今年の夏期講習会にまつわる出来事をあれこれ書きつづってきたが

今回は生徒や親、学校のせい以外で困った・・・・っていうか

ちょっと情けなくなった出来事について書いてみたいと思う。


最近のブログで、日本の塾業界が少子化や低学力化のあおりを受け

非常にキビシイ状態であるってことは書いてきた。


私のようなチョー小規模の塾はもちろんであるが、

支部を10教室程度展開している中規模の塾にしても

生徒集めに必死になっている状況なのである。


さらに市場を求めて、私のとこのような地方都市にも

都市部からチョー大手塾が進出をはじめ、

まさに塾下克上の様相を呈しているのである。


ま、そんな厳しい状況の中、おかげさまで私の塾は

夏期講習にドッと入塾生が入って来ていただき

3年生なんぞはおよそ1学期の倍の人数になった。


それは、それでうれしいことであるが、もちろんそれらの生徒の中には

他塾を辞めて私の塾に移ってきてくださる子もいるわけで

それが私の塾よりもさらに小さな個人塾からまとめて・・・・・

なんてことになると、ま、塾の世界は厳しいとはいうものの

なんとなくその個人塾に申し訳ない気もするのである。


とはいうものの、私の塾からも他の塾に移っていく生徒が

いないわけではない。

で、今年、夏期講習会の直前に一人の生徒が私の塾を辞め

近くの大手塾に移っていったのである。


ま、税金で保証された生ぬるいダレダレの学校と違い

塾は営利企業であるから、生徒が集まるも、去って行くも

最終的にはすべてその塾の責任であると思う。


ただ、今回大手塾に移っていったこの子場合は

ちょっと今までの退塾生とは状況が違ったのである。


実はその子は、小学校の時から私の塾に通っており

中学校に入ったとき、私が止めたにもかかわらず

異常熱血顧問教師のいる野球部に入ってしまい

3年間ほぼ連日遅刻や欠席を繰り返しながらも、

なんとか中3まで塾を続けてきたって子であった。


この部も他の異常熱血部と同じく朝早くから夜遅くまで

もちろん土日も関係なく練習や試合が行われるので

まともに勉強をする時間なんぞはない。

だから、親ともメール等で綿密に連絡を取り合いながら

家庭学習用の教材や、定期考査直前の補習授業などを組んで

何とか成績的には上位をキープさせてきたのである。


ところが・・・・・


そういった部活動の呪縛から解かれ、やっときちんと勉強に

取り組める夏期講習を目前にした時期に、母親から突然

「塾を辞めます。」の連絡が入ったのである。


「勉強が厳しいから・・・・」とか「「宿題が多いから・・・・」なんて

低レベルの理由で塾を辞めるなら仕方ないが、

さすがにこの子の場合は、こちらとて「ハイそうですか。」

って訳にもいかず、その理由をうかがったのであるが、

なかなか母親は話してくれない。


それでも、なんとか食い下がって退塾の理由を聞いてみると・・・・


ことの始まりは、1学期の終わりころから、その野球部の練習に

昨年卒業した先輩が現れるようになったことだったらしい。


ま、部活の先輩が中学校に来て後輩の練習を見てやるっていうのは

別段珍しい話ではないのだが・・・・。


そもそも私は現役の中学校教師の頃から、卒業生した生徒が

いつまでも先輩風を吹かせて頻繁に中学校に現れるのが嫌いであった。


高校で居場所のない寂しいヤツらほど、何かにつけて母校の中学校に

足繁く通ってくるものである。で、そんなヤツらにとって

とりあえず「先輩!先輩!」って言ってもらえる中学校は

さぞかしイゴゴチが良いのも、ま、ワカランではないのだが・・・・・


ところが、実はこの先輩が中学校に現れた目的は他にあったのである。


練習後3年生の部員を集め

「おまえたちは、夏の大会が終わったら

夏期講習会は俺の出身の○○塾に行け!」

と命じたのである。


もちろん、その野球部には、すでに他の塾に通っていた生徒も

数多くいたらしい。

しかし、その先輩の命令は絶対らしく

「今通っている塾を辞めても、必ず○○塾に行くように!」

ってお達しだったらしいのである。


で、うちの塾に通っていたその子も最後まで抵抗したらしいけど

部活の仲間から仲間はずれになるのが嫌だってことで

結局は私の塾を去ってしまったのである。


ま、違った見方をすれば、その先輩の愛塾心っていうのが

それほど強いものであり、逆に我々も見習わなくては・・・・

なんて思っていたのだが・・・・・・


ナント!あとになって、それはその大手塾の

生徒獲得戦略だったっていうことが分かったのである。


つまり・・・・・・単なるアルバイトだったのである。


その大手塾は卒業生を使って各母校を回らせ

後輩たちを根こそぎ自分の塾に引っ張ってこさせる作戦を

実施していたのである。


後輩を引っ張ってくることによって、いったいどのくらいの

マージンが先輩に支払われていたのかは分からないが

どっちにしろ、これってちょっとえげつなくない?


授業力や進学実績で負けるのならあきらめもつくが

金に物言わせてそんな作戦で生徒を集めるとは・・・・・・


さらに、他の大手塾では、生徒を一人紹介すると

現金で1万円くれるってお話も聞いた。


ま、もちろん塾とはいえ営利企業の一つにすぎないのだし

これも、塾下克上時代を生き残るための戦略だから

仕方がないといえば仕方がないのであるが・・・・・・


でも、なんか塾を営むものとしての誇り・・・・っていうか

プライド・・・・・っていうか、そんなもののかけらでもあったなら

やっぱそんな姑息な手段で生徒集めはできないよなぁ。


こんなことを書くと「おまえは甘い!」

って言われそうだけど・・・・


これだけ日本の教育がダメになっちゃった時代だからこそ

塾くらいはきちんと教材力と授業力で勝負してほしいと思うし


やっぱ、できれば・・・・・


最終的には親がそこんところを

きちんと見抜く目を持ってほしいと願うのである。



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