。
どんどん進化を続ける自動車の最近のヒットと言えばカーナビでユーザーに画期的な快適さを与えたものの、私的には自動車にクーラーが付いたときの感動のほうが大きかったような気がする。
人は便利になると感動もするが、慣れると飽きて新たな欲求が生まれる。
欲求を贅沢と切り捨てるのは簡単だが、良い意味では人類進化の動力源といえるだろう。
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