先週の3歳戦の芝のレースを分析します。第3回は小倉のレースです。
以前は中山や京都に比べてレベルの低いレースが多く、勝ち上がった馬の評価もあまり高くありませんでしたが、ここ1~2年で評価が変わってきました。
昨年も小倉で新馬や未勝利を勝ち上がったデボネア、ロッカヴェラーノ、ダノンミル、500万特別(あすなろ賞)を勝ち上がったカフナの4頭が皐月賞に出走していますが、それにはいくつかの理由があるようです。
その1つが芝のレースで勝ち上がることの難しさで、調教師の仕事の中でもレース選択がかなり重要なものになっています。特にディープ産駒の登場以来、中距離の芝のレースは出走するだけでも大変で、ましてやそこを勝ち上がるのは至難と言ってよい状況が続いています。
2つめはクラシックの出走権です。こちらも年々条件が厳しくなっており、1勝馬ではトライアルに出走することさえ難しい状況です。従って、どのようにして2勝するかが重要なポイントで、中にはダート戦で勝ち上がってから芝の重賞やトライアルに出走する馬も出てきました。同様に、中山や京都ではなく、メンバーが手薄となるローカル開催に矛先を変えることも選択肢の1つになっています。
最近の例で言えば、GⅠ朝日杯FSを制したアルフレードで、新馬を勝った後、新潟の500万特別を勝ち上がって朝日杯FSに出走してきました。以前ならば、新潟を勝ち上がった馬が朝日杯FSで1番人気になることは考えられませんでしたが、現在はそのような見方は少なくなっています。
今回も、中山、京都と同様に、距離別に分けて記載します。
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<小倉芝1200m>
○1/14 3R 3歳未勝利 芝1200m
⇒⑬エーシンエムディー(父キングカメハメハ×母父サンデーサイレンス×母母父トウシヨウボーイ)
⇒1番人気(先行差し)
⇒1:08.6(上がり35.0=7位)
⇒12.0 - 10.4 - 11.1 - 11.6 - 11.5 - 12.0
○1/15 5R 3歳新馬 芝1200m
⇒⑮アーベントロート(父フジキセキ×母父ジェイドロバリー×母母父トニービン)
⇒1番人気(中位差し)
⇒1:09.5(上がり34.7=2位)
⇒12.1 - 10.8 - 11.4 - 11.5 - 11.8 - 11.9
1/14の未勝利戦を勝ったエーシンエムディーは、阪神・京都の1400mで3戦し、小倉の1200mに転戦して2戦目で勝ち上がりました。血統的にも筋が通っており、順当勝ちと言ってよいと思いますが、それ以上の評価はできません。
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<小倉芝1800m>
○1/15 3R 3歳未勝利 芝1800m
⇒⑧マイネルスパーブ(父アドマイヤコジーン×母父スペシャルウィーク×母母父メイワパツサー)
⇒3番人気(先行差し)
⇒1:49.2(上がり35.4=6位)
⇒12.5 - 11.5 - 12.4 - 12.6 - 12.5 - 12.2 - 12.0 - 11.8 - 11.7
○1/14 10R 3歳500万下 ネモフィラ賞 芝1800m
⇒⑩ビービージャパン(父アドマイヤジャパン×母父トニービン×母母父プリンスオブバーズ)
⇒7番人気(逃げ切り)
⇒1:48.8(上がり34.1=1位)
⇒12.6 - 11.8 - 12.9 - 12.7 - 12.7 - 12.0 - 11.6 - 11.4 - 11.1
未勝利も500万特別もほぼ同じペースでしたが、上がりのタイムだけ異なっています。500万特別のレベルの方に問題があり、勝ち馬を高く評価することはできませんが、平坦な小回りコースならば今後も注意が必要です。
1番人気だったタガノキャンドルは、能力の問題よりも、騎手の経験不足が敗因で、次走で人気が落ちるようなら狙い目になりそうです。
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<小倉芝2000m>
○1/14 5R 3歳新馬 芝2000m
⇒⑧エーシングルーオン(父アグネスタキオン×母父キャロルハウス×母母父ノーザンテースト)
⇒2番人気(先行差し)
⇒2:02.3(上がり34.3=2位)
⇒12.7 - 11.9 - 12.6 - 13.4 - 12.8 - 12.4 - 12.1 - 11.8 - 11.3 - 11.3
すべての面で標準的なレースですが、上がりタイムにやや見どころがあります。勝ち馬は血統的にも良いものをもっていますので、次走までの成長に期待したいところです。
アグネスタキオンは母系の特徴を引き出すタイプの種牡馬ですが、この馬の場合も母系の良さがよく出ています。次走は小倉のあすなろ賞(芝2000m)のようですが、そこも勝ち上がるようならば、昨年のデボネアのような活躍が期待できそうです。
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小倉を勝ち上がった馬は、昨年も昇級戦では人気になっていません。今年も同じ傾向になると予想されますが、特に血統的に筋が通っている馬の場合は注意が必要です。
(つづく)