今週は中山の開催はなく、先週に続いて阪神と小倉で「被災地支援競馬」が開催される。


僕は電話投票で3月中は馬券を購入できないので、今週も女性カメラマンのNさんのアパートに泊まり込みをして、インターネットで馬券を購入することにした。


Nさんはアグネスタキオンの熱烈なファンで、今日はスプリングSフラワーCでタキオン産駒を馬券を買って応援したが、どちらも完敗した。


明日の日曜日は毎日杯にタキオン産駒のレッドデイヴィスアストロロジーが出走するので、その相手探しをすることにした。


・・・・・・


「前売りを見ると、下馬評通りに、レッドデイヴィストーセンレーヴの一騎打ちという様相だね」

と僕がオッズ表を見ながら言った。


1番人気は2倍台でトーセンレーヴ、2番人気は3倍台でレッドデイヴィスだが、3・4番人気は大きく離れて11倍台のコティリオンスマートロビン、5番人気は13倍台でエチゴイチエ、6番人気は21倍台でカグニザントだ。


「データ派のさんが調べた去年の距離別成績があるから見てみようか」

と僕が言った。Tさんは自動車会社のエンジニアでヤスさんの店の常連だ。


<1600m>

①キングカメハメハ:31勝(重賞3勝)

②アグネスタキオン:21勝(重賞4勝)

③フジキセキ:20勝(重賞1勝)

④スペシャルウィーク:8勝(重賞3勝)

⑤シンボリクリスエス:15勝(重賞0勝)


<1800m>

①シンボリクリスエス:41勝(重賞2勝)

②キングカメハメハ:40勝(重賞1勝)

③クロフネ:47勝(重賞0勝)

④マンハッタンカフェ:37勝(重賞3勝)

⑤フジキセキ:34勝(重賞3勝)


<2000m>

①アグネスタキオン:27勝(重賞1勝)

②キングカメハメハ:22勝(重賞2勝)

③ネオユニヴァース:17勝(重賞2勝)

④スペシャルウィーク:13勝(重賞1勝)

⑤マンハッタンカフェ:13勝(重賞1勝)


「これを見ると、キングカメハメハの万能性、アグネスタキオンの根幹距離での強さ、2000mになって初めて登場するネオユニヴァースが目立つね」

と僕が説明した。


「タキオンは1800mはあまりよくないの?」

とNさん。毎日杯は1800mなので、少し心配そうな顔だ。


「1800mはレースが数が多いだけで、タキオンも悪くないよ。シンボリクリスエスのように、この距離を得意とする馬がいるってことだね」

と僕が応えた。


「このデータを参考にして、3番人気以降の馬を見てみようか」

と僕がNさんに言った。


・・・・・・・

コティリオンはディープインパクト産駒で、母父はトニービン。母のジェミードレスは府中牝馬Sの2着馬で、1800mという距離に問題はない。また、阪神コースはラジオNKKKEI杯(2000m=3着)で経験している。


問題は、ラジオNKKKEI杯組のその後の成績がよくないこと、騎手が毎回乗り替わっていることなどで、距離に適性があること以外は、全体的にマイナス要因の方が多い。



スマートロビンもディープインパクト産駒で、母父はLyphard。祖母のKey Dancerは米G2の重賞勝ち馬で、日本で成功しているダンシングキイの全姉。 Lyphard4×2、Northern Dancer5×3×4、Almahmoud5×5というクロスをもつ。1800mという距離に問題はないが、近いクロスの影響で折り合いに課題が残る。


阪神コースはエリカ賞(2000m=1着)とアーリントンC(1600m=5着)で経験しているが、距離適性がまだはっきりせず、成績にムラが多い。プラス要因は武豊に乗り替わることで、エリカ賞のように先行策に出る可能性が高い。


・・・・・・


エチゴイチエはネオユニヴァース産駒で、母父はエリシオ。近親にハーツクライがいる。距離は2000m以上がよいタイプで、阪神コースは初めて経験する。


マイナス要因は初めて経験する輸送競馬で、ネオユニヴァース産駒はデリケートなタイプが多いため、大敗もありうる。



カグニザントもネオユニヴァース産駒で、母父はGone West。母のインコグニートは1200m~1600mで3勝した。ネオユニヴァース産駒でもやや短めの距離がよく、1800mという距離に問題はない。


マイナス要因はエチゴイチエと同じ。


・・・・・・


7番人気以下は簡単に見てみる。


ディープインパクト産駒のボレアス(母父フレンチデピュティ)、アルティシムス(母父End Sweep)の2頭はマイル向きの配合。


ネオユニヴァース産駒のデスペラード(母父トニービン)、サンビーム(母父A.P.Indy)の2頭は2000m以上がよいタイプだが、サンビームの方は1800mにも対応できる配合。


ジャングルポケット産駒のカルドブレッサ(母父サンデーサイレンス)は1600m~2000mがよいタイプで、キングカメハメハ産駒のリヴェレンテ(母父サンデーサイレンス)は万能タイプで、1800mの距離にも問題ない。


・・・・・


「こうして見ると、消してもいいのは、ディープ産駒ではコティリオンボレアスアルティシムスの3頭。ネオユニヴァース産駒ではエチゴイチエデスペラードの2頭。ジャングルポケット産駒のカルドブレッサといったあたりだね」

と僕が言った。


「でも、これっていう馬がいない感じね。面白くないわ」

とNさん。


「1頭だけいるよ。スマートリブレという馬だけどね」

と僕が応えた。


スマートリブレはダート戦で2連勝しているけど、昔、東京コースの皐月賞を勝ったヤエノムテキも同じパターンで毎日杯に出走してオグリキャップの4着だった」

と僕が続けた。


「今年の皐月賞も東京で開催されるし、今日のフラワーCトレンドハンターも初芝で優勝したからね」

と僕が説明した。



その結果、印は以下のようになった。


レッドデイヴィス(父アグネスタキオン)

アストロロジー(父アグネスタキオン)

トーセンレーヴ(父ディープインパクト)

カグニザント(父ネオユニヴァース)

スマートロビン(父ディープインパクト)

リヴェレンテ(父キングカメハメハ)

スマートリブレ(父ロージズインメイ)


レッドデイヴィスアストロロジーには今日の分も頑張ってもらわなくちゃね」

とNさん。


「さあ、今日はこれからドバイでレースがあるから応援しましょうよ」

とNさんが続けた。


がんばれ、日本。がんばれ、東北。がんばれ、ヤスさん。


(つづく)