美しさとは何なんだろうか?
一見、オレには程遠いテーマに見えるけれど、ライブハウスを通しての音楽に触れ続けていると、オレがどうこうでは無く、唄い手に対してのテーマとして、自然と考える様になる。
正直な話、人前に立つというだけでも、その度胸が映し出され、自然と表現者には美しさが宿る。
ただ、本当の意味での「心」が宿らなければ、オレにとっては惹かれる美しさにはならないし、偽りの部分に踊らされて音楽を二の次にして美貌だけを追い求める輩には嫌悪感すら覚える。
音楽をおのが欲望の為に利用するな、音楽を殺すな。
そういった汚い部分を、様々なライブイベントを通して多々見てきたから尚更なんやろね。
だから正直、オレは「可愛い子が沢山そろってますよ~」って売りを前面に押し出すガールズイベントは嫌い。
そんな流れで、今回のシンガー紹介。
彼女は本当の意味での「美しさ」を持った魅力的な女性だと思ってる。


では、改めて。
命短し恋せよ乙女。願わくば、美しさの奥に宿る嘘偽りなき醜さをも許し、全てを包み込んでくれる抱擁を下さい。ならば私も己が全てを以って命をも削りながら、全身全霊の唄を捧げませう。まだまだ現実は楽園には程遠いし、私自身、妥協は出来ない。痛みも含めての生きる証と言えます様に。見目麗しき彩と同居するは原色の野性音符...夢見し色葉!!


Road to Vol.31_色葉01
Twitter:https://twitter.com/yumemishi_iroha


色葉との最初の出会いは、Iwooで行われた、りんご主催のライブイベントで。
この日は出演者の全てが浴衣で登場するというのを一つの売りとしていた。
通常ならば、あら素敵な試みねって好意的に受け取るんやろうけど、女性シンガー達にセクハラ紛いの行為を繰り返してる輩共を散々見てきたオレとしては、危険だなって思った。
本当の意味での「音楽」を受け止めてくれ人達が、何処まで集ってくれるかなって。
そんな中、宣戦布告の雄たけびをあげながらIwooに乗り込んだオレを待っていたのが、夢見し色葉との出会いだった。
まだ唄を聴く前の率直な第一印象は…なんや綺麗な子やなーと。
ただ、その美しさに嫌悪感を持たなかったのは、綺麗さを武器にしていない人間臭さを直感的に感じたから。
オレが信頼するりんごが信頼しているシンガーならば、きっと意味があるんだろうし、彼女がどんな音楽を紡ぎ出すか興味が出てきた。
そして、ちょっと高めのハードルを持って見せてもらった色葉のステージは…なるほどねと。
ステージ上での色葉もまた、確実に美しかった。
ただそれは、見栄えのものではなく、唄に対しての愛情や信念が、様々な場面で見えたから。
まず、最初に紡いだのはCover曲で。
可憐な美しさと着飾らない野性を前面に押し出した楽曲を、抑える事無く全力で唄う色葉の姿は、キラキラした可愛さでは無く、凛々しき艶やかさを感じたし、何よりも唄声に宿る魂が剥き出しの心をさらけ出していて。
その良い意味で潔さは、美しい姿のシャッターチャンスを期待する人達には期待外れやったかもやけど、本当の意味での人間的な輝きが宿ってて、良い意味での裏切りが心地好かった。
その上で。
色葉の本当の魅力を感じたのは、彼女が歌ったオリジナル曲だった。
それは、様々な視点から「命」と向き合った楽曲達で。
紡がれる言葉達も、オブラートに包むのではなく、本当に伝えたい現実をありのままに伝え、その上での「希望」へと繋げてくれる、人間の生き様そのものを描き出した音楽。
MCで知ったんやけど、色葉は命と向き合う仕事をしていて。
だからこそ、彼女しか経験し得ない出来事や、その中で感じた諸々を唄に篭める事は、表現者・夢見し色葉の唯一無二の武器だろう。
オレはその彼女の個性を率直に魅力的だなと思ったし、願わくば、その魅力が正しい方向に伝わって欲しいなと思った。
その日の終演後。
色葉を捕まえて話したのは、オリジナルの楽曲に関して、少し時間をかけてでも事前に説明した方が良いよって事。
扱ってるテーマが危ういから、楽曲に宿してる本当の意味を、何の説明もないまま聴いた時に、全ての人達が理解してもらえるか分からない。
場合によっては変な誤解をして、不快に感じる人が居るかもしれない。
多分、色葉はそれをも覚悟の上で己の信念を唄い続けているのだろうけれど、この日に限っては、その色葉の優しさを誤解されたくないという変な親心が勝ってしまった。
ただ、そんな身勝手なオレの言葉も真摯的に受け止めてくれて、オリジナル曲を理解してくれた事への感謝をしてくれたから。
やっぱり、彼女の持つ美しさは本物なんやろなと思った。


その後、なかなかタイミングが合わず、しばらく色葉の音に触れられず。
自らその機会を作りたくてSPIRALに誘った事もあったんやけど、その日は状況的に彼女がライブ重なってたから、だったら止めとこうとオレからNGだしたんやけど。
その時もギリギリまで悩んでくれてたのも、色葉の優しさが故。
そんな中、運良く色葉の出演するブッキングライブを見に行くチャンスがあって。
その日は特に彼女のオリジナル曲を前面に押し出したセットリストやったから、尚更色葉の原色の音楽の魅力を知る事が出来たんやけど。
総じて思ったのは、人間的な優しさの宿る響きであり、だからこそ嫌味無く美しいと思える音楽だなと。
扱うテーマは、やはり「命」に関わるものが多くて。
だからこそ奥深く、時には暗い響きの様に聞こえるかもしれないけれど。
オレにはその中に宿る光の欠片が常に感じられていて。
痛みや哀しみも含めて、素直に表現する事が、結果として聴き手の弱さを受け入れて、理解してくれる優しさに繋がっていると思えた。
言葉の一つ一つのセンスも良いけれど、其処に宿す「意味」が言葉以上に奥深く。
聴き手自身が、彼女の音楽そのものに心を傾ける事で、より一層、その一音一句に宿る心の声が伝わり、あたたかくも力強い響きに魅了されるのだろう。
それは、色葉の表現者としての個性であり、人間としての生き様が生み出した輝きで。
前にオレが話した事も生かしてくれてたから、この日、初めて色葉の音に触れる人達にも、その魅力が正しい形で伝わってくれた筈。
オレ自身、尚更色葉の音楽に惹かれたのは言うまでも無く♪


Road to Vol.31_色葉02

正直な話、万人の全てが色葉の音楽を受け入れてくれるかは分からない。
唄声そのものは間違いなく魅力的で。だからこそ、もっと似合う世界観があるんじゃないかといった声も、事実、在るらしい。
音楽に正解は無いから、それも一つの評価だろうけれど。
ただ、オレは、今の色葉の世界を魅力的に感じてるし、色葉自身が望むならば、ずっと持ち続けて欲しい。
その上で新たな世界観にも挑戦するならば、それも新たな色葉の表情として受け止められる自身もある。
要は、やりたい様にやっちゃえって事ですな♪
そんなノリの良さも実はガッツリ持ってるのが夢見し色葉の人間的美しさ♪


生きるとは何なんだろうか?
ただの寿命だけでは無くて、突発的な事故や災いによって、理不尽に奪われる命が在るのもまた事実で。
ここ最近は特に、台風や水害によって、沢山のものが奪われて、当たり前だったことが当たり前じゃなくなってしまう事が増えた。
普段のオレ自身の心がけとして、命が常に続くとは思っていないし、だからこそ日々朝を迎えられる事に感謝してる。
その上で。
今、生き抜いた者として、オレが出来る事、オレがやりたい事、それを未来に繋げる事を、これからも日々追い続けたい。
幸いな事に、今も尚、色んな形で新たな才能と出会う機会もあって、その度に音楽の未来の可能性を前向きに感じる事が出来る。
ただ、オレに残せるものはまだある筈で。
何よりオレ自身の心が、まだまだ走り続けたいと思ってる。
だからこれからも、相変わらずのジュークロックを貫くんで、よろしゅー♪
これから先、歩む一歩を、死に逝く一歩では無く、生き行く一歩に出来ます様に。


APMN Vol.31

We are 音楽共同体! 音楽が一番スゲェんだよ!(=▽=)/