今日は女性カメラマンのNさんのアパートで「POG対策馬券作戦」の練習だ。
旅行雑誌の編集者で血統派のSさんから、「一口馬主やPOGで人気になっている馬は、能力や状態に関係なく単勝を買う人間が多いので、直前のオッズの動きに注意するとよい」というアドバイスがあった。
その対策としては、
○前日や当日の朝の時点でオッズが異様に低い馬をチェックする。
○馬体重が発表され、パドックが終了する頃にオッズが急に上がる馬は軽視する。
○逆に、オッズが急に下がる馬、特に血統的に地味な馬を重視する。
○社台ファームやノーザンファームの生産馬も同じ傾向があるので注意する。
ということらしい。
「3歳戦で、POGで人気になっている馬、特にディープ産駒が出走するレースが狙い目だね」
と僕が言うと、
「オッズって、そんなに急に上がったり下がったりするの?」
とNさん。今日は自分のアパートなので、かなりの薄着で、大きな胸がシャツの間からのぞいている。
「いろいろだけど、オッズがあまり変わらないレースは無視していいということでしょ」
と僕が応えた。
「今日の午前のレースでちょっと試してみたんだ」
と僕が続けた。
「東京2Rでディープ産駒のエルヴィスバローズが圧倒的な1番人気になっていたので、チャンスと思ってオッズの動きをずっと見ていたんだ」
と言いながら、今日の出馬表をNさんに見せた。東京2Rはダート2100mの未勝利戦だ。
「エルヴィスバローズはあまり変わらなかったけど、一口馬主の馬のグランマルシェのオッズがどんどん下がってきた」
と言い、オッズの変化をメモした紙を出した。
パドックが終わる頃にオッズが急に下がったのはティアップブレイズとサトノスナイパーで、ティアップブレイズは前走の未勝利戦で3着のリンカーン産駒、サトノスナイパーは1月5日の新馬戦で13着と大敗した後の2戦目で、El Pradoの産駒だった。
「それで、7番人気のサトノスナイパーから1~3番人気のエルヴィスバローズ、グランマルシェ、ウォーターデュークへのワイドにしてみた」
と説明した。
「ディープの仔や一口馬主の馬ははずすんじゃないの?」
とNさん。
「ディープの仔のエルヴィスバローズはオッズが変わらなかったし、一口馬主のグランマルシェはオッズがどんどん下がっていた。それに、グランマルシェはノーザンファームの生産馬だったしね」
と僕が応えた。社台ファームやノーザンファームの生産馬は人気でも無視しない方がよい、というのがSさんのアドバイスだった。
「それで、結果はどうだったの?」
とNさんが訊いた。
「勝ったのは2番人気のグランマルシェで、2着は7番人気のサトノスナイパー、3着は1番人気のエルヴィスバローズで、見事に的中!」
と僕が応えた。的中したワイドは1,040円+950円=1,990円の払戻だった。
「買わなかったけど、グランマルシェとサトノスナイパーの馬連は4,150円だっだよ」
と僕が続けた。
「ふーん。でも、いろいろなパターンがあって、単純じゃないのね」
とNさん。ヤスさんの店にいる時と同じで、Nさんは僕のからだにぴったりと寄り添っている。
「そうだね。でも、オッズの動きを見ていると、馬券を絞りやすいのは確かだね」
と僕が応えた。
「じゃあ、少し食事をしてから、明日の予想をしましょうね」
とNさんが言い、キッチンに立った。ヤスさんの店のおにぎりと、Sさんのおみやげだった「天松」の揚げ玉で味噌汁を作るようだ。
食事の片づけが終わり、Nさんが僕の隣に戻ってきた。
「明日はタキオンの3歳馬がたくさん出てくるからね。どれからにしようか?」
とNさんが言った。今日は短いスカートなので、肉づきのよい足がよく見える。
「まずは、東京3Rの未勝利戦だね。タキオンの仔のヴェラシティが出走する」
と僕が言い、ネットでJRAの出馬表を出した。芝2400mの長距離戦だ。
「前日売りでは、ネオユニヴァース産駒のヴァーゲンザイルとダンスインザダーク産駒のブルースビスティーが同じ3倍台で1番人気を争っているね。どちらも血統的に長距離向きだしね」
と出馬表を見ながら言った。ヴェラシティは7倍台で離れた3~4番人気だが、10倍以下の馬も多く、人気はかなり割れているようだ。
「一口馬主は、社台が1頭、サンデーが1頭、キャロットが3頭、マイネルが2頭で、社台のヴァーゲンザイル以外では、サンデーの馬とマイネルの1頭が10倍以下の人気になっているよ」
と僕が説明した。
「じゃあ、ヴァーゲンザイルのオッズの動きに注意すればいいの?」
とNさんが言った。
「そうだね。ヴァーゲンザイルは社台ファームの生産馬だしね」
と僕がつけ加えた。
「他の馬は?」
とNさん。
「10倍前後の馬だね。4~5頭いるので、直前になってオッズが下がる馬がいれば要注意だね」
と僕が応えた。
「ヴェラシティのオッズは見なくていいの?」
とNさんが続けた訊いた。
「そうだね。オッズが上がるようなら単勝よりも複勝やワイド、下がるようなら単勝や馬連がいいね」
と僕が応えた。
「次は東京の6Rね。タキオンの仔はアルゴリズムとシャドウエミネンスの2頭よ」
とNさんが出馬表を見ながら言った。3歳500万のダート1600mだ。
「前売りではアルゴリズムが3倍台で1番人気になっているけど、POGの人気馬だから、逆に注意しなくちゃいけないね」
と僕が言った。
「もう1頭のシャドウエミネンスは16倍台の7番人気で、馬券的にはこちらの方が面白いね」
と続けた。
「相手はどう?」
とNさん。
「社台とサンデーが1頭ずつ、マイネルとコスモが1頭ずつで、サンデーの1頭以外はあまり人気がないね」
と僕が応えた。
「いちばん注意したいのはアルゴリズムのオッズで、直前になってもあまり変化がなければ軸に、上がるようならシャドウエミネンスからのワイドの方がいいかもね」
と続けて言った。
「同じ条件の京都6Rにノーザンリバーが出走するけど、どう?」
とNさん。3歳500万のダート1400mだ。
「前売りでは1倍台の圧倒的な人気になっているね」
とオッズを見ながら僕が応えた。
「キャロットの馬が2番人気になっているけど、ここは相手探しでいいと思うよ」
と続けた。
「タキオンの仔はダートでも大丈夫なの?」
とNさんが心配そうな顔をして言った。
「ノーザンリバーは、前走は8馬身差で圧勝しているし、今日の京都3Rのダート1400mでもアイアムアクトレスが未勝利としては破格の時計で8馬身差で圧勝しているから大丈夫だと思うよ」
と僕が応えた。アイアムアクトレスは阪神牝馬Sを勝ったアイアムカミノマゴの全妹だ。
「これだけの人気だから、直前になってもオッズが上がらないようなら、馬単でいいだろうね」
と僕が続けて言った。
続けて、京都2Rのスカイスクレイパーだ。ダート1800mの未勝利戦で、シンボリクリスエス産駒のトビが1倍台の圧倒的な人気になっている。
「スカイスクレイパーは10倍前後で2番人気になっているけど、初ダートで面白そうだね」
と僕がオッズを見ながら言った。
「このレースこそオッズの動きに注目だね。1番人気をはずせばワイドでもそこそこつくよ」
と僕が続けた。
「どの馬も成績がよくないから相手探しが難しそうね」
とNさん。
「初ダートの馬が何頭かいるから、その中から選ぶか、ダート戦は先行馬が有利だから、そのタイプがいいね」
と僕が応えた。
「明日は朝から頑張らないとね」
と僕がNさんに言うと、
「そうね。サッカーの決勝もあるけど、早く寝ないとね」
とNさんが言い、僕の肩に寄りかかってきた。Nさんの大きな胸に手を差し入れながら、
「そうしよう。僕ももうすぐ帰るよ」
と僕が応えた。Nさんの胸に直にさわるのは二度目だが、少し汗ばんでいて、手に吸いついてくる。
「そんなことをしていると、遅くなっちゃうよ」
とNさんが言い、口唇を寄せてきた。それを受けながら、Nさんの太ももに手を伸ばした。Nさんもからだを開くようにして、僕の手を入りやすくした。手をさらに奥に進めると、そこは熱く、胸と変わらないぐらいに柔らかかった。
「あと30分ね」
と言いながら、Nさんのからだを横たえて、シャツのボタンをはずした。大きな二つの胸が飛び出してきて、目にまぶしかった。
(つづく)