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全然感動の出来事の書庫に入れるべき内容ではないのですが、他に書庫も無いのでこの書庫に書き込むことにする。

もう何回か聞いたと思うが日本でも陪審員制度ならぬ裁判員制度が始まる。
裁判員とは、裁判で裁判官と共に公判に参加し、時には質問し、有罪か無罪か或いは有罪ならどの程度の罰が適当かを裁判官と一緒に決めていくというもの。
通常3人の裁判官で決めていた判決を、裁判員6人が新たに加わって決めていくという制度である。

裁判員は、翌年の裁判員の候補を有権者名簿を元に抽選で一定の人数決めておき、各事件ごとに更に抽選でその裁判担当の裁判員が選んだ上で裁判所へ出頭してもらい、裁判官から事件の関係者や関係者と利害関係の有無、又公平な裁定を下せる能力があるか無いかを質問を元に判断され、クリアーすれば裁判員になるのであるが、より公平さを確保するために弁護側・検察側双方に4人まで理由無しに拒否できる権利が与えられており、拒否されない場合初めてその裁判の裁判員として裁判に参加する事となる。

陪審員制度は戦前日本でもあったが、昭和18年以降姿を消したものの、アメリカやフランスなど先進国を中心に採用されている裁判制度で国により制度は違い、アメリカの陪審員制度は被告人の有罪か無罪かを陪審員のみで決めた上で裁判官が量刑を決めるというもの。
日本が今回採用するのはアメリカのような陪審員制度ではなく、裁判全てに裁判官と共同で参加していく裁判員制度である。

裁判員に選ばれると、特別の理由が無ければ裁判に参加しなければならない事となる。
裁判は平日の通常の勤務時間内で行われているので、仕事をしている人(大部分であろう)等は、参加が相当負担になるので、特別な理由がある人は拒否できる事となっている。
 具体的には70歳以上
 学生又は生徒
 重い疾病・傷害により出頭が困難
 介護・養育がなければ日常生活を営むのに支障のある同居の親族の介護・養育を行う必要がある
 事業における重要な用務を自ら処理しなければ著しい損害が生じるおそれがある
 父母の葬式への出席等の社会生活上の重要な用務がある
などの「やむを得ない事由」があれば拒否できるとされる。
特別な事情が無ければ強制のような書き振りではあるが、行きたくなければいくらでも理由付け出来そうにも読める。

そもそも何故裁判員制度かという疑問に対して、法務省は国民に裁判制度を理解してもらいより国民感情に沿うような判決を導くためとしており、更に忙しい人も沢山いるであろう裁判員に来てもらうには、1つの事件の公判を連続して行いできるだけ短い期間で判決を出す必要があるから、裁判の迅速化にもつながるとされている。
しかし迅速化だけが理由なら、迅速化に関する法律とか作ればよいわけなので、迅速化は副産物であり目的とは言えない。

裁判に参加すれば日当も支給されるのだが、金額は決まっていない。
常識的には1日5000円から3万円位なのだろうか。

裁判員制度が導入されるのは全ての裁判ではなく、刑事事件で重大事件に限られる。
殺人や傷害致死等意図的に死に至らしめる事件や放火や誘拐といった人の命に密接する犯罪だけである。
又凶悪事件であっても、裁判員や家族などに身に危険が及ぶような裁判は例外的に裁判官だけで行うとなっている。
具体的には暴力団や暴力宗教団体などの組織的な凶悪事件に裁判員の出る幕は無い事になる。

制度は平成21年5月までに始まるが、まだ決まっていない事も多くどうなるのか判らない。
興味がある人は参加すればよいし、貴重な経験になるから行きたい人も多いだろうが、実際に充分に参加してもらえるのか少々疑問もある。
仕事が忙しい時、裁判員といわれてもまずどうやって断ろうか考えるのが普通ではないだろうか。

始まれば色々問題も出てくるだろうが、アメリカでは大きな組織や有名な歌手などの裁判で陪審員の買収などが問題となることがしばしばある。
ゴッドファーザーだったか、判決直前に全ての陪審員を裁判長が入れ替えたシーンもあった。

裁判員は被告を知ることができるので、買収を自ら持ちかけることもできる。
当然犯罪となろうが、仮に数千万円の金を積まれでもすれば大きく心を揺らし、反規範的行動をとるものも出てくるだろう。
逆に裁判員を調べて脅迫まがいの事をやってくる連中も出るに違いない。
そういった事にならないためにある例外的裁判員抜き裁判規定がどの程度機能するか疑問もある。

裁判慣れしていない一般人も判決を決めるわけだから、公判での演技力なんかも物凄く重要ではなかろうか?
殺人を犯しても、入廷の時被害者の親族に深々と頭を下げ、証言では自分が間違った事をしたと涙ながらに訴えたりしたら、雰囲気に飲まれてしまってずいぶん軽い判決を出してしまいそうな気もする。
逆に口下手や演技下手な人たちにも不利な判決となる可能性もある。

今何故裁判員制度なのか、法務省の本当の狙いは何処なのか一寸位考えただけでは良く判らない。

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