2011年の3歳クラシックの展望、皐月賞の第2回はサンデー系です。


サンデー系は頭数が多いため、ディープインパクトとハーツクライは次回の第3回で展望します。


<皐月賞の展望>


サンデー系は芝2000mを主戦場とする種牡馬が多く、それに、昨年はゼンノロブロイ、今年はディープインパクトとハーツクライなどの新戦力が加わったことにより、混戦模様にさらに拍車がかかっています。


サンデー系の芝2000mといえばネオユニヴァースで、これまでに2頭の皐月賞馬(アンライバルド、ヴィクトワールピサ)を輩出していますが、今年の1番手は札幌2歳S(芝1800m)を勝ったオールアズワン(母父ナリタブライアン)です。暮れのラジオNIKKEI杯2歳Sでは2着でしたが、勝ち馬以上の能力を感じさせるレースで、現時点では皐月賞レースのトップと言ってよいと思います。


2番手はエリカ賞2着のユニバーサルバンク(母父ドクターデヴィアス)、3番手は11月の新馬戦(京都芝2000m)を勝ち上がったアサクサショパン(母父Law Society)といったところでしょうか。ユニバーサルバンクの母はマーメイドS2着馬のヴィクトリーバンクで、アサクサショパンの半兄は青葉賞を勝ったハイアーゲーム(父サンデーサイレンス)ですので、2頭とも皐月賞向きです。


サンデー系で春のクラシックといえばアグネスタキオンで、2005年に皐月賞馬(キャプテントゥーレ)を輩出していますが、今年の1番手は葉牡丹賞(中山芝2000m)を勝ったショウナンパルフェ(母父Great Commotion)です。全姉にフラワーCを勝ったショウナンタレント、半兄に共同通信杯を勝ったショウナンアルバ(父ウォーエンブレム)がいますので、やや早熟なタイプと言えます。母父はマイラーですので、皐月賞の結果によっては、NHKマイルCに路線変更する可能性があります。


2番手は10月の未勝利戦(京都芝2000m)を勝ち上がったネオザイオン(母父グルームダンサー)でしょうか。母のエアザイオンはクイーンSの勝ち馬で、Hail to Reason4×4、Bold Ruler5×5という配合で、タキオン産駒の成功パターンのひとつです。未勝利戦で2着だったスマートロビン(父ディープインパクト)がエリカ賞を勝ち上がっていますので、能力的にはクラシック路線に乗れる器です。


2歳戦で勝ち上がった牡馬の数では、フジキセキが14頭、ステイゴールドが10頭、ゼンノロブロイが9頭で、リーディングサイヤーの常連であるスペシャルウィークは3頭、ダンスインザダークは1頭と低迷しています。


フジキセキの産駒では東京スポーツ杯2歳Sを勝ったサダムパテック(母父エリシオ)が1番手です。朝日杯FSでは1.8倍という圧倒的な1番人気になりながら4着に敗れましたが、出遅れが原因で、能力的な問題ではありません。次走は弥生賞のようですが、フジキセキ産駒は中山コースよりも東京コースに実績があり、また、芝のGⅠは1200mと1600mしか勝っていないため、弥生賞の結果によってはNHKマイルCに路線変更する可能性が高いように思います。


2番手はデイリー杯2歳S(京都芝1600m)でレーヴディソールの2着と健闘したアドマイヤサガス(母父Gone West)です。母系はMr.ProspectorSeattle SlewSecretariatなど北米を代表する血脈が集められており、配合的にはリーチザクラウン(父スペシャルウィーク)によく似ています。こちらも皐月賞よりはNHKマイルC向きで、早い時期からマイル路線に向かう可能性が高いように思います。


ステイゴールドの産駒では、ベゴニア賞(東京芝1600m)を勝ったナカヤマナイト(母父カコイーシーズ)が1番手です。ホープフルS(中山芝2000m)ではベルシャザール(父キングカメハメハ)にハナ差の2着に敗れましたが、上がりタイムは1番で、能力的には遜色ありません。中山コース向きという点ではベルシャザールよりも上位で、皐月賞の本命候補の1頭です。


2番手は東京スポーツ杯2歳S(東京芝1800m)とホープフルSで3着したフェイトフルウォー(母父メジロマックイーン)です。新馬戦を含む3戦すべてで上がりは34秒台を記録したように、能力的には高いものをもっています。母父はドリームジャーニー(父ステイゴールド)と同じで、3歳になってさらに成長するタイプですので、早めに権利を取れれば、皐月賞でも穴馬候補の1頭になる可能性があります。


ステイゴールド産駒にはもう1頭の有力馬がいます。ドリームジャーニーの全弟のオルフェーヴル(母父メジロマックイーン)で、京王杯2歳S(東京芝1400m)では10着に敗れましたが、明らかに距離不足でした。次走はシンザン記念のようですが、その結果によって皐月賞路線かNHKマイルC路線のどちらかを選択することになると思います。


ゼンノロブロイの産駒ではルルーシュ(母父Highest Honor)が1番手です。半兄のステージプレゼンス(父アグネスタキオン)と同様にやや不器用なタイプで、藤澤厩舎ですので、皐月賞よりもダービーに向けたローテーションになる可能性が高いように思います。


スペシャルウィークの産駒では12月の未勝利戦(中山芝1800m)を勝ったインナージョイ(母父カーネギー)が有力です。半兄に青葉賞を勝ったアドマイヤコマンド(父アグネスタキオン)がいますが、気性面に幼さがあるようですので、こちらも皐月賞よりはダービーを目指すことになると思います。



ディープインパクトとハーツクライを除いたサンデー系では、ネオユニヴァース産駒のオールアズワンが1番手で、ステイゴールド産駒のナカヤマナイトが2番手です。次いで、フジキセキ産駒のサダムパテック、アグネスタキオン産駒のショウナンパルフェ、ステイゴールド産駒のフェイトフルウォーの5頭が有力です。


この系統は年明けの新馬戦に何頭かの有力馬がデビューします。最近は2勝馬では皐月賞に出走するのが難しい状況で、かなりの能力と運が必要ですが、そんな馬が1頭でも2頭でも出てくることを期待しています。


(つづく)