今年のダービーが終わり、2週間後には2歳の新馬戦が始まるが、この2週間はPOGのための時間とも言える。
女性カメラマンのNさんはPOGもタキオン産駒しか指名しないが、2009年産は評判馬が多く、嬉しくも悩ましい時間だ。
2008年産はダービーに3頭が出走し、途中で戦線を離脱したが、GⅠ阪神JFを含めて4戦4勝のレーヴディソールや重賞を連勝したレッドデイヴィスが大活躍し、楽しい1年だったようだ。
今日もGⅢユニコーンS(東京ダ1600m)にアストロロジーとアイアムアクトレスの2頭が出走し、この世代で4頭めの重賞勝ちをねらう。
「これまで重賞を勝ったレーヴディソール、レッドデイヴィス、ノーザンリバーの3頭はみんな9月デビューなのよ」
とNさんが言った。
今日の重賞に出走するアストロロジーは11月、アイアムアクトレスは12月デビューなので、どちらが勝ってもNさんのPOG作戦に影響してくるようだ。
「もう1つの注目はタキオン産駒がダートの重賞を勝てるかということだね」
と僕が言った。アストロロジーは初ダートだが、アイアムアクトレスはダートで3戦3勝だ。
「アーリントンCを勝ったノーザンリバーは、ダート戦で連勝して芝の重賞を勝ったからね」
と僕が続けた。
2008年産のタキオン産駒はダート戦で活躍した馬が多く、ノーザンリバーやアイアムアクトレス以外にも、アフリカンハンターやピエノオリオン、グランスなどがダート戦で2勝した。
「タキオン産駒はこれまで芝のイメージが強かったけれど、ダートでも大丈夫なのね」
とNさん。
「今年のタキオン産駒は合計で50勝しているけど、芝は24勝でダートは26勝だよ」
と僕が言った。リーディングサイヤーで上位にいる種牡馬は芝でもダートでも勝ち馬が多いが、ダービー馬を出したステイゴールドは33勝中ダートは5勝、ディープインパクトは41勝中ダートは1勝のみだ。
「最近の芝のレースは激戦で、出走するだけでも大変だからね」
と僕が続けた。これまでもそうだったが、芝のレースにしか出走しないディープインパクト産駒の登場により、その傾向がより強くなった。
「ということは、芝・ダート兼用タイプの方がよいってこと?」
とNさん。
「そうだね。母や兄姉がダートでも走った馬の方が勝ち上がる確率は高くなるね」
と僕が応えた。ノーザンリバーやアイアムアクトレスがその代表例だ。
「ディープインパクト産駒が500万条件で足踏みする馬が多かったのも同じ理由だね」
と僕が続けた。ディープ産駒はそろって同じ芝のレースに出走したため、互いに足をひっぱり合う格好になった。
「それに芝のレースは脚元に負担が大きいから、負荷の少ないダート戦で勝ち上がり、成長を待って芝のレースに挑戦するという路線はタキオン産駒に合っているかもしれないね」
と僕が言った。
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今日はタキオン産駒が合計7頭出走するが、注目は次の3レースだ。
<東京>
〇6R 3歳500万下 牝芝1600m:アフロディーテ
〇11R GⅢユニコーンS ダ1600m:アイアムアクトレス、アストロロジー
<阪神>
〇9R かきつばた賞 芝2400m:ディアヴァンドーム
東京6Rのアフロディーテは2番人気、11Rのアイアムアクトレスは5番人気、アストロロジーは6番人気、阪神9Rのディアヴァンドームは7番人気だ。
「アフロディーテはフラワーCでも3番人気になった素質馬だからね。ここを勝っておくと、秋に楽しみが出てくるね」
と僕が言った。姉にラドラーダ(父シンボリクリスエス)、兄にゴルトブリッツ(父スペシャルウィーク)がいる良血馬だが、やや晩成型の血脈なので、秋以降に真価を発揮しそうだ。
「阪神9Rのディアヴァンドームも良血だよ」
と僕が続けた。母父はKingmambo、母母父はNorthern Dancerという血脈はなかなかのものだ。
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今日の注目レースではないが、東京5Rにタキオン産駒のオーガストウェイが出走する。
「ミステリアスライトの全妹になるね」
と僕が出馬表を見ながら言った。
このレースにはディープインパクト産駒が3頭出走する。姉がフサイチパンドラのトーセンエッジ、兄と姉にダイワメジャーやダイワスカーレットがいるピカソもいるが、祖母がダイイチルビー、三代母はハギノトップレディーという名血のイットーイチバンがおもしろそうだ。
馬券は、オーガストウェイとイットーイチバンの複勝と、ジャングルポケット産駒のマリアヴェロニカから2頭へのワイドと3頭の3連複にした。
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東京5Rは、1番人気のマリアヴェロニカ(父ジャングルポケット)が勝ち、2着は6番人気のピカソ、3着は2番人気のヤマニンリップルで、イットーイチバンは8着、オーガストウェイは9着だった。
「ディープの良血馬もなかなか勝てないね」
と僕がレースビデオを見ながら言った。
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東京6Rの3歳500万下(牝芝1600m)にはタキオン産駒のアフロディーテが出走する。
馬券は、アフロディーテの単勝と、1番人気のリヴァーレと2頭軸の3連複で、相手はダイヤモンドアスク、サンデースイセイ、トーセンノーブル、アンナドンナ、テキサスルビーの5頭にした。
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東京6Rは、1番人気のリヴァーレ(父キングヘイロー)が勝ち、2着は8番人気のアプレレクール、3着は2番人気のダイヤモンドアスクで、アフロディーテは5着だった。
「アフロディーテは体調がもうひとつのようだったけど、よく追い込んできたね。それに、距離も少し足りなかったかもしれないね」
と僕がレースビデオを見ながら言った。
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次は阪神9Rのかきつばた賞(芝2400m)で、タキオン産駒のディアヴァンドームが出走する。
「7番人気だけれど、上位とはそんなに差のないオッズだよ」
と僕が言った。
「かなり入れ込んでいるようね」
とNさんがパドックを見ながら言った。2400mなので折り合いが心配だが、これまではもっさりとしたレースが多かったので、プラスに働く可能性もある。
「相手は前走が未勝利勝ちの5頭か、500万条件の5頭のどちらかだね」
と僕が言った。
馬券は、ディアヴァンドームの単複と、500万組のトーシンイーグルとの2頭軸で、相手は同じく500万組のゴッドマスタング、ピースフルアース、バンブーチェルシーの3頭にした。
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阪神9Rは、2番人気のイグアス(父ディープインパクト)が勝ち、2着は4番人気のゴットマスタング、3着は1番人気のトーシンイーグルで、ディアヴァンドームは9着だった。
「このところ、キャロットの馬がよく走っているけど、2009年産もなかなか評判がいいよ」
と僕が言った。
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次は東京11RのGⅢユニコーンS(ダ1600m)で、タキオン産駒のアイアムアクトレスとアストロロジーが出走する。
「アイアムアクトレスは8倍台の4番人気、アストロロジーは16倍台の8番人気だね」
と僕がオッズを見ながら言った。
1番人気はいぶき賞を勝ったマンハッタンカフェ産駒のグレープブランデー、2番人気はディープインパクト産駒でいぶき賞2着のボレアス、3番人気は全日本2歳優駿を勝ったグラスワンダー産駒のビッグロマンスだ。
「アイアムアクトレスは輸送で体重が減っているのが気になるね」
と僕が言った。前走は480キロ台でギリギリの仕上げだったが、今日はマイナス4キロで470キロ台だ。
「でも、ここを勝ったらすごいわよね」
とNさん。
「アストロロジーは毎日杯で5着で、ボレアスは12着だったからね。初ダートだけれど、力量的には上位だから、ここでもおもしろいよ」
と僕が続けた。ここを勝つとモハメド殿下の初重賞勝ちとなる。
馬券は、アイアムアクトレスとアストロロジーの単複に2頭の馬連とワイド、グレープブランデーとの3連単ボックスに、2頭からグレープブランデーへの馬単にした。
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久しぶりにNさんの大きな声が響き渡り、牝馬のアイアムアクトレスが早めに先頭に立ってそのまま押し切った。
「やったあ、アクトレス!」
と僕も大きな声で叫び、Nさんと抱き合った。
「すごーい、アクトレス!」
とNさんも叫び、僕の顔にキスの嵐だ。
2着は1番人気のグレープブランデー、3着は2番人気のボレアスで、牝馬の優勝は12年ぶりで2頭目という快挙のようだ。
馬券は、単勝(870円)と複勝(210円)、馬単(2,770円)が的中した。
「ずーっとモヤモヤしていたけど、これでスッキリしたわ」
とNさん。その勢いでシャツを脱ぎ始めた。
「ほら、あなたも」
とNさんが言い、僕のシャツに手を延ばした。
2人ともスッポンポンになり、ベッドにダイビングした。
「今日はわたしも女優になるからね」
とNさんが大きな胸を両手で持ち上げながら言った。
「今夜はヤスさんの店でお祝いだよ」
と言いながら、Nさんの胸に顔をうずめた。久しぶりの匂いだった。
(つづく)