マイルCS、香港マイルなどのGⅠを制し、マイル路線で活躍したハットトリック(父サンデーサイレンス)の産駒が仏GⅢカブール賞(2歳・芝直1200m)で優勝しました。

重賞を制覇したのはダビルシムという2歳牡馬で、これで3戦全勝となり、次はGⅠのモルニー賞(21日、ドーヴィル、芝1200m)に向かうようです。

ハットトリックは引退後は米国で種牡馬入りし、南半球とのシャトル種牡馬として活躍していましたが、サンデー系の種牡馬による海外重賞制覇はいくつかの可能性を感じさせてくれます。

その1つ目は距離です。

欧州の競馬では日本以上に血統がすべてで、「ダービー馬はダービー馬から」という格言が今も色濃く残っています。従って、チャンピオンシップの距離では血統で選別されることが多いため、日本でのみ繁栄したサンデー系の産駒が英愛仏のダービーに出走するのは極めて至難です。

ウオッカのように、英ダービー馬を父とする産駒を出産し、その産駒が日本で重賞勝ちすれば、英ダービーへの挑戦も夢ではないかもしれません。

しかし、今回のハットトリックのように、短い距離のGⅠならば、出走するチャンスも勝つチャンスも十分に可能性があります。

2つ目はフランスです。


これは以前から言われていたことですが、英愛の競馬より仏の競馬の方が日本の馬には合うということのようです。これは日本で育成・調教された馬という意味だけでなく、日本で繁栄した血統も同じような可能性がありそうです。


この秋には凱旋門賞を目指す何頭かが仏重賞に出走するようですが、大いに期待したいところです。


3つ目は香港です。


ハットトリックが海外で種牡馬として供用され、その産駒が仏で誕生して重賞に出走するというチャンスを得たのは、日本のGⅠウイナーというだけではなく、香港のGⅠを勝っていることが大きかったように思います。


その意味では、香港、ドバイ、シンガポールなどの海外競馬にも積極的に挑戦する必要があります。


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日本の生産界は、父系も母系もサンデー系一色で、このままでは世界の血統地図から大きく外れてしまうことになります。しかし、サンデー系を除いて日本の競馬界を語ることは難しいことも事実です。


方法は1つしかありません。サンデー系を海外に拡大させることで、そのためにはサンデー系の馬が海外のレ-スで活躍し、その活躍をベースに海外で種牡馬になることです。今回のハットトリックがよい例です。


もう1つ方法があるかもしれません。ダーレー・ジャパンのサンデー系の生産馬が日本のクラシックを勝ち、海外で種牡馬として供用されることです。その意味ではサンデーの孫で初めてダービー馬となったディープスカイに期待したいところです。


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ハットトリックの快挙を讃え、その血統表を掲載します。