
私は中学校からちょくちょく新聞配達のアルバイトをやってたけど、冬の朝は死ぬほど寒い日も良くあった。
当事の防寒対策といえば、本格的に寒い地方なら色々あるのだろうけど、私の生まれ育った四国ではせいぜいジャンパーの下に着込むくらいで、寒い時はやや力不足を感じる。
ダウンジャケットも見ることの無い当事、最もあったかそうな上着は革ジャンで、暖かい上に格好良い革ジャンは欲しかったが、値段が高く知り合いでもそうそう持っている人はいなかった。
そんな時代に流行ったのが、革ジャンは買いたいけど手が出ない貧乏人のための皮もどきジャンパー
ビニジャン
である。
流行るだけのことはあって、見た目には革ジャンに見えて触らないと判らないような物まであって仲間の間でも、あっという間に全員が着るようになっていた。
しかし、見た目は皮ジャンなので暖かそうだけどビニールのジャンパーなので着てみると全然暖かくなかった。
寒い日の震えながらの新聞配達は相変わらずだった。
円が1ドル360円の固定から変動相場制へと移行して数年が経ち、円の価値が上がっていき、輸出には不利な円高が、輸入には有利で革ジャンの価格もだんだん下がってきた。
高校に入りバイクに乗るようになって、やっと念願の革ジャンを手に入れることができた。
暖かい、やっぱり革は全然違うと少々感動した。
中学の時、
「革ジャンがあればなぁ・・」
と思いながら震えて新聞配達をした思い出というか執念みたいなものがあるので、今でも何故か革ジャンには特別の思いがある。
MOHE http://www.geocities.jp/ginbaeyokohama/